しめサバは敷居が高そうな感じがするけれど、魚屋で三枚におろし、
塩をふるところまでやってもらえばバカみたいに簡単。
ただ仕事をしている人とかは、魚屋へ行くのが難しいかもね。
スーパーでもたまに「しめサバOK」とシールが貼ってあるサバの半身が
売っていたりするから、そういうのを見つけたらやってみるのもいいのかも。
塩もただ身と皮の両面にふればいいだけだから難しくない。
塩をしておく時間は5時間。
5時間たったら水で洗い、そのあと水気をよく拭う。
ビニール袋に5センチ角大のだし昆布とサバを入れ、小さじ1/2くらいの砂糖を
混ぜ込んだ酢をサバがかぶるまで注ぎ、ビニール袋の口を閉じる。
酢に漬け込む時間は3時間。
3時間たったら、頭のほうから皮を指でつまんで剥ぎ取り、中骨を5~6本抜く。
あとはラップにくるみ、冷蔵庫に半日~1日おいてなじませる。
薬味はおろしたショウガと、よくしぼった大根おろし。
ポン酢しょうゆをかけて食べればいいけれど、もらったスダチがあったから、
それを使った。
旬の脂ののったサバは、ほんとにたまらん。
魚屋で1匹まるごとのサバを買った場合は、あらにも塩をふっておいてもらい、
船場汁にする。
あらはサッと湯通しし、そのあと水でよく洗う。
血の塊は、歯ブラシを使うと落としやすい。
鍋に3カップの水を張り、あらと5センチ角大のだし昆布、短冊に切った大根とニンジンを
入れて火にかける。
煮立ったら弱火にし、アクをとりながらコトコト煮る。
3分たった時点で昆布をとり出し、15分たったらあらをとり出す。
大さじ2の酒と大さじ1.5のうすくちしょうゆ、それに塩少々で味をつけ、さらに5分煮る。
「サバの臭みはどうなのか」と思う人もいるかもしれないけど、こうやって作れば
臭みは出ない。
鯛のような豪華なうまみはないけれど、素朴な味で、しみじみうまい。
つけもの。
2日目の赤カブ甘酢漬けも、いい味になっている。
昨日は夜までカフェで仕事をし、そのあと四条大宮のバー「Kaju」へ寄って
晩酌前の一杯をやることにした。
今はどこでも、バーではチャージを取るのが普通だけれど、四条大宮のバーは
ほとんどのところがチャージを取らないから、一杯だけ飲むという利用の仕方が
できることになる。
まだ時間が早く、マスターだけで他にお客がいない店内に入り、カウンターの奥に
座って熱燗をたのむ。
お酒の用意をしながらマスターはぼくに、
「その後彼女さんとはどうなんですか」
と聞いてきた。
ぼくはマスターに、彼女と連絡が取れなくなっている話をした。
留守電にメッセージを残しても、折り返しがない。
「彼女は東京へもどって、迷っているんじゃないかと思うんです。」
生まれ育った東京は、やはり居心地がいいに違いない。
京都にいたときは、ぼくとずっと一緒にいたいと思っていたのが、
もどってみると、それが夢のように思えてくる・・・。
少し考えこむような素振りをしながら、
「でもそれは、わからないんでしょ」
とマスターは言う。
「もしかしたら、ただほんとに忙しくて、電話をする気にならないだけかも
しれないじゃないですか。
わからないときは、何でも悪く考えてしまいがちだから、良く考えるように
しておいたほうがいいですよ。」
彼女はぼくの家の鍵を持っている。
もし別れようと思うなら、それを送り返さなくてはいけないから、
いずれ連絡があるのは間違いない。
「とりあえず待つしかないね。」
そうだよな。