2008-07-01
己斐本町 さざんか
今日はお好み焼きを、二回食べた。お好み焼きへの好奇心に火がついてしまったらしい。
この店は、家から程近い場所にあるのだが、実は前から気になっていて、一度は店の前に自転車まで止めたのだが、看板はないし、中は見えないしで、勇気がなくて入れなかったのだ。
しかし昨日Webに載っているのを発見し、行ってみることにしたのだった。
全く意気地のない僕なのである。
しかしすごい店だった。
広島のナンバーワンは、ここだなと思う。
女将さんは今年71歳、50年前に叔母さんとこの店を始め、叔母さんは途中で亡くなったが、それ以来ずっと、ここを仕切っているという。
結婚して、ご主人がうどんやラーメンなどを担当していたこともあったが、今は亡くなり、また一人でお好み焼きだけを出している。
この女将さんがまた、上品で、気持ちが若くて、「おねえさん」と呼びたくなるような人。
話し好きで、僕がいる間中、昔のことから今のことから、ずっと話をしてくれた。
たまたま息子さんがいたこともあり、一緒に僕に、初めてだからとサービスで、生ビールを出してくれた。
お好み焼きは、昔ながらをそのままに、という感じだろう、シンプルで上品。
揚げ玉も入れないし、青のりも振りかけないが、皮はパリッとし、野菜はホクホク、味はまろやか。
焼くときに、コテでずっと押さえている。野菜の水を出すためだったら、時々押さえればいいはずだろう。たぶん何かの効果というよりも、触れ続けることよって気持ちを込めている、という感じなのだと思う。
「当店自慢は“心で調理”」と大書した色紙が飾ってある。
広島にお好み焼き屋が多い理由は、おそらく原爆のために、ご主人を亡くしたりした女性が、一人で生計を立てなければいけない、ということが多かったからなのだと思う。
お好み焼き屋は、買出しも仕込みも、調理も接客も、女性が一人で切り盛りすることができるのである。
そしてそれを、地域がみんなで応援していく。
そんな構図が、広島のお好み焼き屋にあるのではないかという気がする。
広島風お好み焼きは、ただの料理、食べ物ではない。
広島における、戦後の復興そのものなのだろう。
そういう意味で、今日のさざんかのお好み焼きは、女将の圧倒的な可愛らしさそのままの、何度でも食べに行きたいと思えるおいしさだった。
さざんか
広島市西区己斐本町3-2-7
082-271-3657
広島ブログ