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2012-05-26

酒飲み人生のきっかけ。
「えんどう豆の卵とじ」


僕が酒の飲み方を教わったのは、フリースクール時代の学長です。

昭和1桁生まれ、僕の親と同世代。

酒を飲むのが仕事のような人でしたけれど、それなりにきちんと事業をやり、一時はずいぶん儲かってもいたようです。

40代のころには、毎晩銀座を7~8軒、ハシゴしていたとか。



銀座で飲み歩いていたころは、店でサントリー・オールドを1本くらい空け、それからさらに、家に帰ってもう1本空けるということを、毎日やっていたそうです。

それで肝臓を壊すこともなく、今はもう80過ぎで、それでも癌を1回やったくらいで元気でいますから、よっぽど体が強いんでしょう。



僕はその学長がやっていた英会話のサークルに、子供のころから参加していて、学長の顔を見たことだけはありました。

ところが僕が大学生のころ、渋谷は松濤にあった学長の個人事務所に、仲間の1人が遊びに行ったら、「すごく楽しかった」と話してくれた。

何が楽しかったのか、よく確かめもしませんでしたが、僕も行ってみることにしたんです。



事務所はマンションの1室で、ドアを開けるとつながった3部屋が見渡せるようになっている。

奥の和室で、ちゃぶ台の脇に、学長がゴロンと片肘を付いて横になっている。

まん中の部屋には事務机が置かれていて、やはり仲間の1人だった女性がなにやら仕事をしている。

僕は一番手前のキッチンにあるダイニングテーブルの、さらに一番手前の端にすわり、そのまましばらく、手持ちぶたさな時間を過ごしました。



そうこうしているうちに、知り合いの女性は

「お先に失礼します~、ごゆっくり~」

と言いながら帰って行き、僕は学長と2人きりになって残された。

やがて学長も、

「帰るぞ」

と言って靴を履き始めるから、僕も後をついてマンションを出る。



渋谷駅の方へ、道をまっすぐ歩いて行き、東急本店前の横断歩道をわたる。

わたったら左へ行けば、東急本店通りから渋谷駅ということになるところ、学長は右へ行く。

「どこへ行くんですか」

ときくと、

「オレは、行きたいところへ行くんや・・・」

お調子者の僕、

「それじゃ、僕も付いていっちゃおう~っと」

と、学長の後を付いていった。

その瞬間が、僕の酒飲み人生の始まりでした。



横断歩道を右へ行くと、そちらにあるのはラブホテル街。

ラブホテルのあいだを抜け、坂道を上がったところにある1軒の焼き鳥屋に、学長は入っていく。

大将と将棋の話などをしながら、焼き鳥をつまみ、焼酎を飲む。

やや時間が過ぎたかと思ったら、焼き鳥屋を後にして、隣にあったスナックへ。



「社長~、いらっしゃい~」

などと言われながら、水割りを1~2杯。

30分ほどもしたら席を立ち、さらにその隣にあるスナックへ。

そこでも水割りを1杯飲んだら店を出て、それからパチンコ。

玉を買ってもらい、僕もすこし打ってみる。

そのあとまだもう1軒行き、タクシーで帰宅。

そのまま僕は、学長の家に宿泊・・・。



「大人のはしご酒」を、20歳そこそこの僕は初めて体験、味をしめ、それから金魚の糞のように、学長の後をついて飲み歩くようになりました。

酒を毎日飲むようになったのは、それ以来のことで、酒は今でも、「時代遅れ」と思いつつも、僕の生活の中心であり続けているんです。






昨日も、三条会商店街の個人商店で、晩飯の買い出しをしました。

何を食べるか決まっていなかったんですが、魚屋、八百屋、豆腐屋をまわり、その日に出ているものを見ながらお店の人と相談すれば、すぐに決まってしまいます。



まずは魚屋。

活きのいいスルメイカ160円と、ハマチの切り身150円とで迷ったんですが、ハマチにすることに。

ハマチは塩焼きでもいいのか聞いたら、お店の人ではなく、お客さんのおばさんが、

「ハマチは塩焼きでなく、照り焼きのほうがうまい」

と教えてくれた。



ハマチを中火にかけたフライパンでこんがり焼き、醤油、酒、みりん各大さじ1、砂糖小さじ1のたれを入れ、こってりと煮詰めて絡めつける。

やはり脂ののったハマチに、こってりとした醤油味は、よく合います。



商店街を歩いて行くと、魚屋の次にあるのは豆腐屋ですが、豆腐をどうやって食べるかは、まず野菜をどうやって食べるか、決まってからのほうが考えやすい。

そこで豆腐屋に「あとで来ます」と言い残し、先に八百屋に向かいます。



八百屋で勧められたのは、今まさに出盛りのえんどう豆。

どうやって料理したらいいのか聞いたら、「卵とじ」がいいとのこと。

八百屋のお兄ちゃんが教えてくれたのは、だしを使うやり方ですが、昨日はじゃこを使いました。



えんどう豆はさやからとり出し、さっと塩茹でしてザルに上げておく。

じゃこを弱火で乾煎りし、香りが立ってきたら水をそそぎ、酒とみりん、うすくち醤油で味付けする。

えんどう豆を5分くらい煮て、水溶き片栗粉でとろみをつけ、溶きほぐした卵でとじる。



やわらかいえんどう豆に、ふわふわの卵、それにとろみの付いただしの味は、たまりません。

じゃこのだしも、えんどう豆と卵には、よく合うと思います。




魚は焼いて、野菜は煮ることにしたから、やはり豆腐は冷奴。




それに農家のおばさんから買ったキュウリのひね漬けで、献立は完璧です。







酒は日本酒。

昨日も2合飲みました。