「来頼亭」というのは、西翠町にある、昭和23年創業の、広島では有名な老舗だが、それが五日市にもあるというのをコメントで知って、早速行ってみたのだ。五日市駅の北口を降りて、線路沿いを西に向かって歩き、「近鉄不動産」の所の、驚くほど細い道を入っていくと、住宅地の中にいきなり現れる。西翠町の店とは違って、カウンター10席ほどの、小さな店だ。
ラーメンは550円だが、「ラーメン定食」というのがあって、チャーハンとサラダが付いて、680円、それを頼んでみた。ビールでも飲もうかと思ったが、置いていないのだそうだ。
でこのラーメン、うまい。西翠町の来頼亭より、断然うまい。西翠町も、もちろんうまいのだが、こちらを食べると、あの西翠町の、角のない、まろやかな味というものが、間の抜けた、締まりのない味に思えてしまう。
基本は豚骨のみでだしを取り、化学調味料は一切使わないのだそうだが、濃厚なコクがあり、化学調味料を使っていないとは、まったく信じられない。さらに、ただコクがあるというだけでなく、味に微妙な陰翳があって、それが何なのか、味わっているうちに、あっという間にスープを飲み干してしまう。これはすごいな。
麺も、西翠町のようにやわらかすぎず、ちょうど良いゆで加減。店主は、昭和58年から平成7年まで、西翠町の店主をやっていて、色々あって五日市に出たそうなのだが、ホームページを見ると、いちばん上の、欄外に出てくるタイトルに、「来頼亭本店 ~昭和23年創業以来五日市で守る伝統の味~」となっていて、「本店」という言葉まであるから、来頼亭の伝統の味を守っているのは、こちらだ、という自負が、あるのだろうな。
以前、西翠町の来頼亭に行ったときのことを書いたら、コメントに、「西翠町の味は、自分が学生の頃に食べていたのとは、残念ながらまったく別物で、今では食べる気にならない、先代の時の来頼亭は、麻薬的なうまさがあった」と書いてくれた人がいた。実際先代と今の代で、西翠町の来頼亭の味がどのように変わったのかは、僕にはわからないが、もしかしたらその先代来頼亭の味は、五日市のこの店に、残っているのかも知れないよな。
来頼亭 本店 (ラーメン / 五日市、広電五日市、佐伯区役所前)
★★★★★ 5.0