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2012-02-21

調味料を加えるだけで全くちがう味。
「韓国式ブリ大根」


韓国の料理は、日本人にとっては、合う人と合わない人とが極端に分かれるのではないだろうか。

日本人は、辛いのが苦手な人が、少なくない。

韓国の料理は、ほとんどが激辛料理だから、言うまでもないが、辛いのが苦手な人は、食べられない。



子供は辛いのが苦手な場合も多いから、韓国の子供はどうするのかと思うかもしれないけれど、韓国では、子供にはやはり、それなりのトレーニングを積ませるみたいだ。

小さな子供には、キムチを水で洗って食べさせたりしている。

しかし小学生くらいになると、もうすでに、キムチがないとご飯が食べられなくなっていたりするからオドロキだ。



韓国でここまで広く普及している唐辛子だけれど、元々は秀吉の時代に、日本を経由して韓国に入ったのだそうだ。

日本では、七味唐辛子など、あくまで添え物にしかならなかった唐辛子だが、韓国では主役の座に躍り出ることとなった。

唐辛子をめぐるこのような扱いのちがいが、どのような国民性のちがいを背景としたものなのか、興味がわくところだろう。



もともとは中国の強い影響のもとにあった日本と朝鮮だが、徐々に独立の機運が生まれ、統一国家としての道を歩むことになる。

その際、中国から遠く離れた日本では、中国からの影響を排除するのもそれほど難しくなかったろうけれど、中国と大地を接する朝鮮では、つねにその影響と戦わなければならなかったろう。

さらには秀吉が朝鮮半島に侵略したことで、朝鮮にとっては、日本も戦う相手となる。

朝鮮は、長い年月にわたり、東西の脅威にはさまれながら、自らの独立を保っていかなければならなかったということだろう。



朝鮮半島では、現在でも、南北に分断され、緊張がつづいている。

韓国は、北朝鮮との一触即発の状況のなか、いつでも応戦できる体制をととのえている。

地理的に離れた場所で、侵略の脅威もなく暮らしてきた日本とは大きくちがう。



唐辛子の辛さは、「口」という肉体にたいする、一種の攻撃であるともいえるだろう。

唐辛子を食べることにより、その攻撃を受けながらも、栄養分をとり入れ、さまざまな効能を求めることは、朝鮮半島が歴史的に、緊張状態がつづいてきたことと、無関係ではないように思える。



じっさい韓国へ行くと、街頭でケンカしているのかと思うような光景を、しょっちゅう見かける。

しかしそれは、日本人にはケンカしているように映っても、韓国の人にとっては、べつに何でもない、ふつうの会話だったりする。

日本と韓国とは、長年密接な交流があり、兄弟ともいえるような身近な関係なのだけれど、歴史的、地理的な条件により生み出される国民性には、大きなちがいがあるということなのだろう。






韓国の料理は、唐辛子、それにニンニク、それからゴマを、大量に使うところが、日本の料理とは大きく異なる。

しかし実は、ちがいはその3つだけで、あとは日本の料理とよく似たところも少なくない。

ものすごく単純に言ってしまえば、日本の料理に、唐辛子とニンニクと、ゴマ油を入れれば、韓国の料理になる。



韓国でも、魚の煮付けはよく作られる料理の一つとなっているが、日本の煮付けと異なるのは、上の3つの調味料が入っていることだ。

あとはほとんど同じだといってもいい。

作り方はほとんど同じなのに、できるものは全くちがって感じられるから、日本人にとって、韓国式の料理を学んでみるのは、楽しいこととなる。



それで昨日は、ブリが食べたいなと思い、韓国式で、ブリ大根を作ってみた。



ブリは、あらを買うと、うまくて安い。

煮付けにするなら、あらは脂が乗っているから、切り身より断然いい。

ブリは臭みが出やすいから、熱湯で湯通しし、その後よく水で洗って、血のかたまりやヌメリをていねいに落としておく。

大根は、20~30分下ゆでし、箸がすっと通るくらいにしておく。

大根とブリを鍋に入れ、まずたっぷりの酒。

酒はどれだけ多くてもいい。ぜんぶ酒で、水を一切入れないのが、一番うまい。

しかしなかなかそういう訳にはいかないから、ヒタヒタになるまで水を足す。

それに、砂糖、みりん、しょうゆ、それぞれ大さじ2~3杯。

ここまでは、日本のブリ大根と同じ。

さらに韓国の粉唐辛子、粗びきのと細引きのを、大さじ1杯くらいずつと、みじん切りにしたニンニク2~3カケ分、やはりみじん切りにしたショウガ1カケ分、それにコチュジャン大さじ2~3杯を入れる。

キムチがあれば、それを入れてもいい。

あとは落としぶたをし、弱めの中火で20~30分、煮汁が半分から3分の1くらいになるまで煮る。



最後に春菊でも入れて、ゴマ油を大さじ1くらいたらし込んだら出来あがり。



いつものブリ大根が、全くちがった味になり、これはこれで、大変うまい。

辛いのが好きな人は、こちらの方がいいと思う人も少なくないだろう。

酒はビールや焼酎はもちろん、日本酒でもまったく問題ない。

ただ日本酒は、燗をつけてしまうより冷や酒のほうが、唐辛子で熱くなった口の中を冷ましてくれることになるのでいい。



残り汁を、温かいうどんにかけて食べると、またうまい。