広島には、飲食店のメニューにラーメンがあることがとても多く、東京育ちの僕からすると、びっくりすることが多い。
食堂にラーメン、これはまだギリギリ、理解できる。居酒屋にラーメン、この頃は僕も慣れてしまったが、初めは驚いた。焼肉屋にラーメン、冷麺ならわかるが。さらには、喫茶店にラーメン、洋食屋にラーメン、寿司屋にラーメン、となると、これはもう、想像を絶する世界だ。
これは地方都市では、当たり前のことなのか。メニューが幅広い方が、お客を拾いやすいということだとは思うが、ラーメンは仕込みも時間がかかるし、大変じゃないのか。
このことが意味するところは、広島の人がラーメンが好きだということなのか。それとも、あまり好きではないから、ラーメン専門店としてやっていけるだけ、お客が集まらないということなのか。
と疑問は多々、浮かぶのだが、それはいいとして、この「グリル みき」。洋食屋なのに、ラーメンを出す店。横川駅から東へちょっと行ったガード下、ラーメンの名店「高砂屋」の真ん前にあって、行ってみなくちゃなと、前から思っていたのだ。
メニューを見ると、ラーメンだけじゃなく、基本の中華料理が一通りあるという感じだ。洋食のメニューより多いくらいだな。
1時過ぎに入った僕より後から来た、年配の男女3人連れは、チャンポンを頼んでいた。「おいしいからって言って、連れてきたのよ」とのことだったので、ここは中華屋として認知されているということか。
「すくなめの焼飯と中華そばのセット」という950円のメニューがあったので、それを頼んでみた。ラーメン単品だと、480円。
このラーメン、なかなかうまい。澄んだ鶏がらのだしに、薄めの醤油味で、麺も中細のちょっともそっとした感じ、「夜鳴きそば」とでもいいたくなるような風情だな。
チャーシューがまたうまくて、ロース肉を使っていると思うが、固さがちょうど良くて、味がきちんとしみていながら、肉の旨味も十分残っている。モソモソ感はまったくない。これは絶品だな。
チャーハンも、ハラリと仕上げられている。
店主はいかにも、実直な職人、という感じの人。洋食は当然、ホテルかどこかで修行するのだろうから、調理のたしかな技術を持っていて、それを中華料理に応用するというのも、それほど難しくないということなのだろうな。このラーメンもチャーハンも、細部にわたるまで、きちんとした仕事がされている、という感じがした。
だいたい鶏がらのだしは、ブイヨンというのか、洋食でも使うわけだから、同じことなのだろうしな。
この店はカレーもメニューにあったから、今度はこれを食べてみないといけないな。
みきグリル (レストラン(その他) / 横川、横川駅、横川一丁目)
★★★★☆ 4.0