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2010-10-04

ラーメン太郎

「ラーメン太郎」、家からそう遠くないところにあるのだが、知人と話していて、この店のことを聞いたとき、僕はその存在を知らなかったのだ。
家から自転車で20分圏内のラーメン屋は、食べログで、ひと通りチェックだけは済ませたはずなのだがと思って、改めて食べログを見てみたら、納得。
評価点が低すぎて、僕がチェックする範囲から外れていたのだ。
しかもいちばん最近の口コミ、といってももう、2年ほど前のものなのだが、「店があまりに汚すぎて、二度と行かないでしょう」みたいなことが書いてあって、たしかにこんなのが一番上に書いてあったら、誰も行かないよな。

僕もそれを見て、行くのはかなり怖かったのだけれど、いや、おいしい店ばかりを探そうとするのは、ほんとのラーメン道じゃない、そこにある店を、あるがままに受け止めてこそ、一人前のラーメン好きと言えるのだ、みたいなわけわからないこと考えてみたりして、とりあえず怖いもの見たさで、ラーメン太郎、行ってみることにしたわけだ。
しかもこの「ラーメン太郎」という名前も、何だか人を食ったような、ちょっと笑える名前だよな。

行ってみて、結論を言うと、口コミに書いてあるほど汚いことはまったくなく、全体としてかなり雰囲気のある、悪くない店だと思った。
知人の話によると、できて30年くらいになるのではないかとのことだったので、新しくてピカピカしているということはもちろんないのだが、どちらかと言えば掃除は行き届いていて、かなり清潔な感じはした。
もしかして、口コミを見て、きちんと掃除するようになったのかな。
わからんが。

店のデザインがまた、ふた昔前の洒落たカフェ、とでもいったセンスで、木目調に白壁を基軸としながら、カウンターには赤とか、調理場の壁は黄色とか、鮮やかな色が使われていて、僕なんかはこういうのは、年のせいもあると思うが、けっこう落ち着く。

店内に、ほんとはいくつか写真を撮りたいものがあったのだが、初めて行って、いきなり色々写真を撮るというのも、もちろん料理の撮影許可はもらったが、ちょっと失礼だと思って遠慮したのだが、入り口をまず入ると、そこに、「キープ箸」というものがあって、10膳くらいか、名前を書かれたところに、ビニールにくるまれて入れられている。
お客さんが自分の箸を持ってくると、使ったあと、それを店で洗って、ビニールにくるんで、そこに置いておくということなのだろうな。
エコということなのだろうけど、そのわりには、テーブルにあるわり箸は、わざわざきちんと包装された、コンビニ弁当に付いてくるような、楊枝まで入ったタイプで、まずはこれをもっと簡素なものにしてもいいのじゃないかと思うが、たぶんそこにはこだわりがあって、ほかのお客の手が触るような形で、箸を置いておくというのは許せないとか、そういうことなのだろうな。

それからカウンターの上に、洗ったグラスがお盆にのせられて、並べられているのだが、このグラスがひとつひとつ、てんでまちまちな形をしてるのだ。
この意味がよく解らなくて、写真をとって、マスターに理由を聞いてもみたかったが、初めてなのにそんな細かいことまで聞くのは、失礼だと思って、これも遠慮したのだが、よく居酒屋が、お猪口を選ばせるみたいに、ビールの注文があると、グラスを選ばせるということなのかな。
それともお客がキープグラスでもしているのかな。
とにかく不思議。

でも箸やらグラスやら、そういうことのひとつひとつが、この店の、なんとなくあったかい感じがする、独特の雰囲気をかもし出すのにひと役買っていることは、たしかなのだ。

メニューがまたこれが、かなり独特。

「こってり」「あっさり」「しお」「しおバター」「みそ」までは理解できるが、次がいきなり「たぬきラーメン」。
お揚げのあんかけなのだそうだ。
「とうふラーメン」。
豆腐が入っているのだろう。
「イタリアンラーメン」。
ミネストローネ風ラーメン、チーズのせなのだそうだ。

マスターはたぶん、60代くらい、団塊の世代という感じだろうな。
白髪の混じったスポーツ刈りの、ゴツイのだが愛嬌のある顔をしていて、まじめな顔をしても、ギョロッとした目が笑っているというタイプ。
たぶん酒飲んだりして話すと、間違いなくおもしろい人なのだ。
色々変わったことを考えるのが、好きなんだな。

しかし今日は、初めて来たわけだし、とりあえず定番、メニュー筆頭の「こってり」。
こってりは豚骨で、あっさりが鶏がらなのだそうだ。
単品だと650円だが、それにギョウザとライスのついたサービスランチ、750円、というのにした。
麺を太麺と細麺から選べるということで、おすすめはどちらかと聞いたら、うちはもともとは太麺なんだというから、そっちにした。

こってり、太麺。
なるほどたしかにこれは、かなりこってりとした豚骨だし。
脂が上に膜をはって、湯気が出ない、というくらいのやつ。
それにかなり濃いめの醤油ダレが合わせてある。
広島にはこういうラーメン、わりと普通にあると思うな。
京都ではこってりというと、天下一品なわけだが、だいたい天下一品は鶏がらだしだし、醤油の味もここまできつくないから、系統としては全然べつだな。

麺は、太麺と言っていたが、太いことは全然なく、ふつうの太さ。
ゴワッとした食べ応えで、なかなかうまい。

トッピングは、極うす切りの、うす味にさっぱりと炊いたバラ肉チャーシュー、メンマ、青ネギ。
しかしここに、さすがこの店、定番ラーメンでもタダでは起きないのだな、セロリの、たぶんゆでて細かくきざんだものが入っている。
このセロリの風味が、醤油豚骨が陥りがちの、味の単調さを救うようになっているのだ。
なかなかのアイディアだ。

でもなあ、これ、ちょっと惜しいのだ。
醤油ダレがきつすぎて、ものすごく塩辛かった。
味の調整は、マスターじゃなく、宅八郎似の若い兄ちゃんがやってたから、タレの分量をまちがえてしまったのじゃないかと思うくらいなのだ。
タレがもっと少なければ、かなりおいしかったと思うのだが、これも、教えてあげようかとも思ったが、初めてなのにあまり出すぎた真似はよくないなと思って、遠慮しといた。

ギョウザとライス。
ギョウザは、ボリュームはあるが、まあふつう。
ライスも、ちょっと長めの時間、ジャーに入っているかな、という感じ。
でもこれで、750円というのは、かなり安いのじゃないかと思う。

ギョウザのタレが、この背の高い、よくオリーブオイルが入っていたりする器に入れられていて、こういう訳の解らないセンスも、僕は嫌いじゃない。
酢醤油だけじゃなく、ラー油まで入っているから、手軽なのだ。

お勘定、今日は月曜で、全品10%オフということで、なんと675円だった。
毎週水曜日は、「レディースデイ」ということで、女性は全品半額なのだそうだ。
ただしビールは一本までとのこと。

宅八郎似の兄ちゃん、僕がカメラを忘れて出たのを、わざわざ走って追いかけてきてくれた。
すごい一生懸命で、もしかしたらタレの分量は間違えたかもしれないが、いいヤツであるのは間違いない。


ラーメン太郎 ラーメン / 西大路三条駅西院駅(京福)西院駅(阪急)
昼総合点★★★★ 4.0