広島駅から程近いこの店、けっこうな人気で、午後1時過ぎに着いたら、7、8人が並んでいて、1時15分には、昼の部の入店が締め切られ、入ったのは1時半近く、そうやって並んで待っているうちに、クーポンのことを忘れてしまったのだな。待っている間って、余計なこと色々考えるからな。これは新手のクーポン封じか。なわけない。
店の名前は「かばちや」というのだが、東京の人間である僕は意味がよくわからず、野菜の「カボチャ」かと思って、ずいぶん素朴な名前のラーメン屋だなと思っていたのだが、ぜんぜん違う。「かばち」というのは、広島弁で、Wikipediaによると、「文句。屁理屈や生意気であるというニュアンスをふくむ」のだそうだ。
たしかに店主らしき人の顔は、矢沢顔、典型的な広島人という見た目なのだが、この店主が作るラーメンもまた、かなりかばちなラーメンなのだ。この使い方、あってるか。
スープは、典型的な豚骨スープ、広島の醤油豚骨じゃなく、九州の豚骨ラーメンの、あのスープだ。醤油豚骨王国の広島で、九州の豚骨スープというのが、まずすでに十分かばちなわけだが、これはいいのか、で、これに普通にチャーシューやきくらげ、青ねぎをトッピングして、紅しょうがをかけて食べてもらうのでは、当然面白くないから、豚の角煮と、半熟煮玉子を載っけて、九州ラーメンのようなのだが、それとも違う、無国籍風の、って九州は国じゃないが、「かばちらーめん」の出来上がり、というわけだ。
しかしただ、変わってるってだけじゃなく、この角煮と煮玉子、客の主力であろう、メタボなサラリーマンにとっては、必須アイテムとも言えそうな、魅力ある代物だろうから、この店主、ただかばちなだけじゃなく、商売人としても、なかなかのものだよな。
麺は九州ラーメンによくある、極細麺なのだが、これがまた、やわらかくゆでられて出てくる。世の固麺指向に、わざと逆を行ってるんだな。
値段は750円、ちょっと高いが、角煮と煮玉子がついて、高菜取り放題、さらに夜は100円のごはんが、ランチはサービスとくれば、客も納得するだろう。
店主もまだ若そうだから、これからだろう。逆に行きすぎて、後ろを振り向いたら、誰もついてこなかった、ということだけ気をつけて、頑張ってほしい。
かばちや (ラーメン / 猿猴橋町、広島駅、的場町)
★★★★☆ 4.0