東京から帰ってきた。帰りはちょうどお盆の帰省ラッシュの初日にあたり、高速はものすごい混雑ぶりだった。東名が混んでいるからと予定を変更して中央高速へ回ったのだが、そちらでも事故があり大渋滞。予定より1時間半遅れで到着したが、同じ時刻に出発して東名を走った車は、こちらが京都についた時点でまだ名古屋のあたりにいるとのことだった。
昨日サウナで夕方辺りの中途半端な時間に、3時間近くも爆睡してしまったため、バスに乗ってもなかなか眠くならならず、おまけに隣にはデブの男が座っていたから狭苦しく暑苦しかったのだが、もうこの頃では長距離バスを使うことは苦にならない。新幹線より狭くて遅いと思うと、イライラが溜まってくるが、飛行機のエコノミークラスより広いと思うと、感謝の気持ちが湧いてくる。
しかしデブってのは、どうしてあんなに食い続けるんだ。途中で目を覚ますたびに、お菓子をポリポリ食い、甘いジュースを飲んでいた。お前そんなに食うから太るんだよと言ってやりたかったが、もちろん黙っていた。
東京の仲間の病気は舌癌だった。手術はせず、抗癌剤で治療することにしたのだそうだ。日によっては体調の加減がだいぶ悪い時もあるみたいなのだが、この日はそれなりに元気そうに顔を出してくれた。ちょっと前に再婚して若い嫁さんをもらい、小さな子供もいるから、そう簡単に死ぬわけにはいかないだろう。頑張って治そうと、前向きに取り組んでいるみたいだった。
彼と僕とは、誰かの結婚式で20年前に会ったきり、ゆっくり話すのは30年ぶりで、ほんとに久しぶりだったから、彼も僕と、ちゃんと話をしようと努力してくれているのが伝わってきて、それが嬉しかった。もちろん彼が僕に話してくるのは憎まれ口ばかりなのだが。僕は酔っ払ってしまうと人の話を聞けなくなってしまいがちなので、そうならないように気を付けはしたのだが、自信がなかったから、あとで周りの仲間に、「僕はちゃんと話していたか」と聞いたら、「だいじょぶだった」と言うので安心した。
もう一人仲間の中で、乳癌になった子がいて、先週手術をしたのだそうだ。電話ですこし話したが、明るく前向きに振舞っていた。まあしかし、僕たちもそろそろ、そういう年齢に差し掛かってきたということだ。
中野区鷺宮の居酒屋で飲んだのだが、久しぶりの面々だったから嬉しくて、酒がくいくいと入っていき、どれくらい飲んだのか覚えていない。金を払ったかどうかもようわからん。それからさらに、お世話になった先生の家へ行き、飲み直して明け方近くまで飲んでいたらしい。僕はそのままその家に泊めてもらい、リビングのソファで寝たのだが、目が覚めたのが11時。もちろんまだ普通に酔っていて、夜になってようやく酒が抜け始め、気持ちが悪くなってきた。気持ちが悪くなったところで、また飲み始めることになったのだが。
先生の家へ移動する時、誰が言い出したか僕に料理をさせようということになり、コンビニで皆が食材を適当に買い、その食材を使って、僕がなにか料理をこさえることになった。作ったのはベーコンとトマトとセロリとキュウリをオリーブオイルとニンニクで炒め、塩コショウしたもの。それからベーコンとえんどう豆の焼きうどん。しょうゆ味。あとはキムチ豆腐。こちらも酔っ払っていたし、皆も酔っ払っていたから、うまかったのかどうか、ようわからん。塩コショウちゃんとしたかどうかも思い出せない。
翌日起きてシャワーを浴びたら、背中にやけどを負っていることに気が付いた。泥酔状態で料理している最中に、やけどしたということなのだと思うが、まったく記憶にない。なぜ背中だったのかもようわからん。まあしかし、他人にやけどさせたりしなくて良かった。泥酔状態で料理はするなということだ。
東京では他にも、何人かの友達に会った。5年以上会っていない奴もいたが、会って関係が再開するというのはいいことだ。会社に勤めている時は、会社以外の人間との関係について、あまり考えたりしなかったのだが、会社を辞めてみると、損得勘定を抜きで付き合える友達というのは、貴重なものだと思えるようになってきた。