めしは炊飯ジャーで炊くというのが、ほとんどの人がしていることだと思うのだけれど、めしというのは日本の食事にとって、基本中の基本なのだから、炊飯ジャーごときにすべてを任せてしまうのではなく、そのくらい自分で鍋で炊いてみたらどうかと僕は思う。今の日本で、ある日電気がなくなってしまったら、みんなどうするのだろう。米すら炊けない人が、そこら中にあふれ返ることになるわけだ。それって日本人としてどうなんだ。
と訳の解らない主張から始まったわけだが、実際鍋でコメを炊くのはまったく難しいことはなく、水加減にしても火加減にしても、多少違ったって大きく失敗することはない。どんな鍋でも、それなりのめしは炊けるが、しかしやっぱり土鍋、しかも米炊き専用の土鍋は、炊飯ジャーなど比較にならない、圧倒的においしいめしが炊ける。
その米炊き専用の土鍋、僕が使っているのは「かまどさん」。東急ハンズで、ほかの米炊き用の土鍋が、1合炊きなら2,000円~3,000円で買えるところ、6,000円もしたのだが、どうしても欲しくなって、買ってしまったのだ。
ほかの土鍋と何が違ったかというと、鍋の重さ。厚みがものすごくて、たぶん2センチほどはある。そのおかげで、まず鍋が熱を、これでもかとばかりにたっぷりと蓄えてくれるのだ。実際この間テレビで見たが、炊飯ジャーもふくめ、金属の鍋だと、温度が150度ほどまでしか上がらないところ、土鍋は250度ほどまで上がるのだそうだ。そのため米が、ふっくらとやわらかく炊ける。
しかしそれだけではなく、かまどさんは、この土鍋の厚みが、火を止めたあと、余分な水気を吸い取ってくれる。昔だったら釜からおひつに移すことによって得られるような、そういう効果があるのだ。だからやわらかいのだけれど、水っぽくない、表面は乾いていながら、中はふっくらという、死ぬほどうまいめしが炊けるというわけなのだ。僕このかまどさんで炊いためし、人生の中で、これまで食べたどのめしよりうまかった。
炊き方は、ほかの土鍋よりむしろ簡単。水加減をして、しばらく置いたら、中火にかけて、そのまま待つこと十数分、フタの穴から蒸気が吹き始めて、1分後に火を止める。あとは15分、そのまま置いておくだけ。
炊飯ジャーを持っている人だって、普段はそちらを使っても、休日などに、ほんとにおいしいめしが食べたいときは、かまどさんを使うという風にしたって悪くない。もちろん1合炊きだけじゃなく、2合炊きと3合炊き、それに5合炊きも売っている。