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2012-01-09

時間と手間をかけて仕上げる。
「豚の角煮」


豚の角煮は、手の込んだ料理の代表のようになっていますが、これは元々、中国の料理だそうです。

檀一雄が「檀流クッキング」で紹介していますが、「東坡肉(トンポウロウ)」という名前で、これが沖縄に伝わって「ラフテー」になったり、長崎のしっぽく料理「東坡煮」になったりしているとのこと。

東坡肉と呼ばれるのは、この料理が、中国は宋の時代の大詩人、蘇東坡により考えだされた料理だからです。

東坡は朝廷に重用されたり、そして権力闘争に巻き込まれて流されたり、また重用されたり、流されたり、ということを繰り返したそうですが、それでとくべつ腐ることもなく、流刑先で安い豚肉をたらふく食べて、悠々自適の生活を送ったのだとか。



この豚の角煮は、男性の作る料理として人気があり、僕が料理を始めたころに買った、いくつかの「男の料理」の本でも、巻頭か、またはそれに近い場所に掲載されていました。

脂身たっぷりの、一般にはあまり高級とはされない部分の肉を、時間をかけてごちそうに仕上げていくのは、テーマとして、魅力を感じるところですよね。

僕もこれまで、何度となく、豚の角煮は作ってきているんですが、今回のお正月、正月料理の一品として、土井善晴のレシピにそって、日本風の豚の角煮を、本格的に作ってみました。

もうお正月の松もとっくに取れてしまいましたが、これを今日は紹介しますね。



肉もお店によって、けっこう味がちがいますよね。

うちの近所では、スーパーよりも肉屋のほうが、おいしい日本産の豚肉が、安く買えます。

これはどういうわけなんでしょう。

檀一雄も、土井善晴も、豚のバラ肉(三枚肉)1キロを買ってくるとしていますが、僕はひとりなので、400グラム。



バラ肉を切らずにそのまま鍋に入れ、肉全体が、ゆっくり浸かる程度の量の水を入れる。

豆腐屋で買ってきたおからを入れ、トロ火で、決して沸騰させないようにしながら、1時間から1時間半ほど煮る。

肉は80度を超えると、タンパク質が変性して、固くなるわけですが、沸騰しないギリギリのところで煮ると、その温度を超えないため、肉がプリプリの、やわらかいまま煮えるんですね。

おからを入れるのは、おからが肉を、やわらかく、しっとりと煮上げる効果があるからだとのこと。

落しブタをして、肉が浮き上がらないようにとのことでしたが、落としブタはないので省略。



煮上げた肉を、今度は、煮汁にひたしたまま冷まします。

最低でも1時間半ほどの時間、冷ますといいとのこと。

これは、冷ますことにより、湯に溶け出した肉のうまみが、また肉に戻ってくるからなんだとか。

なるほどね。

今回は、一晩、ベランダに置いておきました。

固まった豚の脂は、ラードとして炒め物に使えるし、煮汁もおからを漉しとれば、上質な豚のスープになる。

捨ててしまう必要はありません。

といっても今回は、ラードはたくさんあるので捨て、スープだけを、鍋に使いました。



鍋から取り出した豚肉を、水洗いしておからを落とし、真四角に切り分けて、ボウルに入れる。

ボウルに、土井善晴のレシピによれば、昆布と削りぶしで取っただし3カップに、酒4分の3カップ、砂糖大さじ6、を鍋に入れ、ひと煮立ちさせた汁を加え、肉がきちんと浸るようにした上で、蒸し器にセットする。

僕は蒸し器をもっていないので、大鍋に、まず小皿を置いて、その上にボウルをセット。

これでけっこう、蒸し器の代用になりました。

それでまず、強火で20分蒸す。



さらにたまり醤油大さじ4と、ふつうの醤油大さじ1、塩小さじ2分の1を加えて、さらに40分間、強火で蒸す。

煮るのでなく、蒸すというのは、だしの濃さを変えずに、長時間火を通すことができるからだとのこと。

檀一雄は、蒸すのはまる1日やってもいいと書いています。

分量は、土井善晴のレシピをそのまま引き写しましたが、要は、甘辛く、こってりした煮汁にするということで、僕は別に、分量を細かく計ったりはしませんでした。

たまり醤油も、そのほうが色がきれいに付きますが、ふつうの醤油を使っても、問題ありません。



トロトロに、やわらかく煮上がった角煮。

からしを添えて食べると、最高ですね。

ただこれは、冷えたのを食べるとまずいので、保存する場合には、煮汁に浸したまま冷蔵庫に入れ、食べる時、ふたたび煮汁ごと温める必要があるでしょう。

この再加熱の時、沸騰させてしまうと、これまでの苦労が、すべて水の泡になってしまいますので、注意が必要です。






昨日は、行きつけの飲み屋の新年会。

常連さんばかりが、なんと50人ほども集まり、たのしい時間を過ごしました。