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2012-06-10

鉄板焼屋(続編)

四条大宮の鉄板焼屋で目当ての中国人女子2名を見かけながらも、所定金額を使い果たしていたために、泣く泣く家にかえった昨日、布団に入っても中国人の女の子達ととなりの席の中年男性達のたのしそうな光景がまぶたに浮かんで消えない僕は、およそ3秒のうちには

「これは寝られない・・・」

と悟ることとなり、ふたたび服を着て、ポケットに新たに千円札1枚をねじ込み、四条大宮の街へ出掛けることにした。

鉄板焼屋の縄のれんをくぐり、カウンターの奥にすわる中国人女子ふたりと、その手前側のカウンター席にすわる中年男性ふたりのちょうど後ろの、やりとりがよく聞こえるテーブル席にポジションを決め、角ハイボールと冷やしトマトを注文する。



四条大宮という場所柄もあるのだろう、この鉄板焼屋にくるお客さんには得体のしれない人が多い。

多くは非サラリーマンで、僕の目の前にいる、年の頃は40くらいの男性ふたりも、ひとりはニットのキャップにタンクトップ、もうひとりはハンチングにチェックのシャツという気楽な格好をしている。

対する中国人の女の子は、どちらも年の頃は20代前半、派手めの格好をし、ひとりはショートパンツ姿で肉付きのよい脚をむき出しにしている。

このショートパンツの子の方が、以前就職試験の面接の前夜にテキーラをあおっていたのだけれど、僕が気になっていたその面接の結果は、脇で話を聞いているだけではわからなかった。



男ふたりは、女の子ふたりにしきりにモーションをかけている。

下ネタを連発し、完全にナンパモード。

相手が中国人ということで、外国人女性との体験談を次々と披露している。

「白人女性はあまりにべったりとして、毎日でも『逢いたい』といってくるからよくない」

のだそうだ。



中国人女子も、その手のやりとりは慣れたもののよう、下品な笑い声をたてながら、巧みに切り返している。

「写真でこんなの見たことある」

といいながら、右手の人差指と左手の人差し指とで、上下に30センチほどの幅をあけて見せたりする。

ハンチングの男が、調子よく席を移動し、女の子ふたりのとなりに座ってみると、女の子も

「なんで来るのよー」

などといいながらも、まんざらでもない様子。

着実に距離が縮まりつつあるようにもみえる・・・。



と、そのとき。

女の子達の視線が店の入口に釘付けになったかとおもうと、

「なにー、逢いたかったのよー」

と大騒ぎをはじめた。

入ってきたのは20代前半とおぼしき男の子。

この店でアルバイトをしているようで、僕も1~2度見かけたことがある。

可愛い顔をしながら、いかにも純朴そうな感じのする青年で、女の子ふたりは以前から、その青年を気に入っていたらしい。



それからは一気に空気がかわり、女の子たちはその青年と夢中で話しはじめた。

自分たちのあいだに青年をすわらせ、腕を組んだり、肩に抱きついたりしている。

青年も、

「こんなに脚を出されると、つい見ちゃいますよね」

などという、かわいい切り返し。

「やだ、やらしー」

とよろこぶ女の子。



40男ふたりは、もうまったく相手にされない。

ハンチングが横に座ろうとしても、追っ払われる。

仕方なく、男ふたりで話しはじめた。



僕も心おだやかになり、お勘定をして店を出た。

家にかえって、今回は、ぐっすり眠れた。