尾道ラーメンの店である。
尾道ラーメンと言えば、「朱華園」が有名だが、こちら「太華園」。
よく似ている。
帰りに店員に関係があるのかを尋ねたら、「直接の関係はないと思いますけど」という答えだったが、どうなのだろう。
「中華そば」は550円だが、それに「焼きめし小」を付けた、「半チャンそば」870円がおいしいと聞いて、それを注文。
中華そば。
焼きめし小。
この店、名前だけでなくラーメンも、朱華園にそっくりである。
醤油味の勝ったスープ、カップヌードルを思わせる平打ち麺、たっぷり入った背脂。
僕は実はこれまで、朱華園のおいしさがよく分からなかったのだが、今日これを食べて、ちょっと分かった気がした。
朱華園のラーメンを食べて僕が不満に思ったのは、何よりスープが、だしの味があまり感じられなかったことだ。
強い醤油味と背脂のコクで、「ごまかしている」と思ったのだ。
しかしそれは、「日本料理としてのラーメン」として評価するからそうなるので、これを全く別種の、「中国料理の一つ」として捉えれば、なかなかよく出来ているのだなと、この太華園のラーメンを食べて思ったのだ。
日本料理は「だしの文化」だ。
と言い切ったが、たぶんそうだろう。
手をかけ時間をかけ、肉や骨髄の臭みを取り除き、うまみだけを引き出すことが尊いとされる。
しかし世界には、そうではなく、適切な材料や調味料を「くわえる」ことにより、臭みを相殺し、さらに全体としてより高度な次元へと昇華させるという考え方も存在する。
中国料理はたぶんそちらなのだろう。
そう考えると、この「背脂」という、日本料理にはめったに使われることのない材料を持ってきて、しかもそれが醤油と相性が抜群で、だしの臭みを相殺するために強くきかせた醤油の味に、「奥行き」のようなものを持たせる働きがあったというのは、さすが中国四千年の歴史、と言いたくなるようなものなのかも知れない。
そう考えると、これはこれで、アリなのかも知れないなと思ったのである。
焼きめしも、ぷりぷりのエビが入って、ご飯もはらりと仕上げられており、なかなかおいしかった。
太華園 (ラーメン / 竹原)
★★★★☆ 4.0