今日の晩酌は、イカキャベツ。
イカをワタといっしょにバターじょうゆで炒めるイカワタ炒めは、おいしいエキスが皿に残ってしまうのがもったいなく、ジャガイモに吸わせようかと考えたこともあるけれど、味的にも色的にもイマイチだなと思っていたところ、キャベツがあったじゃないかと思い至ったという次第。
味の濃い、油系のエキスを吸うと、キャベツはしんなりとしてうまくなる。
本当は、皿ではなく鉄板の上にでも載せ、キャベツを下から加熱するとさらにしんなりするけれど、それは家では難しいから今回は断念。
イカワタ炒めは檀一雄流にニンニクで味付けすると最高にうまいけれど、ニンニクを使ってしまうと他の和食メニューに合わなくなるからしょうゆを使う。
さらにレモン汁(ポッカレモン100)を入れると、ワタのくせが完全に消える。
イカは安いスルメイカ、丸ごとのを買ってくるけど、この料理はさばく必要がほとんどないから、魚を扱ったことがない人にもオススメである。
胴の内側にタテに入っている細長い軟骨と、足の根元にある硬い一対のクチバシだけをとり外し、あとはハシからぶつ切りにしていく。
器に入れ、酒少々と塩ひとつまみをもみ込み、30分ほどおいておく。
フライパンを強火にかけ、オリーブオイルをたっぷりひいたら、まずは輪切りの赤唐辛子をサッと炒める。
つづいて漬け込んだイカとバター少々を入れ、1分ほど炒めてイカがピンク色になったら、しょうゆ大さじ1とレモン汁小さじ1を入れる。
サッとまぜ、味を見て塩加減をすれば出来あがり。
千切りキャベツの上に載せる。
あとはカブの吸い物。
日本酒大さじ2、うすくちしょうゆ大さじ1、塩少々で味付けした2カップのだしで、まず厚く皮をむき、食べやすい大きさに切ったカブの実と、細く刻んだ油揚げを煮て、カブがやわらかくなったら、ざく切りにしたカブの葉としめじをサッと煮る。
最後に片栗粉大さじ1に水大さじ2の水溶き片栗粉を鍋を揺すりながら入れ、トロミをつける。
晩酌を終えたらスピナーズへ出かける。
すでに家で焼酎を5杯ほど飲み、いい気分になっているけれど、金曜の夜はスピナーズへ行くことに決めているから仕方がない。
四条大宮のバー、スピナーズは、金曜の深夜になると老若男女が集まってくる。
下は20代から上は60代まで。
常連の人が多いけれど、一見のお客さんが1人で入ってくることもある。
カウンターからテーブル席までが一杯になり、立って飲む人も現れる。
ぼくが店に入ると、カウンターの1席空いたところに案内された。
隣は若い女性客。
「よしよし」と思って、少しずつ話をはじめる。
ようやくちょっと、話が弾んできたかと思う頃になったら、女性客の友達の女性が店に来て、2人は女同士の話をしにテーブル席へ。
そのあとは、女性客の隣にいた熊の男性が話の相手。
熊に似ているこの男性は、ほぼ毎日スピナーズにいる。
できれば2~3杯さっくり飲んで、3時頃には帰ろうと思っていたけれど、そうは問屋が卸さない。
スピナーズはどういうわけか、話がかならず盛り上がる。
と「どういうわけか」と書いてみたけれど、盛り上がるのには理由がある。
スピナーズへは、お客さんが皆「話をしたい」と思って来るからである。
話が盛り上がれば、酒が進む。
1杯、1杯、また1杯。
時間は2時を過ぎているけれど、これで終わるわけがない。
1杯、1杯、もう1杯、さらに1杯。
しまいにはテキーラが出てきた。
テキーラはイケメンバーテンダーコウイチ君がお客さんからもらったもので、無料だという。
マスターのキム君に注がれたテキーラを飲む。
口当たりがよく、スイスイ飲めてしまうテキーラがいかに危ないかということくらい、ぼくもこの年になれば知っている。
空いたショットグラスにさらにテキーラを注ごうとするキム君を、グラスに手でフタをしてさえぎるも、手をどけるとキム君はテキーラを注ぐ。
注がれた酒は、当然飲むことになる。
そのあたりから、記憶がない。
たぶんテキーラを2杯飲み、帰ったのではないかと思うけれども、よく覚えていない。
「もう1杯飲んでいたら帰れなくなっていたね。」
危なかったな。
深酒の翌日は、だしを体が欲するからきざみうどん。
油揚げは、フライパンで軽くあぶる。