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2012-05-06

「豚の角煮」
「菜っぱ煮」


豚の角煮は、元々は中国の「東坡肉」(トンポーロー)という名前の料理で、それが長崎から日本に入って「角煮」と呼ばれるようになり、沖縄では「ラフテー」という料理になったのだそうです。



東坡肉は、北宋といいますから、もう1000年前ほどの時代の、「蘇東坡」という人が考えだした料理です。

蘇東坡は詩人で、政治家でもありました。

北宋朝廷の定めた新しい法律に反対したことで、黄州へ左遷され、そこで数年を過ごします。

政権交代があり、新法に反対していた人たちが権力を握ったために、許されて中央に戻されますが、そこで今度は、新法をすべて廃止すべきだという人たちに対し、「新法の中でも理にかなったものは存続すべき」と主張して、ふたたび海南島へまで、追放されてしまったという人です。



東坡肉は、蘇東坡が黄州に左遷させられていたときに、現地で安く手にはいった豚肉をつかって編み出した料理で、東坡はこれをたらふく食べ、悠々自適の生活をおくった様子を詩に残したため、この料理が有名になりました。

かなり複雑な手順をふんで作られる東坡肉を、日本流にアレンジした角煮は、「男の料理」としても大変人気で、実際僕も、料理をはじめた頃には、何度となく作りました。

脂身が多く、肉質としてはどちらかといえば低級な方に属する豚バラ肉を、時間をかけ、手間をかけることにより、「ごちそう」に仕立てあげるというテーマが、男のロマンをそそるものがあるんですよね。

蘇東坡も、左遷されて時間だけはあったから、安い豚肉をおいしく食べるために、研究に研究を重ねたということだったのでしょう。



角煮の作り方は、それほど難しいことはありませんが、味を付ける前に、まず豚バラ肉の脂をぬき、やわらかくするのに時間がかかります。

昼から作りはじめて、出来あがるのはようやく夜になるということになりますが、ほとんどの時間はひたすら「煮る」ことに当てられますので、手間はそれほどかかりません。

あと日本流の味付けで、ニンニクを入れずに作ろうと思うと、最後の煮込みの段階で「だし」を使うことが、絶対に必要になると思います。



「豚の角煮」のレシピ


<材料>(2食分)

・ 豚ばらブロック肉 500gくらい

・ ショウガ うす切りを2枚
・ 長ネギの青い部分 1本分

・ だし昆布 1枚
・ 削りぶし 大きく1つかみ

・ 砂糖 大さじ4
・ みりん 大さじ2
・ 醤油 大さじ4
・ 酒 大さじ4

・ サラダ油 大さじ1
・ 水


<作り方>

1. 豚ばらブロック肉は、5センチ角くらいの大きさに切る。「ちょっと大きすぎるかな」と思うくらいに切るので、肉は煮ているあいだに縮むから、出来あがりはちょうどよくなる。フライパンにサラダ油大さじ1をいれ、中火で温め、豚ばら肉の一番上の脂身の部分を下にして入れ、2~3分、こんがりきつね色に色づくまで焼く。そのあと箸で方向を変えながら、豚ばら肉のすべての面に、こんがり焼き色を付ける。豚ばら肉を焼くのは、脂を抜くためと、煮込んだとき煮くずれしにくくなる意味がある。

2. 鍋に焼き色を付けた豚ばら肉を入れ、たっぷりの水を張り、長ネギの青いところとショウガを入れ、強火にかける。沸いてきたら弱火にし、コトコト2~3時間煮る。途中で水が足りなくなったら、水を足す。ここでしっかり下ゆでして、脂を抜き、やわらかくしておくことで、味がしみ込みやすくなる。煮終わったら、30分ほどそのままおいて冷まし、いったん出た豚のうまみを、ふたたび肉にもどすようにする。ゆで汁は捨てずに、冷蔵庫に入れておいて、後日ラーメンのスープなどに使うようにする。

3. 鍋に水500ccを張り、だし昆布と削りぶしを入れ、中火にかける。煮立ってきたら弱火にし、あくを取りながら3分煮る。キッチンペーパーをザルにひき、それでだしを濾しとる。

4. 鍋に豚ばら肉、だし、砂糖、みりん、醤油、酒をいれ、強火で煮立て、煮立ったらとろ火にして、味見をし、味を加減する。キッチンペーパーの落としブタをし、コトコト1時間くらい、煮汁が豚肉とおなじ高さくらいに減るまで煮る。煮終わったら火を止め、肉を煮汁の中にいれたまま30~1時間ほどおいて冷まし、味をしみ込ませれば出来あがり。



カラシを付けて食べます。

トロトロに煮え、味がしみた豚ばら肉は、たまりません。





あとは「菜っぱ煮」。

これは以前、祇園にあるおばんざいの店で食べたもので、京都の人は、これを家庭でよく作るのだそうです。

油揚げと青菜だけを実にした吸物ですが、昆布と削りぶしできちんとだしを取ると、ほんとうにおいしいです。

菜っぱは、小松菜などアクが少ないものなら、生のままだしで煮てしまっても悪くはないと思いますが、やはり下ゆでした方が、味が澄みます。



「菜っぱ煮」のレシピ


<材料>(2食分)

・ 青菜 1把

(青菜は、今日は小松菜を使いましたが、ほうれん草でも水菜でも、なんでもいいと思います)

・ 油揚げ 2分の1枚
・ 昆布と削りぶしのだし 400~500cc

・ 酒 大さじ2くらい
・ うすくち醤油 大さじ2くらい


<作り方>

1. 青菜は水で洗い、あらかじめ下ゆでしておく。ゆで時間は、小松菜なら5分くらい、ほうれん草なら30秒ほど。ゆでたら水に取り、軽くしぼって、5センチ長さくらいに切る。油揚げは、キッチンペーパーで押して油を拭き取り、5ミリ幅程度に切る。

2. だしに酒とうすくち醤油で味を付ける。うすくち醤油は、はじめから上の分量を入れてしまうのでなく、味を見ながらちょうどいい加減になるまで足していくようにする。

3. 油揚げを2~3分煮て、次に下ゆでした青菜を1分ほど煮れば出来あがり。





それから、高菜のじゃこ炒め。

高菜とちりめんじゃこ、唐辛子を、ごま油で炒め、酒と醤油をたらします。

これは何度も作っているんですが、酒のつまみに最高ですし、ご飯のおかずにも絶対いいです。





酒は日本酒。

友達が、なんと久保田の千寿をくれました。





今日は朝から夕方までは、雲1つないいいお天気で、ところが夕方からにわかにかき曇り、雷雨になったかと思ったら、夜はまた晴れ、おぼろ月夜となりました。

あとで聞いたら、今夜は「スーパームーン」だったのでした。