2012-01-08
火を通すと甘くなる大根おろしが美味。
「鶏のみぞれ鍋」
一本買いした大根が、まだごっそり余っていたので、料理本などパラパラめくりながら、大根を大量消費できる料理がないかと考えていたところ、見つけました。
「みぞれ鍋・・・」
すりおろした大根を鍋の汁に入れ、その様子がみぞれのように見えることから、名付けられた鍋ですが、具ではなく、汁として、大根を使うので、おでんなどよりさらに大量の大根を入れることができる。
みぞれ鍋は、豚肉や魚介など、ひと通りの具材に使えるわけですが、今回は鶏肉をメインとした具材でやってみることにしました。
鍋の内容を考える場合、まずだしをどのようにするかが、大きな問題となるわけですよね。
鶏肉をつかう鍋は、鶏肉自体から、いいだしが出るので、昆布だしに日本酒をたっぷり入れただけの、あっさりしただしで煮てしまうのでも、十分うまい。
ただ今回、大根おろしを大量投入するので、もう少しメリハリがあったほうがいいと見て、削りぶしを加えることにしました。
だし昆布は、ふつうにスーパーに売っている、安いだし昆布。
削りぶしには、いわゆる「かつお節」と、サバ節やイワシの煮干をまぜた「混合削りぶし」と言われるものと、大きく分けると2種類があるわけですが、混合削りぶしのほうが、値段も安いし、味も強い。
お吸い物ならかつお節がいいけれど、煮物や味噌汁なら混合削りぶしがよい。
よく行く魚屋さんのおばちゃんは、お吸い物でも、味がはっきりしている混合削りぶしを使うと言っていました。
鍋に水を張り、3~4カップの水ならば、だし昆布1枚、削りぶしを2つかみ入れて、中火にかける。
ただ今回は、鶏のだしも出るから、削りぶしがあまり強すぎるのも何だと思い、削りぶしは1つかみ。
沸騰したら弱火にし、アクを取りながら3分ほど煮る。
あとはザルにペーパータオルをしいたもので、濾しとってしまえば、だし取り完了。
このだしに、半カップ程度の酒と、醤油で味をつける。
みりんも入れたくなるところだけれど、大根おろしから甘みが出るから、必要ないんですね。
醤油味は、大根おろしを入れることを考え、少し辛めにつけるのがいいけれど、鍋は火にかけているうちに煮詰まるから、それも計算に入れ、あまり辛くしすぎないようにする。
大根も、おろしておく。
大根は、「ちょっと多すぎるかも」というくらいでだいじょうぶ。汁にちょこっと入れるのではなく、汁の3分の1量くらいを、大根おろしに担ってもらうと考える。
ふつうの大根なら、3分の2本ていど使ってしまう。
汁ももちろん捨てずに、そのまま使う。
具は、鶏モモ肉と、豆腐、シイタケ。
シイタケからもいいだしが出て、しかもそれが、鶏肉の味と、よく合う。
あとは青ネギを小口切りにしたのを、最後にたっぷり振りかける。
みぞれ鍋は、最後に入れる大根おろしは、サッと煮るだけだから、食べる分だけちょっとずつ煮るのでなく、一発でぜんぶ作ってしまう。
だから、台所で全部作ってしまって、出来た鍋を食卓に運んだほうが、いちいち材料を皿に盛り、それを食卓に置いておいたりするのに比べて、簡単なのは確かなのだけれど、しかしここは、それでも食卓で鍋を作ったほうが、はるかにに楽しい。
酒と、鍋を作るあいだ、つまめるツマミを用意しておく。
酒をちびちびやりながら、鍋を作るというのが、なんとも、いい。
これはもしかしたら、関東人の感覚なのかもしれないなという気も、するんですよね。
東京育ちの僕なんですが、関西や西日本へ、むかし初めて行った時、鍋やお好み焼きを、店の人が作ってくれるのを見て、すごく驚いたおぼえがあります。
関東では、鍋にしても、お好み焼きにしても、まあ高級店は、ちがうのかも知れないですが、「自分で作る」というところがウリなんですよね。
寿司や天ぷらなど、奥の厨房ではなく、カウンターの、客の目の前で調理するのも、関東流のやり方だと思うから、調理のプロセスを、食事の一環に含めて楽しむことは、関東を中心とした考え方かもしれないですよね。
でも、関西・西日本の人でも、鍋はやっぱり、食卓で作ってもらったら、楽しいんじゃないかと思います。
はじめに鶏肉だけを、アクを取りながら10分ほど煮る。
次に豆腐とシイタケを入れ、やはり10分ほど煮て、大根おろしをドバドバと振りかける。
大根おろしはサッと煮て、青ネギをたっぷり振りかけたら出来あがり。
すりおろした時には、ちょっと辛い味がする大根おろしが、火が通って、甘くなるのが、なんとも美味。
七味唐辛子をふって食べる。