なぜわざわざこんなことを力説するかというと、一人暮らしをする男性が、料理をしようと思い立ち、まず初めに何をするかといえば、本屋に行って、料理の本を探すと思うのだ。それでとりあえずどれか、料理の本に書いてあるものを、書いてある通りの材料を買って、書いてある通りに作ると思うのだが、僕の友人・知人を見渡してみても、だいたいは2、3回作ってみて挫折してしまっている。料理の本に書いてある料理が、複雑すぎるのだ。なぜそうなってしまうかと言えば、料理の本に、肉は塩コショウして焼くのが一番うまいと書いても、そんな本は売れないし、それ以前に料理の本として成立しないからだ。しかし嘘じゃない。肉は牛、豚、鶏とも、塩コショウして焼くのが一番うまい。あと魚は、塩をふって焼くのが一番うまい。ちなみに塩コショウして焼いた肉には、僕は青ネギとレモン汁をふって食べる。
塩焼きした肉や魚とか、おしたしにした野菜とかは、ただうまいというだけじゃなく、毎日食べても飽きないのだ。だから誰に文句を言われることもない、一人暮らしの者にとっては、これはうってつけであると言える。時々目先を変えたくなったら、しょうが焼きでも照り焼きでも、煮物でも、やってみたらいいということなのだ。料理をしようとキバってしまうから、面倒くさくてやめてしまうのだ。繰り返すが本来、素材に最小限の手を加えたものが、家で食べる分には、一番うまいに決まっているのだ。