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2010-04-08

中村桂子先生インタビュー掲載始めます



僕が今回、3月に仕事をやめ、一介の浪人になってやりたいと思うことは、「生命とは何か」ということについて、自分なりの答を見つけてみたいということなのだ。それはたぶん人類にとって永遠のテーマなのであり、大昔、ヒトというものが生み出されたその時から、人間はこのことを問い、答えを見つけようとしてきたのだと思う。それはもちろん、人間がまだ文字をもっていなかった頃から始まり、文字が発明されるとすぐにそれは、神話とか伝説という形で書き記されるようになった。それ以降のここ数千年、あらゆる文化、宗教から文学から、哲学、そして科学は、このことを究極の目標としているときっぱり言い切ってしまっても、まったく過言ではないのだと思う。

それがなぜかと言えば、簡単なことで、このテーマがそれだけ深くて広い、無類の面白さを秘めているからなのだと思う。面白いことに目がない僕は、やはりそれにチャレンジしたい。自分が何かを発見するとか、そういうことを露ほども期待するものではないけれど、その問いに正面からぶつかり、それをほんとに考えようと思っている人といっしょになって、試行錯誤がしてみたい。僕は心からそう思うのだ。僕が自分のこれからの人生をかけるのに十分値する、いや、十分すぎるくらいのわくわくする内容が、そこにあるのに違いないと思えるのである。

実際いま、それが科学という領域で問われるようになっていて、科学者たちの中には「科学」という枠組み自体が大きく拡張されなければ、科学はこの問にたいする答えを見つけられないのではないかと考えている人たちもいる。それがほんとにそうであるのかどうかは僕には分からないけれど、自分がものを考えている、その土台を疑ってみるということほど面白いことはそうはないということは、間違いなく言えるのではないだろうか。

生物学者である中村桂子先生は、そのことを本当に問おうとしているお一人である。僕はご著書を読んでとても面白く、先日お願いしてお話をお伺いした。約1時間にわたって、先生が今まさに構想中の新たな本の内容から、生命科学の現状、ご自身のこれからの方向性、さらにはご自身が今どういうところで迷っているのかというところまで、存分に語ってくださり、これだけの内容を僕が一人で隠し持っているのは申し訳ないということで、ご許可をいただき、明日から10回にわたって、このブログに掲載させていただくことにした。「生命とは何か」という問いのもつ面白さを、少しでもお伝えできれば嬉しいなと思っている。