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2011-01-09

キムチチゲ

僕は韓国の料理をけっこう作るわけで、それは韓国に行ったり、あと蒲田の韓国マッサージのオネエちゃんと知り合ったりして、作ってもらったものを食べて、作り方を憶えたということはあるのだけれど、それ以上に、韓国という国じたいが興味深いということがあるのだよな。

韓国は日本の隣の国で、文化のルーツは中国であるということで共通しているし、歴史的にも緊密な行き来があり、日本が植民地にしていた時代もあるわけだから、韓国と日本はいわば兄弟のようなもので、文化もすごく似ている。
なのだけれど、まったく正反対に見えるようなところも多く、とくに料理は、そのちがいが際立っているところがある気がする。

韓国で味噌汁を作るところを見ていたら、お湯が沸騰したら、まず初めに味噌を入れていた。
韓国の味噌汁は、味噌でぐつぐつ煮込むということなわけだけれど、日本では味噌汁の味噌は、いちばん最後に入れてほとんど煮立てず、味噌の風味を楽しむというようにするわけで、このあまりのちがいにびっくりしたことがある。

味付けも全体として、日本では淡い味にして、素材の味を活かすようにするのにたいして、韓国では唐辛子やらニンニクやらゴマやら、強烈な味の調味料を使い、まさに攻める料理という感じがする。
材料に味をつけるのに、手で揉み込むことが多いのも、日本とちがうよな。
だから韓国の料理の味は、「オモニの手の味」といわれるのだそうだ。

あと「汁」というものにたいする考え方がちがうのもおもしろい。
日本では煮込み料理の汁を飲むということは、まずしない。
肉じゃがならジャガイモやシラタキとか、角煮やあら煮なら大根とか、おでんならコンニャクとかいうように、おいしい汁を吸い込ませるものを入れて、それを食べるというようにするのだよな。
それにたいして韓国では、汁は基本的に飲むもの。
だからわざわざ、食器に箸だけじゃなく、スプーンがついてくるわけだ。
このちがいが、どういう考え方のちがいに基くものなのか、僕はとても興味があるのだ。

というわけで、昨日もキムチチゲ。

以前買ってあった豚バラのブロック肉が、半分冷凍してあったので、それを解凍して使った。
ちなみに僕は電子レンジをもっていないので、ほんとは早めに冷凍庫から冷蔵庫にうつして、自然解凍するのがいちばんいいのだけれど、昨日はそれを忘れてしまったので、ラップに包んだままぬるま湯に入れて解凍した。

ちなみに僕は、調理器具、機器のなかで、いちばん必要ないのは電子レンジだと思う。
もちろんあれば便利なのはよくわかるのだが、無くても支障がない。
あとは一人暮らしをする、酒を飲む人なら、炊飯器もいらないのじゃないか。
とにかくこういう文明の利器は、一人暮らしをするからといきなり買い込んだりせず、とりあえず無しで暮らしてみて、どうしても必要だということになってから買うとしたほうが、僕はいいのじゃないかと思う。
そういう文明の利器を使うことで、逆に見えなくなってしまうことのなかに、意外に大事なことがあったりするということもあると思うし。

というわけで、この豚バラブロックを1センチくらいの厚さに切って、鍋にならべ、

その上からこんもりとキムチをのせる。
キムチの汁があればいっしょにかけて、しばらく、10分くらいとか、好きなだけ置く。

そしたら鍋にフタをして弱火にかけ、中の豚肉とキムチを蒸し焼きにする。
これも10分でも20分でも、好きなだけ。

フタを開けるとこういう状態になっている。
上の二つの作業は、いずれも豚肉にしっかりと味をつけるためにあることなのだ。

ここに水を、ちょっと少なめ、このキムチチゲはこのキムチの味と塩だけで味つけするから、水が多いと薄まってしまうということなのだが、その少なめの水を入れ、30~40分とか、肉が好きなだけやわらかくなるまで煮る。

昨日はこれに、ピーマンを入れてみた。
ピーマンが好きなだけやわらかくなったら、塩で味をつけ、これに豆腐を入れてひと煮したら出来上がり。

完成。

この肉とキムチからしっかりと出ただしが、たまらないというわけだ。
キムチがトロトロになっているのもまたいい。
煮込み料理は時間はかかるが、煮ているあいだはべつに他のことをしていればいいのだから、大変ということはないのだよな。

これを食べる場合、できれば取り皿などは使わずに、スプーンと箸で鍋から直接食べる、韓国流でいきたい。
ただその場合、テーブルに汁がボトボトたれてしまわないように、箸で取り上げたものや、スプーンの下についた汁を、入っている豆腐の角や鍋のふちで、しっかり拭うというテクニックが必要だ。

熱燗は、昨日も4合。
僕は2合だとちょっと足りず、3合で適量、4合は飲み過ぎ一歩手前のギリギリセーフ、というところだと思う。