このサイトは、おっさんひとり飯の「旧サイト」です。
新サイトはこちら
へ移動しました。
なんでサイトを移動したの?⇒ こちら

2011-04-24

「自然派」と「文化派」

僕はこのごろは、夜1時ごろ寝ても、朝はパッチリ6時半ごろ目が覚めることが多くて、それなりに気が張っているのかとも思うのだけれど、昨日もやはり早めに目が覚めて、メールやらツイッターやら、ニュースやブログやらのチェックをして、それからブログを更新したのだけれど、そしたらまだ午前中なのに睡魔が襲ってきて、ベッドへふたたび逆もどり。
1時間ほどして目が覚めてもまだダルかったので、これは疲れ、もちろん遊びの、が溜まっているとみて、とりあえずサウナへ。

サウナというのは、疲れを取るには最強なのじゃないすかね。
マッサージよりいい気がする。
僕は以前、マッサージへ行っても治らなかったふくらはぎの痛みが、サウナへ行ったら一発で取れたことがある。
それ以来、バカの一つ覚えで、疲れたらサウナへ行くことにしているのだ。

サウナへ行って、最大の問題は、やはり
「その後どこで酒をのむか」
だ。
僕がいつも行くのは「壬生やまとの湯」というスーパー銭湯で、座敷やテーブルが置かれた大きな休憩スペースが館内にあり、食事もできるようになっているので、そこで済ませてしまうのがいちばん手軽なのだけれど、なにしろまずい。
だいたい基本が、セントラルキッチンから冷凍で運んできたものを、パートのおばちゃんが温めるという形式だから、うまいはずがないのである。

それで昨日は、グラスビール一杯だけを館内で飲み、そのあと昨日行きがけに、初めて見つけた食堂へ行ってみた。
「麺どころ」という店なのだけれど、壬生寺近くの裏通りにあって、近くはいつも通っていたのに、気付かなかったのだ。

とりあえず冷や酒。

暖簾は真新しい、しゃれたのが掛かっていて、名前も「麺どころ」だから、一瞬新しい店なのかとおもうのだけれど、聞いたら店を開いて50年になるのだそうだ。
もう80近いだろうという、おいちゃんとおばちゃんでやっている。

いわゆるうどんそばと丼ものを中心とした、よくある食堂で、僕はこれまで京都で、こういう店にはあまり行ったことがなかったのだけれど、まず安い。
かけうどんは350円、にしんそばは600円、いちばん高い天ぷらうどんでも650円。
とりあえず500円の「鳥なんば」というのを頼んでみた。

いやそしたら鶏もも肉が、けっこう大量に入っていて、それにたっぷりの九条ねぎ。
汁はうす味に甘みの利いた京都風、麺もけっこうコシがあり、かなりうまかった。

メニューでは「鳥なんば」となっていて、そばともうどんとも書いていないから、「そばでお願いします」といったら、「あ、そばにしますか」とびっくりしたように聞かれて、それでよくよく聞いてみたら、そばもできるが、京都ではほとんどの人はうどんで食べるとのこと。
それで僕も、京都風にしておいた。

それに「小小ライス」130円。ちゃんとお新香も付いてくる。

これで意外にお腹がいっぱいになったので、それで終りにしたが、総額1,030円。いやこれはいいですな。

昨日吉野へ行ったとき、同行した知人から、途中にあった道の駅で買ったという新鮮な野菜を、いろいろお持たせしてもらったのだ。
それでそのなかで、とりあえずカブを食べてみた。
知人によればこれは火を通さず、葉っぱは塩もみして、実は何もせずそのまま切って、食べたらよいとのこと。
新鮮な野菜は、それで十分味があるとのことだったのだ。

昨日僕は、「京都好き」と「奈良好き」を、「主流派と反主流派」の対立の構図と書いたのだけれど、それはちょっと違うことがわかって、これは
「文化派と自然派」
の対立なのだな。
京都が好きな、僕のような人間は、京都が千年以上にわたって都であったあいだに蓄積してきた、膨大な「文化」の集積を愛でるわけだが、奈良派の人たちはおそらく、それをわりと「俗っぽい」とか「観光客ズレしている」という風にうけとって、そうでなく、もっと「自然」なほうがいいと、そう思うということなのだ。
それで千年前に都だった奈良が、都が京都へ移ってしまうことによって、徐々に風化し、自然に同化していく、その廃墟っぽいところがいいということなのだと思う。

実際以前、「奈良がいい」と言ってた人たちも、僕はそれは二人から聞いたのだけれど、二人とも自然科学者だった。
そうすると、そういう対立というのはもしかしたら、「人文科学」と「自然科学」みたいなところへも発展していく、人間の「好み」というものの根本的なところにある性質なのかもしれないなと、ちょっと思ったりもした次第。

それでその、自然派の知人に言われたとおりに、何も手を加えずに食べてみたカブ、文化派の僕には、残念ながら、やはりダメだった。
台所でつまみ食いしたときには、カブの実は素朴な甘味があるし、塩もみしただけの葉っぱも意外に味がするなと思ったけれど、まずだいたい、酒のつまみには、やはり塩気がないのはダメなのだ。
酒というのは、塩だけで飲む人もいるくらいで、やはり塩気は酒のつまみにとって、最低必要条件なのじゃないかと思う。

さらに昨日のラインナップ。

バックリブと大根の煮込み。

昨日買ってきた奈良漬と、以前嵐山で買った佃煮。

それに湯どうふ。

という、わりと味が濃いものが多くて、だから逆に、何も味をつけないカブはいいかなと、食べる前には思ったのだけれど、実際食べてみたら、まわりの濃い味に、カブの微妙な味わいは消されてしまって、ただ青臭さだけが残るという結末となってしまった。

なので結局、カブにはおかかと醤油をかけて食べた。

ということで、僕は自分が「文化派」なのだと、つくづく感じた昨日の晩酌だったのでした。