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2009-02-02

庚午 「かっちゃん 庚午店」

昼食をどこで食べようか、自転車でウロウロ、物色していて見つけた店。
まだ30代なんじゃないかという感じのお兄ちゃんが店主で、一人で回しているようだ。
「庚午店」となっているのは、井口に本店があって、店主はそこで修行したのだそうで、こちらは「暖簾分け」という形なのだとのこと。
小ぎれいで清潔感のある店舗、開店して1年弱とのことだが、それにしては鉄板はやけに年季が入っていると思ったら、この場所は前もお好み屋だったところに、居抜きで入ったようだ。

「肉玉そば入り」650円を頼んだが、

このお好み焼、大変おいしかった。

焼き方は、袋に入った麺をべつに炒め、最後に本体と合体する、よくあるやり方なのだが、どうしておいしいのか不思議で、食べながら色々考えた。

このお好み焼、粉末の調味料は、丸くのばした生地の上に振りかける魚粉だけで、他には一切使わず、青のりもかけない。
なのにきちんと味がするのは、まず肉が、かなり大判のものを使っていて、それが3枚でお好み焼のほぼ全面を覆うようになっており、これが大きいのだと思う。
キャベツの量はそれほど多くはないのだが、肉のうまみを引き立てる、程良い量なのだろう。
そうやって素材の味がきちんと引き出されたところに、トッピングされたしゃきしゃきの青ねぎが、誠に良いアクセントになっている。

それから麺。
袋麺をあとから合体させるやり方だと、よく麺に味が付かず、エキセントリックな生っぽい麺の味がそのまましてしまう、ということも多いが、ここの麺は独自の存在を主張することなく、きちんと全体に調和している。
麺は鉄板に生地をのばすのとほぼ同時に、袋から出して鉄板に置かれ、しばらくそのまま暖められる。
ずいぶんとそのままにして、そろそろ本体が蒸し上がるという頃になって、たっぷりの油(ラードだろう)と、たぶんだし汁、これもたっぷりかけ、ちゃっちゃっと炒め、丸くまとめて本体を上にのせ、それからかなりの時間、焼きを入れる。
このだし汁がポイントなのかな、とにかく麺が、控えめながらも、全体をまとめ上げている、という感じなのだ。

とまあ、このお好み焼が何故おいしいのかについて、色々考えた理由をあげてみたのだが、これらのことが必ずしも、この店だけがやっているというわけでもなく、やはり決定的な理由は、この店主のお兄ちゃん、腕がいいのだと思う。
そう言ってしまうと、身も蓋もないのだが。
腕がいいかどうかは、焼いてる様子を見れば分かる。
このお兄ちゃん、動作がいちいち、カチ、カチ、と決まっていくような感じで、見ていて心地よい。
また完成されたお好み焼の見た目も、上の写真はピンボケでよく分からないと思うが、端正な姿にまとめられている。
お好み焼は、スープやチャーシューを事前に仕込んでおくラーメンなどとは違って、客の前で焼く、その焼き方で味が決まる部分が大きい。
職人の技術の比重が大きいのは当然なのだ。

この店、まだ開店間もないし、お兄ちゃんも若いし、これからまだまだ進化していくことと思う。
ぜひ頑張ってほしい。

かっちゃん 庚午店 (お好み焼き / 古江、草津)
★★★★ 4.0