この「檀流クッキング」は、料理にまつわるすべての商品の中で、
ぼくが圧倒的にオススメだと思うものです。
料理をする人がこの本を座右に置き、
パラパラと読み物として読み、また掲載されているレシピを参考に料理をしてみて、
絶対に損をすることはありません。
檀一雄はご存知の通り「火宅の人」などで知られる作家で、
女優・檀ふみのお父さんです。
料理上手として知られ、在宅の際には家族が食べる毎日の料理を、
すべて自分で作っていたのだとか。
幼少の頃お母さんを亡くしたため、お父さんや弟・妹達の食事を、
長男である檀氏が作らなければならない羽目になり、料理を始めたとのことですが、
長じても料理への情熱を失うことはなく、
むしろ過熱する一方だったようです。
「食材の買い出しほど楽しい仕事はない」と語り、
檀氏が日本中、世界中を放浪したのも、
各地の食堂や市場をまわり、現地の人が食べるものを
実際に自分で作って見ることが大きな目的だったそう。
晩年には1年ほど、ポルトガル・スペインに滞在しています。
「檀流クッキング」は檀氏が亡くなる数年前に、
サンケイ新聞に毎週1回、約2年間にわたって連載されたもので、
檀氏の料理についての著作の集大成といえるものだと思います。
毎回具体的な料理を取り上げ、詳しいレシピを紹介しているので、
その通りにやれば、檀氏が作る料理を自分も作れるようになっています。
その取り上げられている料理というのが、日本の料理はもちろん、
韓国、中国、ロシア、スペイン、フランス、アメリカ、などなど、
世界中のものであることが、まず「檀流クッキング」の特徴です。
きんぴらごぼうやイワシの煮付けなど、誰にとっても身近なものから、
韓国流のモツ料理、スペインのパエリア、アメリカのクラムチャウダーなどなど、
どれもきちんと現地で学んだ、本格的なものになっています。
またただ料理の作り方にとどまらず、
「料理の楽しさ」を満喫させてくれるのも、「檀流クッキングの」大きな特徴。
料理についての様々なエピソードが語られ、
また筆の端々から、料理を作る、檀氏の喜びが感じ取れるようになっている。
本職は作家ですから、文章の表現力に疎漏がないのは、
言うまでもありません。
しかし「檀流クッキング」のスゴさは、それだけではないんです。
「檀流クッキング」は、ただ読み物として読む分にも、十分楽しめます。
しかし書かれているレシピの通りに、実際に料理を作ってみると、
さらに奥深い世界に入ることができる。
檀氏は取り上げている料理そのものについては、
文章の中ではあまり詳しいことは言わないんです。
しかしそれぞれの料理について、檀氏ならではのコダワリがあり、
それは実際に料理をレシピ通りに作ってみて、初めて分かるようになっている。
おそらく文章では説明が難しかったか、または説明の必要がないと思ったのでしょう、
檀氏の好みの微妙な加減など感覚的な部分が、料理を作ると得心できるところがあり、
「檀流クッキング」は、読んで楽しめ、作って楽しめ、
何度でも繰り返しページを紐解くに、十分値するものだと思います。
「おっさんも檀さんと比べたらマダマダだよね。」
オレもますます精進するよ。
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