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2011-06-22

親子丼、カブと豚肉の汁

冷蔵庫にあまっていた鶏肉で、親子丼をつくった。
というか、実はそうではなく、鶏肉を買うときにすでに、ブラジル産のもも肉だったが、2個入りのパックしか売っていなかったので、それをどういうふうに使うか、計画してあったのだ。
計画というものは、僕はあまり好きでなく、できるだけ行き当たりばったりに人生を送りたいと思っているのだけれど、多少は必要になるばあいもあるということだ。

親子丼をつくろうというとき、もちろん僕は料理の本など見ないが、もし見たとしたら間違いなく、その材料の欄には「だし」と書いてあるはずだ。
このだしというのが曲者で、親子丼の材料にだしと書く料理の本は、ひとり暮らしの人は信用しないほうがいい。

だいたいこのだしをどうやって取ればいいのかが問題だ。
料理の本には申し訳程度に、カツオや昆布を使った一番だし二番だしの取り方が書いてあったりするけれど、親子丼に必要なだしの量100ccとかそんなものに、わざわざそんな手間をかけろというのか。

いやだしは冷凍保存できますからと言うが、ほとんどの人はここで、そんなことをするくらいならということで、ほんだしなどの化学調味料を使うということになってしまうというわけだ。
いわば親子丼の材料にだしと書くということは、暗黙のうちに化学調味料の使用をすすめていることになる。

僕は化学調味料を全否定するという立場ではなく、特に昔ながらのラーメンなど、化学調味料がなければ料理そのものが成立しないというものについては、積極的にそれを楽しむということもできはする。
でも家で自分で料理を作るというばあいには、化学調味料というものは、極力使わないほうがいいと思うのだよな。

なぜかと言えば、化学調味料を使ってしまうと、「料理」というものそのものが、よくわからなくなってしまうからだ。

「だし」の起源を考えてみると、もともとは、おそらく、肉や魚と野菜をグツグツと煮て、鍋のような形にして食べる、その時のスープの味が出発だったに違いない。
そのうちに人間は、いつもいつも鍋のような、すべてが一緒くたにされたものだと、あまりに芸がないと考えるようになり、肉は肉、野菜は野菜、というように別々に料理するようになって、その時初めて、「スープ」というものが、独立に捉えられたものとして誕生したのだろう。

日本も同様だったはずで、もともとは鍋のようなものだったところから、だしというものが独立し、そのだしを簡単に取るための方法として、かつおぶしだの煮干だの昆布だのというものが編み出されるにいたった。

その延長に、化学調味料はあるわけで、考え方として、かつおぶしを使ってだしを取るのと、化学調味料を使うのとでは、どちらも簡単にだしが取れる材料ということなのだから、何も違うことはないのじゃないかと考えたくもなるところだ。

だけれども。
化学調味料は粉末で、それをただ湯に溶かすだけだから、あまりに簡単すぎて、その起源が元々どいういうものだったのかということが見えなくなってしまうと思うのだ。
料理をうまくする魔法の粉で、とにかくこれを入れさえすれば、おいしい料理が出来上がると思ってしまう。
だしというものについて、そういう理解をしてしまった瞬間、料理の本来のあり方が見えなくなってしまうのだな。

親子丼をつくるのに、たとえば鶏肉と玉ねぎを入れるなら、それをグツグツ煮れば、それですなわち、だし取りは完成するわけだ。
いやもちろん、食べる肉をだし取りに使ってしまうと、その肉がちょっとパサパサになってしまうということはないではないが、それをわかってだしを別に取るというのなら良し、でもそれを知らずに、肉と野菜を煮込んでおきながら、化学調味料を入れないとだしにならないと思い込んでしまうのは、魚を釣っておきながら、スーパーで切り身を買うというようなものだ。

というわけで、親子丼は、水と、それにちなみにたっぷりの酒、あとみりんと醤油で味付けした汁で、鶏肉と玉ねぎをちょっと煮て、溶き卵を回しいれてフタをし火をとめ、ちょっと蒸らして、炊きたての白めしのうえにかければ出来上がりという次第。

我ながら大変上手にできたので、うまいものを食うためには、当然酒は必要なのだ。


今までスーパーでカブを何度となく目にしながら、僕はスルーしていたのだ。
カブは野菜の中ではとても好きな部類に属するのだけれども、料理の方法として油揚げといっしょに煮るということくらいしか思い付かず、しかもいつも3コ一束で売ってるものだから、とても食べ切れないと思っていた。

でもこれは大きな間違いだったということに、昨日気がついた。
僕がいつも作っている、肉と野菜を入れた汁、それに入れたらいいというだけのことだったのだ。
というわけで昨日は、カブと豚コマ肉、それに油揚げを、昆布だしにたっぷりの酒、あとはみりんと醤油で味付けして汁にしてみた。

豚肉のおいしいだしが、カブと油揚げにしみこんで、これはたまらん。
カブはあっという間にやわらかくなり、気づいたら煮くずれているということになりがちだから、煮時間だけは注意しておかないといけない。
だいたい5分とか、そんなもので十分なのだ。

酒は大七からくち生もとを2合。