昨日のおっさんひとり飯は・・・。
みこし弁当。
1ヶ月にわたって繰り広げられる祇園祭は、
24日に行われる還幸祭のお神輿をもってフィナーレとなる。
祇園祭は色々楽しいことがあるけれど、
やはりぼくは何と言っても、このお神輿が一番好きだ。
京都といえば、はんなりとしたやさしいイメージがあるけれど、
お神輿だけは、荒々しい。
3年前に初めて祇園祭のお神輿を見たときは、
京都のどこに、こんな荒くれ者が潜んでいるのかと思ったくらいだ。
お神輿のときには、お神輿を担ぐ人を含め、
関係者のために弁当が配られる。
「みこし弁当」と呼ばれ、お神輿当日の朝、
神輿会の男衆の手で作られるのだそうだ。
もちろん非売品で、京都の人でも、そう簡単には手に入らない。
ぼくはこれを去年から、三条会商店街でいつもお世話になっている
八百屋「玉弁」のご主人のご厚意で、分けてもらえるようになり、
これを食べるのを、まずはとても楽しみにしている。
笹の葉に包まれ、午前中に受け取るときにはまだ温かい。
驚いたことに、このみこし弁当は夏の暑い日でも、
冷蔵庫に入れなくても3日くらいは腐らないのだそうだ。
笹の葉を開くと・・・。
中に入っているのは、ごま塩の振られた白めしと、梅干し、タクワン。
「これぞ日本の弁当だ!」と言いたくなる、何ともシンプルな構成だ。
まずは白めしを口に頬張る・・・。
これが、「死ぬほどうまい」という話なのである。
何でもきちんとお祓いをした専用の田んぼで作られた、
上等な米なのだそうだ。
さらに炊き加減も、かた過ぎもやわらか過ぎもせず丁度いい。
次に梅干し・・・。
これもまた、言うまでもなくうまい。
今時のふわふわに柔らかいタイプではなく、しっかりとした食べ応えがある。
味はいわゆる昔ながらの、酸味の強いもので、
ぼくが子供のころおばあちゃんの家で食べた梅干しが、
まさにこういう味だった。
そしてタクワン。
まったくクドいが、これもうまい。
きちんと漬かっていながら瑞々しく、
歯応えがありながら、かたくない。
味は濃く、やや甘みがあるが、甘すぎることはない。
このようにみこし弁当は超一級品で、
このようなものが食べられるのは、ほんとうにありがたいことだと思う。
さらにこのみこし弁当は、夜食べると一番おいしくなるよう調整されているというから、
何とも凄いことだ。
さてみこし弁当を食べ終わったら、
いよいよ神輿見物に出かけることにする。
いつも行くバー「スピナーズ」の前を通ると、
すでにマスターのキム君と、顔見知りのお客さんが待機している。
そこでまずはビールを一杯となるのは、当然の成り行きなのだ。
ビールを飲んでいるうちに、先行隊が前を通りがかる。
そのうちの一人も、スピナーズのお客さんだ。
祇園祭のお神輿は、中御座、東御座、西御座と3つある。
スサノオノミコトの御霊が乗せられ、3基のお神輿の筆頭となる中御座は、
ぼくがいつも買い物に行く三条会商店街を中心とした
エリアに住む人達によって結成される、「三若会」によって担がれる。
だから三条会商店街は、八坂神社前を除き唯一、
還幸祭のお神輿が、3基とも通るルートに当たっている。
観光客はほとんどいないので人もそれほど多くないし、
狭い商店街の中だからお神輿を間近で見られるし、
商店街内の数カ所では、お神輿を手を一杯にのばして持ち上げる
「担ぎ上げ」も行われるしで、
還幸祭のお神輿を見るには、三条会商店街は最高のスポットなのだ。
さていよいよ、中御座神輿が商店街に入ってきた。
「ほいっとお、ほいっとお」の掛け声とともに、膨大な人数の男衆が、
商店街の幅一杯に広がって歩いてくる。
お神輿は、ほかの場所を通るときには、車輪を付けることもある。
しかしここ三条会商店街を通るときは、3基とも車輪を外し、
男衆が実際に担いでいる。
お神輿は、やがて商店街内にある八坂神社御旅所の前に到着し、
いよいよ担ぎ上げとなる。
肩に担いでいたお神輿を手に持ち替えるわけだから、
リーダーの掛け声とともに、全員が、一致団結して動く。
そして担ぎ上げが始まった。
これを間近で見ると、ものすごい迫力なのである。
お神輿の見物を終えたら、松下奈緒似の女性、米倉涼子似(自称)の女性と共に、
四条大宮の居酒屋「ふる里」へ。
そのあとはさらにスピナーズへ行き、いつも通り、遅い時間まで飲んで帰った。
「おっさんもお神輿を担いだらいいのに。」
いやいや、軟弱なおれには絶対ムリだよ・・・。