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2012-01-14

水でさっと煮て、ポン酢で食べる。
「菜の花の常夜鍋」


スーパーへ行ったら、なんともう、菜の花が売られている。

今まさに、寒さ真っ盛りに突入しているわけだけれども、やはりこういう、春のしるしを食べながら、暖かくなるのを待ち望むというのが、日本人というものなのでしょう。



ある国や地域の物の考え方は、そこに住む人たちが食べる食べ物に、はっきりと表れるのではないかという気がします。

例えば肉をおもに食べる人たちと、魚を食べる人たちとでは、考え方は大きく違うのではないかと思わざるを得ない。

肉はまず、獲物を仕留めるところから始めなくてはいけない。

逃げまわる獲物を、追いかけたり、待ち伏せしたりして仕留めることは、かなりの労力が必要でしょう。

捕まえた獲物を、家畜にして飼うということも、行われていくわけだけれど、それにだって、膨大な労力がかかる。

家畜小屋を作り、餌をやり、病気になったら治療もしたりして、家畜が死んでしまわないよう、年単位の時間をかけ、育てていかなければならない。

その努力たるや、大変なものだと思うんですよね。



それに対して、魚を食べる場合には、育てる手間は、基本的にかからない。

養殖も行われたりもしているけれど、それは最近のことでしょう。

基本的に海という大自然が育ててくれたものを、こちらはいただくという話になる。

肉を食べることに比べたら、かける手間が、はるかに少ないのじゃないかと思うんですよね。



肉の場合には、料理するにも時間がかかる。

牛肉などは、4~5時間はかけないと、柔らかくならないし、肉の部位によっては、8~10時間、煮たりすることだってあるわけです。

だから料理が、1日では終わらないことになってしまう。

それに対して魚は、10分も煮れば十分で、場合によっては生だって食べられる。



そうやって、食べ物を食べるために、長時間にわたり、計画的、継続的な努力をしなければならない人たちと、その努力の大半を、「自然」にまかせ、自然の恵みに感謝して生きる人たちとは、当然基本的な考え方というものも、大きく違うことになったとしても、おかしくないといえるでしょう。



今回、東日本大震災をきっかけとして、福島での原発事故が起こり、日本の政治や官僚、財界の中枢が、ひたすら責任逃れをし、あくまで自分たちの権限を守ることしか考えない、完全に腐った状態にあることが、白日のもとに晒されたといえると思うんですが、日本国内で、政府にたいする反対運動が盛り上がるという兆しはない。

ちょうど似たような時期に、アラブで若者を中心とした大規模なデモが起こり、独裁政権がバタバタと倒れていったことと、対照的である気がするんですよね。

自分を振り返ってみても、デモそのものを否定するつもりは毛頭ないけれど、どうも自分がやる気はしない。

「やってもどうせ、変わらないだろうな」と思ってしまう。

独裁政権をぶっ潰すための革命で、革命側が政権を取ってみたら、また独裁政権となってしまい、それまでと変わらないようなことになってしまったというのは、ロシアを見ても、中国を見ても、枚挙にいとまがない。

だいたい日本だって、小泉政権は、自民党をぶっ潰すはずだった。

さらに民主党により、政権交代もおこなわれた。

それでも何も変わらないというのだから、「どうせ変わらない」というのは、そう根拠がないことではない。



しかし僕は、「あきらめている」ということとも、違うんですよね。

何かもっと、「生き生きとしたこと」を、自分のまわりに、つくり出していきたいという気がする。

この「生き生きとしたこと」とは、はなはだ抽象的なのだけれど、日本でわりと昔からよく使われる、「自然」ということばが意味することと、近いのじゃないかと思う。

人間が、ある計画をもち、それを意思と努力によって成し遂げることにより、何かを作り上げるというよりも、人間の生活や、人間どうしの関係が、自然な、生き生きとしたものになっていけば、自ずと全体が変わっていくのじゃないか。

曖昧で、他力本願的ではあるのだけれど、何かそういうように、思えてしまうところが、自分はやはり、根っからの日本人なのかなと、つくづく思うところでもあるんです。



だいたい今の政治家の姿は、日本人の鏡なんですよね。

ただそれを貶していても、天に唾するようなもので、すべて自分に返ってくる。

それならば、自分と、そのまわりとが変わることにより、その延長に、日本人が変わることが、もしあれば、政治家も変わるのだろうと思うんです。



というわけで、昨日はスーパーで、菜の花を買うことにしたわけですが、問題は、これをどうやって食べるかということだ。

菜の花は、おしたしが定番かと思うんですが、僕はもう、鍋を食べる以外のことは、この寒さでは考えられない。

そこで、「常夜鍋」のほうれん草の代わりに、菜の花を使ってみることにしました。

ほろ苦い菜の花を、豚肉といっしょに水でさっと煮て、ポン酢で食べる。

なんともウマそうではないですか。



材料は、菜の花と豚肉、それに油揚げとしめじ。



これを昆布を敷いて水を張り、たっぷりの酒を入れた鍋で、さっと煮る。



つけダレは、ポン酢に七味を振っただけで、あっさりと。



菜の花は、あっという間に火が通るので、食べる分だけ鍋に入れ、あくまでさっと煮るのがポイントです。

ぜひ試してみてください。