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2012-02-17

外国由来の日本の味。
「鶏つみれの塩バター鍋」


「塩バター味」は、今ではすっかり日本の味の1つとして定着したわけだけれど、言うまでもなく元々は、西洋の料理に起源があるのだろう。

肉をコトコトと煮込んだスープにニンニクと塩で味をつけ、バターを落として食べるのは、ヨーロッパで定番の家庭料理となっている。

しかしこれが、「日本の味」として定着するきっかけは、やはり「ラーメン」だったのではないか。

昭和39年に札幌で創業した「味の華平」という店で、日本で初めて、「塩バターラーメン」が提供されたといわれている。



日本人はやはり、醤油へのこだわりがあり、ラーメンも本州では、醤油味が主流なわけだけれども、北海道には味噌や塩バターなど、独自のラーメンがある。

北海道は、明治以降に開拓民により拓かれた土地だから、旧来の日本文化から自由なところがあるのだろう。

しかし実際のところ、肉のだしには醤油で味付けするより、シンプルに塩で味付けするか、コッテリと味噌をつかったほうが、味がととのいやすい。

中国でも、肉系のスープの場合は、塩味が中心となっている。



ラーメンやカレー、トンカツは、それぞれ中国、インド、そしてヨーロッパに起源をもつものだが、すでに完全に「日本の味」になっているといえるだろう。

もちろん伝統的な日本の味ではないけれど、これらを外国の味だと思う人はいない。

しかしラーメンにしても、カレーにしてもトンカツにしても、本国で食べれば、ずいぶんちがった味がするのだろう。

そのポイントは、スパイスや香草の「風味」であるような気がする。



中国にも醤油味のラーメンはあるが、かならず八角などのスパイスが入っている。

カレーにしても、インド料理では、日本で使われるより強烈な味がするスパイスがたくさんあるし、スープにローリエを1枚入れただけで、とたんに欧風料理の風情となる。

肉や野菜などの材料は、どこの土地でもそうそう変わるものではないだろうし、味付けの塩気や甘み、酸味や辛味、それにうまみなども、人間が「うまい」と思うための、万国共通の条件があるだろう。

だから外国で使われているものも、ある程度までは、受け入れることができるけれども、スパイスや香草の「風味」については、ある限界をこえると、受け入れることができなくなる。



日本人で、パクチーがまったくダメだという人は、少なくないだろう。

しかし逆に、タイの人にとっては、パクチーは、「なくてはならない」ものであるにちがいない。

納豆など発酵臭のするものも、好きな人は強烈に好きだが、ダメな人はまったくダメだ。

「風味」が食べ物にたいする人の好みを左右する力は、かなり大きいものがあるのだろう。



そう考えると、日本の料理には、強烈な風味をもったものはあまり使われない。

あえていてば、「醤油」だろうけれど、醤油の風味は、パクチーや八角などにくらべれば、それほど強いというわけでもない。

日本人がそうやって、どちらかといえば穏やかな味を好むために、穏やかでありさえすれば、外国の料理を受け入れることができるということなのだろう。

日本は古来から、外国の文化を受け入れて、それを自家薬籠中のものとするのに長けているわけだけれど、それはこの「穏やかさ」が、ポイントとなっているのではないだろうか。



塩バター味も、これを日本の伝統料理である「鍋」の味付けにすることについて、まったく問題がない。

ここにローリエやパセリを使ってしまうと、完全に洋風になってしまうのだけれど、それをしなければ、「日本の味」としてじゅうぶん通用する。

今回は、鶏のつみれを塩バター味にあわせてみた。

クセのない鶏肉の味は、またこの塩バターに、なんともよく合う。



鶏肉は、ひき肉が売っていれば、それを買ってくればいいのだけれど、なければ包丁で叩けばよい。

肉は魚にくらべると固いから、多少の時間はかかるけれども、それほど大変ということもない。

昨日は鶏もも肉250グラムを使った。



鶏ひき肉に、長ねぎ10センチくらいとショウガ1かけ分のみじん切り、醤油大さじ1杯くらい、片栗粉大さじ1杯くらい、それに卵を入れて、よくこねる。

卵は、1個分をまるごと入れてみたのだけれど、やはり250グラムの肉には、それだと多すぎて、つみれがすこし滑らかになりすぎた。

半分くらいでよかったと思う。

あとここにシイタケをみじん切りにして入れたりしても、またうまいのではないかと思う。



よくこねたタネを、スプーン2つを使いながら丸め、沸いた昆布だし1リットル程度に入れていく。

ニンニクを1かけ入れ、10分ほど、アクを取りながら煮る。

半カップくらいの酒と、塩で味付けし、バターを2~3かけ入れる。



ここから先の調理は、鍋を卓上にうつし、酒をのみながらやる。

調理が空腹感をかき立ててくれるから、酒がうまくなる。



入れる野菜は、白菜と油あげ、それに長ねぎ、シメジ、水菜。



煮えにくいものから順に入れていけば、出来あがり。

鶏のだしは、最初はうすいが、鍋をとろ火にかけ温めているうちに、どんどん濃く出てくるようになる。


粗びきの黒コショウをふって食べる。

鶏のだしをたっぷり吸った白菜と油揚げ、それにシャキシャキの水菜のコントラストがたまらない。



うどんも、またいい。