この店、家から近いので、しょっちゅう前を通っていたのだが、僕はそばやうどんを進んで食べたいと思うことがまったくないので、入ったことがなかった。
寿司とうなぎは別として、和食全般に、あまり興味がないんだよな。
こじんまりまとまっているのが、イライラするというか。
パンチがないのが物足りないというか。
しかし先日、この日記を読んでくれている人からメールをもらい、このそば吉の味噌煮込みうどんがうまいから、行ってみてくれとのこと、最近そうやって、たぶん自分の好きな店、それをメールで教えてもらうことが増えてきて、もし僕がその店、気に入らなかったらどうなるんだろうと、我ながらちょっとひやひやするのだが、教えられた店には行ける範囲で行くようにしていて、なのでこの店にも、早速来てみたというわけだ。
肝心の味噌煮込みうどんだが、これは今、午後2時以降のみのメニューとなっていて、昼に一度行ったのだが食べられず、夜に出直すこととなった。
味噌煮込みうどんセット、1,100円。
味噌煮込みうどんは、コンロにかけられており、ぐつぐつと沸騰している。
このそば吉、本店は松山市、松山市内を中心に14店舗を展開し、それ以外に広島市に2店舗、ここ庚午店と、それからアルパーク店がある。
以前、松山へ行き、街をいろいろ歩いて、いくつか店に入ったりした印象では、松山というのは、あまり変わったことは好まず、伝統的な日本の良さを、そのまま受け継ぎ、大事にしている、という人たちが住む街だ。
気候もいいし、自然にも恵まれているから、のんびりしているんだろうな。
和食を出すレストランで、ちょっとしたランチを食べたりもしたのだが、きちんと手をかけ、バランスもよく、非の打ち所がない、といった感じだった。
しかしまあ、それは逆に言えば、特徴がないとも言えるのだが。
この味噌煮込みうどんも同じ、取り立てて何か他と違うところがあるということではないのだが、物事がよくよく吟味され、丁寧に作られている、という味がする。
何より、この店の特製だという味噌がうまい。
味噌煮込みうどんといえば、有名なのは名古屋、八丁味噌の濃厚な味が特徴だが、こちらはそこまで濃くはないが、十分なコク、って洒落てみたわけじゃないが、があり、また同時に味噌の風味もちゃんとする。
麺は、讃岐うどんほど硬くなく、徳島のうどんほど、やわらかくない。
具も、味噌煮込みうどんに入るべきものは、一通り入っている。
いわば定番中の定番、王道をまっすぐ歩いている、といった風情である。
なのだが、限りなく刺激を求める現代、その中でも特に辛いもの好きの広島で商売するに当たって、それだけではパンチが足りない、と思ったのかどうか、豆板醤が一緒に運ばれて、それを好みで入れられるようになっている。
僕も最後のほうで試してみたが、なかなか悪くない。
激辛味噌煮込みうどんというのも、メニューにあったから、いろいろ工夫しているということなのだろうな。
そば吉 庚牛店 (そば / 高須)
★★★★☆ 4.0