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2011-12-24

なつかしい気持ちがする味。
「肉ジャガ韓国風」


韓流ドラマにハマる女性の気持ちは、よくわかる。私の場合、韓流ドラマは見ないのだが、それはじつは、見ないように「努力している」からだ。見はじめたらハマってしまい、それに莫大な時間を浪費するには、目に見えている。チェ・ジュなどは、写真やCMなどで、チラリと見るだけでも、もうハマりそうな予感がするから、TVを見るときでも、まちがえてチャンネルを合わせてしまわないよう、気を付けるようにしている。といってもここ数年、テレビ自体をほとんど見ていないのだが。

韓国料理も似たところがあり、数日前に深い考えもなく、韓国風の味付けにしてしまって以来、毎日韓国風の料理を食べることになってしまっていて、まるで韓国人のようだ。韓国風の味付けは、イカワタなどを使うのであれば、日本風の味噌味より、圧倒的によく合うし、ぶり大根にしてみても、実際のところかなりおいしい。「どうして日本では、この味付けにしないのか」と、不思議になるくらいだ。昨日も韓国風の味付けにして肉ジャガを作ったが、これも非常にうまい。



韓国へ何度か行ったり、また映画を見たり、料理を食べたりして思うのは、韓国の文化は、日本人にとって、独特の「なつかしさ」のようなものがあるのではないかということだ。韓国ドラマを評し、「50年前の日本のようだ」という人がいる。それは、経済成長により、日本は変わってしまい、韓国人のように、前向きに人生に目標をもったり、素直に感情を表現したりすることが少なくなってしまったということを言っているのだろう。しかし韓国文化に感じる「なつかしさ」は、もっと根が深いところにあるのではないかと思える。

たとえば、韓国の料理にふんだんに使われる、「ニンニク」だ。料理にニンニクをたっぷりと使うと、なんとも言えず気取らない、くつろいだ味になる。ニンニクを使った料理といえば、日本では「ラーメン」が代表的だと思うが、ラーメンがうまいのは、ニンニクがたっぷり使われていることと、無関係ではないだろう。

ニンニクは、古代においては、日本でもふつうに食べられていたらしい。もちろんもともとは、中国や朝鮮から、伝わってきたといわれている。だいたい古代においては、日本は中国の属国だったのだから、中国や朝鮮の文化と、日本の文化とは、それほど変わらないものだったのだろう。仏像にしても、朝鮮人の仏師が日本へやって来て、当時の日本人に作り方を教えたものだ。食べ物だって、中国や朝鮮で食べていたものと、同じようなものを、日本人も食べていたにちがいない。

ところが時代が下り、平安から鎌倉時代に入ると、日本ではニンニクは、食べられないようになっていく。禅宗が肉食のほか、ニンニクやネギなどの臭いのする野菜を禁じたことから、正統的な日本料理では、ニンニクは使われない。ニンニクは日本では、ついこの間、戦前まで、ほとんど使われることがなく、戦後になってようやく、ふたたび使われるようになったとのことだ。

しかし日本でニンニクが使われなくなったのが、禅宗の影響だというのだが、禅宗を日本に伝えた中国では、その後禅宗は衰退し、ニンニクもふつうに食べるようになっている。「禅の心」は、日本文化の中心の一つであることになっているのだから、ニンニクを食べなくなることは、日本が中国の属国から脱出し、「日本」という独自の文化を打ち立てていくことと、軌をひとつにしていたのだろう。

禅宗の精進料理では、肉や魚、ニンニクやネギを使わずに、ひたすら澄んだ味を追求していくことになる。その影響で、今でも日本の料理では、アクや臭みをひたすら取り除いて、あとは塩味にほんのちょっとの醤油で味付けする、吸い物のような料理が、尊ばれるところがある。もちろんそういう料理も、うまいには違いないのだが、禅宗のお坊さんも、じつは隠れてニンニクを食べていたそうだ。「隠れ忍んで食べる」ものだったから、「ニンニク」という名前がついたともいわれている。

ニンニクは、その臭みによって、肉や魚の臭みを中和してくれるから、ニンニクを使えば、材料の臭みを抜くことに、あまり神経質にならなくてもよい。日本料理では、臭みが嫌われるから、とにかく新鮮な材料を使ったり、アクを徹底して取ったりなどして、臭みをなくすることに、大きな努力が払われることになるけれど、ニンニクをひとつ、ポンと入れてしまえば、そこまで神経質にならなくても済むことになる。朝鮮や中国にかぎらず、世界をみても、ニンニクを料理に使うところは多いだろう。

日本はニンニクを使わないかわりに、「臭みを徹底的に排除する」というやり方で、独自の料理の世界を打ち立てたけれど、もともとは、朝鮮や中国、その他の世界と同様に、ニンニクを使って料理していた。韓国の文化に感じるなつかしさは、その「日本のもともと」を見ることのなつかしさだと、言ってもいいのじゃないかという気がするのだ。



昨日はクリスマス前だからというので、スペアリブが安く売っていた。これを使って、肉ジャガをつくることにした。韓国にも、「カムジャタン」という、豚の骨付き肉とジャガイモを使った煮込み料理がある。

スペアリブには塩をすり込み、30分ほど置いておく。

フライパンを中火にかけ、サラダ油をひいて、スペアリブのおもてうらに焼き色をつける。

水とたっぷりの酒、それに長ネギの青い部分、たたき潰したニンニクを入れ、軽くアクをとり、30分から1時間ほど、フタをしてコトコト煮る。

砂糖とコチュジャン、韓国唐辛子、それに醤油で味をつける。

大きめに切り水にさらしたジャガイモ、乱切りのニンジン、それにぶつ切りにした長ネギを、10分ほど煮る。

最後にゴマ油をたらし込んだら出来あがり。



豚肉に、甘辛い味噌の味は非常によく合う。ジャガイモも、大変うまい。

酒は、日本酒で問題ない。チマチマ食べるから、卓上コンロで鍋をあたためておく。