祇園祭も佳境をむかえていて、明日から3日間は宵山の巨大縁日、日曜日にはクライマックスの山鉾巡行となる。
やはりこれは、京都に住んでいる限り、何があっても見逃しちゃいけないんだな。
「山鉾」は全部で32基あり、現在その組み立てが急ピッチで進められている。
せっかくだから昨日は、買い物に行くついでに、それを眺めてきた。
だからそこいら中の道路が、通行禁止だの、交通規制がかかったりだのすることになる。
それが一週間ほども続くのだから、その間京都市内は大渋滞となるわけだが、もちろん誰も文句を言わない。
この期間は圧倒的に、お祭り優先なのだ。
昨日も山鉾の「曳初め」が行われていて、四条通という京都の目抜き通りを延々と片側規制して、山鉾を市民が引っ張っていた。
大通りを交通規制して市民の憩いの場にするということは、「歩行者天国」がそうだから、京都に限らず、どこの街でも珍しいことではない。
でも京都の場合、交通規制はすべて、「神様を迎える」ことのためにあるのだよな。
車が脇を小さくなって走っているところを、この山鉾が大きな顔をして、ゴトゴトと進んで行く様は、何とも言えぬ迫力がある。
京都の人にとっては、
「神様のためには、車はよけて当たり前」
なのだよな。
これはその通り、たしかにあまりに当然のことなのだけれども、多くの日本人はそれを忘れて、「経済が優先」だと思っているだろう。
そうやって肝心な物事の順番を間違えてしまうと、すべてが狂ってしまうということなんだよな。
昼めしは前日の煮物の残りにお新香で白めし。酒を少々。
白めしというのは、うまいよな、ほんとうに。
こんな簡単な食い物だが、あまりにうまくて、僕は毎日昼から死んでいる。
晩めしには、
「ゴーヤチャンプル焼きそば」
というものを作ってみた。
「レシピを見ないで料理をする」というのが習慣になってくると、だんだん訳の分からない、新しい料理を思い付くようになってきて、それがまた楽しいのだよな。
この頃焼きそばをよく作っているのだけれど、焼きそばというのはよくよく考えてみると、
「炒め物に中華麺を足したもの」
であるということになるわけだ。
何でもいいが、焼きそばの作り方を考えれば、そうなっていることが分かるだろう。
そうであるとすると、この「炒め物」は、
「どんなものでもいい」
ことになるのだよな。
というわけで今回は、この炒め物の部分を「ゴーヤチャンプル」にしてみたわけなのだ。
まず普通にゴーヤチャンプルを作っていく。
豚こま肉を炒め、薄切りに刻んだゴーヤを炒め、手でちぎった木綿豆腐を炒め、そこに溶き卵を流しこむ。
ここでタレを入れるわけだけれども、このタレの量を、麺のことを考えてすこし多めにしておく。
中身は醤油と酒と、チューブの生姜。
醤油は淡口醤油を使うようにすると、炒め物の色が悪くならない。
このタレを、フライパンの真ん中なり端っこなりを空けて、鍋肌にジャーと注ぎ込む。
ここできちんとタレを沸騰させて、酒のアルコールを飛ばしてしまうことが、この料理の唯一のポイントだ。
材料をひと混ぜしてタレを絡めたら、そこに焼きそば用の麺を入れる。
あとは汁気がきちんと飛ぶまで、よく炒めたら出来上がり。
たっぷりのかつお節と青ネギをふって食べる。
これはですねえ、かなりバッチリうまかったです。
酒は久々に京都の「古都」。本醸造の普段飲みタイプ。
京都の酒は、どれもはんなりとした上品な風味があり、すっきりとして洒落ている。
さすが「都の酒」というところなのだ。