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2010-02-22

すずめ

広島を圧倒的に代表するこの店、午後3時からの営業で、ラーメンは基本、昼に食べる僕としては、なかなか来にくいのだが、広島を離れるに当たって、この「すずめ」のラーメンは、やはりもう一度、食べておかなければいけないわけで、今日はわざわざ、昼めしの時間をずらして、やって来たのだ。3時過ぎに店に入ったが、こういう半端な時間でも、10人くらいのお客さんが入っているのだな。どう考えてもこの人たちも、この店に時間を合わせたのだろうな。

この店のラーメン、広島ラーメン全体の中では、醤油の味が勝った部類に属する。昔からここに来ていた人は、「味が変わった」と言うし、実際、今は見当たらなくなってしまったのだが、以前あった店のホームページにも、「時代に合わせて味を変えている」ということが書いてあった。べつに代が変わって、味が変わったということではなくて、積極的に味を変えたということなのだが、これは全くの僕の想像だが、化学調味料の量を、減らしたのじゃないかと思う。昔は化学調味料は、「頭が良くなる」とか言われていたのが、20年くらい前から、急に、「体に悪い」ということになってしまったしな。

まあ実際のところ、どうなのかは、聞いたわけじゃないから知らないが、いずれにしても、そうやって、大きく味を変えるという、ラーメン屋にとっては、これはまさに、挑戦だよな、そういうことをしたにもかかわらず、このラーメンがすごいのは、余分なところは一個もなく、足りないところも一個もない、という、このバランス。今回もつくづく、うまいなと思いながら、最後まで汁を飲み干してしまった。

特別な、際立った特徴みたいなものは、一つもないのだが、人間、味の好みは千差万別だろうに、その一人一人にたいして、そのように唸らせる、そのバランス感覚は、どうやって養われ、どのような形で保たれているのか。味を変えるということを、経ているわけだから、ただ教えられたレシピの通りにやっているということではないだろう。まさに秘伝と言うに、ふさわしいよな。

しかし考えてみたら、広島の老舗の、おいしい店というのは、味の指向が基本的にこの店と一緒、余分なものも、足りないものも、ない、これなのだよな。だからもしかしたら、この味は、秘伝などというものじゃなく、広島によって育まれた味、と言えるのかもしれないよな。

すずめ

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