僕はあまり行ったことがない町に行くと、繁華街を端から端まで、隅から隅まで歩いて回って、何かを感じる店を探したりすることがある。見ることができるのは、店構えと看板だけなわけだが、これは店の顔のようなものだから、店主がどんなことを考えて、どんな店をやろうとしているのか、かなりのことがわかるのだな。で実際、なんとなくしっくりいく店に入ってみると、ほぼ間違いなく、自分の気に入る店だったりする。と、ここまで引っ張ったのに申し訳ないのだが、今回松江の駅の北側、朝日町あたりの繁華街を、隈なく回ってみたのだが、どうもピンとくる店が見つからなかった。
そこで、満金楼を教えてもらった駐車場のおばちゃんを再度訪問、おすすめだった居酒屋がここ、「こにこ」。通りをずいぶん入った、住宅街の中にあるから、自力じゃ探し当てられないな。店主はまだ30代で、始めて数年らしいが、大きなL字型のカウンターと奥の座敷は、ほぼ満員、地元の人に愛されている、という感じだった。「こにこ」というのは変わった名前だが、これは店主の苗字が「小荷子さん」というのだ。初めて聞く苗字だな。
まずは瓶ビールに、お通しの枝豆。
刺身の盛り合わせ。甘エビにサーモン、かんぱち、ホタテ、いか。とくべつ変わったことはないが、きちんとうまい。わさびが、すりおろしたものに加えて、みじん切りしたものが入っていて、こりっとした感じがするのがなかなかいいな。
松江の酒、「高正宗」。甘めのやさしい味だ。
かんぱちのカブト焼き。ポン酢につけて食べる。かんぱちの頭って、マダムジョイでも見たことがないのだが、聞いたらかんぱちは、すでに三枚に下ろされて、真空パックに入ったものが、市場なんかでも出回っているとのこと。なるほどな。でもこの店には頭があるってことは、丸々一匹のやつを買ってきているわけだ。
オクラやっこ。冷奴にオクラとおかかと、海苔と青ねぎがかかってるってだけだが、これはいいな、今度自分でもやってみよう。
サービスで出してくれた、タラの肝だっけな。これは酒のあてには最高だ。
これだけ食べて、日本酒は二合飲んで、お勘定は、3,350円。安いな。面白味はそれほどないが、きちんとした料理を良心的な値段で出す、真面目ないい店だと思う。
ちなみに駐車場のおばちゃんは、帰りに寄ったらまだいて、それから約一時間、話の相手をさせられた。なかなか面白い人なんだな、このおばちゃん。
こにこ (居酒屋 / 松江)
★★★★☆ 4.0