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2011-07-28

ご飯よりお粥の方が、ひとりメシには全然ラク


ひとり暮らしを始めて食事の献立を考えようとすると、
「まずご飯を炊いて…」
となってしまうところがあるんだと思うんですよね。

お母さんに炊飯ジャーを買ってもらって、
「これでご飯は炊けるから…」
なんて言われてたりするから、条件反射的に「食事にはご飯を炊くもの」と思い込んでいたりする。

でも僕に言わせると、これが諸悪の根源。

たしかにご飯は美味しい。日本人にとってこんなにうまいものはない。
でもご飯っていうのは、どうしてもそれ単品だと食べられないんですよね。
味噌汁なりおかずなりが欲しくなってしまう。

「ご飯に漬物だけでいい」という人もいると思うけど、やっぱりそれって「寂しい」と思うんですよね。

ひとりメシを考える時、かなり大事な問題として、
「どうやって寂しさから逃れるか」
ということがあると思います。

その点、「お粥」はいいんです。
僕はひとりで暮らしているのなら、ご飯を炊くよりいお粥を炊いたほうが、「手軽で豪華な食事」ができると思います。


よく献立の表現として、
「一汁一菜」
とか、言われたりしますよね。
一汁一菜はご飯に汁物と、それにおかずが一品あるという意味で、修行中のお坊さんが食べるような、質素な食事の例だけど、それだってご飯に、「汁物とおかず」が付いてくる。
だからご飯を食べるのなら、汁物もおかずも付かないものは、日本人の食事としては、「もう論外である」と、そういうことになっちゃうんですね。

ところがお粥ならば、この「汁物」と「おかず」を、ひと手間で作れてしまう。
ひとつの鍋で、一回の手順でできてしまうんです。

「いかに手をかけずに、しかも美味しいものを作れるか」
というのが、ひとり暮らしで料理をする場合、とても大事な課題となる。
僕はこれを
ミニマル料理
と呼んでいるんですが、お粥はミニマル料理として、ほんとうに優れていると思うんです。


◎ 鶏粥の作り方

お粥というと、
「炊いたご飯をさらに煮る」
と思っている人は多いんじゃないかと思います。
たしかにご飯が余っていたり、冷凍したご飯があるんだったらそうしたらいい。
でもそれだと、「おかゆはご飯より手軽」ってことにならないですよね。

おかゆは普通に、生米から炊けるんです。

そこに、今回は鶏肉を使ったけれど、豚肉でもソーセージでも、味の出るものを入れて一緒に炊く。
そうするとお粥だから、当然汁気があるわけだし、具はおかずになるわけだし、それだけで一食のきちんとした、豪華な食事になるというわけなんですね。

まず米は、普通に研いで、米の5倍の分量の水に浸しておきます。
100ccの米だったら、500ccの水。
そこにだし昆布を入れ、30分以上は置いておきます。

これを火にかけ、沸騰したら、まずだし昆布を取り出す。

それから鶏肉、僕は「モモ肉」を使いますが、これを食べやすい大きさに切ったものを入れる。
鶏肉の量は、好きなだけ入れたらいいです。
いっぱい入れた方が美味いです。

それから玉ねぎを半分か4分の1くらい、薄切りにしたものを入れる。

アクが出てくるから、それをささっと取る。
肉を煮るときのアクは、そんなに真剣に取らなくていいです。全然取らなくてもいい。

それから味付け。
酒を「どぼどぼどぼ」と入れる。
分量は適当でいいんです。

それから塩を入れる。
これはよく味を見ながら入れて、「ちょっと足りないかな」というくらいにしておく。
塩は足りなければ、あとでいくらでも足せるけれど、入れすぎるとどうしようもないからね。

鍋にフタを斜めにかけて、弱火でコトコト炊く。

所要時間は、10分から15分くらい。
鍋の状態を見て、汁気と米のバランスが好みの状態になったところで火を止める。

食べる時は、器によそったら、「コショウ」をふる。これがポイントです。
青ネギなんかをかけても、美味しくなるし、見た目もいい。

どうです、簡単でしょう。


◎ 「酒」はかならず塩分の入っていないものを選ぶ


ここでひとつ、大事なポイントがあります。

「酒は塩分の入っていないものを選ぶ」
ことです。

よく「ミツカンの料理酒」とか、スーパーで安く売っていますが、あれは絶対買っちゃダメです。

酒は塩分を入れると、税率が安くなるというので、安い料理酒には塩分が入っています。
酒はたっぷり使うと、手軽に美味しくなるんですが、塩分が入っていると、塩加減は狂うし、料理の手順もめちゃくちゃになるし、いいことがありません。
値段はちょっと高くなるけど、塩分の入っていない酒を買うことが大事です。

よく「タカラ本料理清酒」というのが売ってますし、それがなければ、安い日本酒でもいいんです。
一般に、材料は節約しても、調味料はいいものを使った方が、料理は美味しくなります。