ぬたを作るにはアサリをゆでるから、その残り汁は吸い物にする。あとはやはり冷蔵庫に残っているピーマンとしめじ、それにウィンナーでオリーブオイルしょうゆ炒め。
砂出しし、よく洗ったアサリは水に入れ、中火にかける。
出てきたアクはすくい取り、殻が全部ひらいたところで火を止めて、吸い物用に3~4個残してあとはとり出し、殻を外す。
ざく切りにした青ねぎは、ゆでるのではなく、サッと一瞬湯通しするだけ。
ザルに受け、ペーパータオルで水気をふき取る。
同量くらいの白みそと酢、それにみりんとからしを少しずつ入れたからし酢みそで、アサリのむき身と青ねぎを和える。
ぬたは貝類にはほんとによく合う。
残り汁は酒とうすくちしょうゆで味つけ。
アサリには塩気がかなりあるから、しょうゆを入れ過ぎないよう気をつける。
トロロ昆布を浮かべると、酒の肴にもってこい。
強火にかけたフライパンにオリーブオイルを引き、まずはうすく切ったウィンナー、それから細く切ったピーマンと房に分けたしめじをサッと炒める。
鍋肌からしょうゆを回し入れ、コショウをふる。
オリーブオイルは使っていても、日本酒にもバッチリ合う。
厚揚げはフライパンでサッと焼き、おろしショウガと青ねぎ、しょうゆをかける。
何事もそうだと思うけれども、料理は失敗を怖れると面白くならない。
というより失敗するからこそ、面白くなるといえる。
たとえば本やネットのレシピには、様々な種類の調味料が使われる。
レシピに書いてある通りに調味料を入れれば、おいしい料理はできるけれど、
「料理を楽しみたい」と思うときには、やはり調味料それぞれの
役割を知りたいと思うようになってくる。
ある調味料の役割を知りたいと思ったら、一番手っ取り早い方法は、
その調味料を抜いてみることだ。
酒でもみりんでも抜いてみて、抜かなかったときの料理の味と比べてみれば、
その味の差が、その調味料の役割であることになる。
調味料を抜いた料理は、レシピ通りの料理と比べておいしくないに決まっているから、
これは「おいしさ」という観点から考えれば、失敗であるといえる。
しかし失敗することによって調味料の役割がわかったのなら、
「実験」という観点からは、成功であることになる。
料理を人に食べさせるために作る場合は、
おいしくないと文句を言われたりするわけだから、
なかなか失敗することができない。
しかしその点、一人暮らしは失敗しても、
まずい料理を食べるのは自分だけなわけだから、
思う存分失敗できるのがいいところだ。
「でもまずい料理を食べるのは悲しいね。」
それはたしかにあるけどな。