2008-07-31

DVD 『キングダム/見えざる敵』


サウジアラビアで爆弾テロが起きる。欧米人の居住区域が狙われたのだ。多数の死者の中にFBI捜査官が含まれていたことから、仲間のFBI捜査官四名が反対を押しきり、アメリカから現地にむかう。サウジアラビアは、アメリカの力を背景に自らの立場と権益を守る王室と、それに敵意をいだく一部過激派グループとがするどく対立し、FBI捜査官が入国することは彼らの命が狙われることを意味した。サウジアラビア警察の協力のもと捜査をはじめた彼らは、徐々に真相に近づいていくのだが・・・。

製作はマイケル・マン。テレビシリーズ『特捜刑事マイアミヴァイス』で監督として頭角をあらわし、『ラスト・オブ・モヒカン』で評価を確立。他に 『ヒート』『インサイダー』『ALIアリ』『コラテラル』など。男くさい映画を撮ることで有名で、ダンディズムや哀愁、渋さを徹底した作品は評価が高い。またガンアクションの演出に高い評価を得ており、生の銃声をわざわざ録音して映画に使用し、壁の弾痕にまでリアリティを追及するほどのこだわりを見せる。監督のビーター・バーグは、彼の弟子()。

この映画でも、マンは一貫してリアリティを追及する。ほとんどのシーンが手持ちカメラで撮影されているようで、つねに画面がゆらゆらと揺れ、ニュースかドキュメンタリー番組を見ているかのような気にさせられる。テロリストの背後にある家族や、地域社会や、国家の複雑な状況をていねいに描きこむことで、善か悪かというアメリカが有しがちな素朴な視点では、問題は解決しないということを伝えている。映画の終わり方は、ちょっと衝撃的。

しかしマイケル・マンのリアリティ、浪花節的リアリティなのだ。この世のつらさ、はかなさを嘆いてはみせるが、だからといってどうということもない。嘆いておしまい。社会的な問題を扱ってはいるが、それについて何らかの主張をしたいのではない。社会問題は、うんうん、そうそう、現実は複雑で、そう簡単に解決ってできないよね、みんなそうだよ、わかるわかる、という肯きのための素材にすぎない。なのでこの映画、そういう浪花節の世界に浸りたい人にはおすすめ。

評価:★★★☆☆


Yahoo!映画 - キングダム 見えざる敵


広島つけ麺 ばくだん屋 本店

広島には「広島つけ麺」というものがあって、この頃ではお好み焼きと並んで広島名物になりつつあるらしい。じつは僕はこれまで、広島つけ麺以前につけ麺そのものを食べたことがなく、今回が初体験。汁のない麺類って、どうもお腹がいっぱいにならないような気がして不安なんだよな。


記念すべきつけ麺第一食は、口コミサイトで第一位だった、ばくだん屋の本店へ。広島市内だけでなく、全国にチェーン展開している店の本店だ。繁華街のちょっと外れの、商店街っぽい場所にあり、建物はかなり古い感じだ。本店というのはそういうものなのかもしれない。


広島つけ麺の大、900円。大きさのほかに辛さが選べるようになっていて、普通は?と聞いたら二倍ということなので、それにした。ゆでて冷水でしめた麺に、軽くゆでたキャベツ、細く千切りにしたきゅうり、チャーシュウ、それに白髪ネギ。つけ汁は和風出しに酸味が加わっていて、梅の味もした。それにラー油、白ゴマ。要は和風の冷やし中華で、おいしくいただいた。大だったので、お腹もいっぱいになりました。

次は広島つけ麺の元祖と言われる店があるそうなので、そちらに行ってみるつもり。

つけ麺本舗 ばくだん屋 (つけめんほんぽ ばくだんや) (つけ麺 / 中電前)
★★★☆☆ 3.0

広島ブログ

2008-07-30

ダイ・ハード4.0


※以下はダイ・ハード4.0の結末について、ちょっとだけ触れています。まあダイ・ハードの場合、結末が分かったからといって楽しみはそれほど減らないと思いますが、これからこれを見ようと思っていて、結末を知りたくないという人は、読まないようにしてくださいね!

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鉄砲は、最後の武器だ。あ、これ、忍者部隊月光という、古い古い日本のテレビ番組のセリフなのだけれど、アクション映画の王道は、これに尽きるのだと思う。

アクション映画の効用は、誰の中にもある暴力衝動を、解放してやるというところにあるだろう。しかしただ人を殺す場面を延々と見せられても、やはりそこには共感できないわけで、暴力を使うそれなりの理由があることを観客に納得させて初めて、アクション映画はその効用を実際に果たすことができる。だからまず、敵が絶対的に悪でなければならない。

ここしばらく、もしかしたらこれはダイ・ハードの第一作以来なのかもしれないが、テロリストというのは悪役として不動の地位を占めていると言えるかもしれない。今回このダイ・ハード4.0でも、もと国防総省の情報保安責任者が、屈折してテロリストとなり、国防総省時代の自分の知識をフルに活用するという設定になっている。

しかしいかに相手が悪だからといって、それだけで人を殺してしまっては、共感や感動までもっていくのは難しい。日本では昔から、相手にやられてやられて、これ以上は我慢できないというところでやり返す、というのが、アクション活劇の基本的なパターンとしてあると思う。上の忍者部隊月光もそうだったし、古くは忠臣蔵、またウルトラマン、プロレスなどなど、当てはまるものはたくさんある。まあこれは日本に限らず、どこでもそうなのかもしれないが。

ダイ・ハードの場合ももちろん同じで、 ジョン・マクレーンは常に警官としての仕事の行きがかり上、仕方なく事件にかかわり、だんだん深みにはまっていく。あくまで消極的なのだ。自分の不運をぼやきながらも果敢に前に進んでいくマクレーンの姿は、やりたくなくてもやらなければいけない、仕事というものが大きな比重を占めつつある現代の人間にとって、共感できる一つのあり方なのかもしれない。

しかしそれだけでなく、ダイ・ハードがこれまでのアクション映画とくらべて決定的に新しいのは、主人公は死なない、ということを、これまでもそれはもちろん、暗黙の了解ではだったわけだが、それを題名、ダイ・ハード=なかなか死なない、にはっきり謳っている、というところにあるのだと思う。画面の背景で、これは当然死ぬでしょ、と思うような大爆発が起き、そこからマクレーンが間一髪、命からがら逃げ出してくるシーンは、ダイ・ハードを象徴していると思うが、今回ももちろん、ツボはきっちり押さえられている。あまりに現実的離れしていて笑える、というところに、ダイ・ハードのキモがあるのだと思う。

ところで今回のダイ・ハード4.0、前作ダイ・ハード3から10年以上が経っているわけだが、その間にあの9.11があった。テロリストと戦い、絶対に死なないマクレーンの現実離れした姿をみな楽しんでいたところに、世界貿易センタービルにテロリストによって乗っ取られた民間航空機が突っ込むという、映画でも思いつけなかったようなあまりに現実離れしたことが現実に起き、多数の人が亡くなった。おそらくそのことで、アメリカ人はダイ・ハードの現実離れを笑えなくなってしまったのだ。それが人気シリーズであったはずのダイ・ハードの続編が10年以上にわたって作られなかった、一つの理由としてあったのではなかったかと想像する。

ダイ・ハード4.0の監督は、レン・ワイズマン、若干35歳。ダイ・ハード4の企画はこれまでも何度も検討されたそうだが、すべてお蔵入りになってきた。今回ワイズマンが持ち込んだ企画を、製作者でもあるブルース・ウィルスが、これだ、受け入れたのだという。ワイズマンはまずジョン・マクレーンに「父親」としての性格を持たせることにした。実の娘との葛藤、息子ほど年の離れた若者との出会い。娘と和解し、ひ弱だった若者が成長していくことが、物語の中核にすえられる。ダイ・ハードをただ荒唐無稽で笑えて痛快、というだけのものとしてではなく、きちんと人間のドラマを描くものとして位置づけなおした。

またうまいのは、今回のテロリスト、サイバーテロを仕掛けるのだが、テロの基本的な設定としては、人質は取らない。人の命を担保にするのではなく、アメリカのコンピュータネットワークを崩壊させることにより、ある場所に隠されている金融情報をまるごと横取りしようとするのだ。テロにより人の命が危険にさらされるということは、アメリカ人にとってまさに今、現実に起こっていることであり、それを安易に映画の題材にするということにはならないのだろう。サイバーテロという現代風の設定が、うまくそうした困難をも避けることになり、なかなか考えているなと思わせる。

ダイ・ハード4.0、なぜ今頃とも思ったが、ブルース・ウィルスはこの10年、シックス・センスやアルマゲドンなどホラーやアクションの映画にも出演して演技の幅を広げており、なにも落ち目になったから二匹目のどじょうを捕まえようとした、ということではなかった。世の中を見、自分を見、人と対話しながら、タイミングを計っていたのだ。そして今だ、というタイミングで果敢に踏み出し、シリーズ四作中、全米、全世界とも最高の興行収入という結果。ブルース・ウィルス、たいした人だなと思う。

評価:★★★★☆

広島ラーメン つばめ


広島のラーメン店には、「小鳥系」と呼ばれる系列があるそうだ。店の名前に小鳥の名前を使ったもので、すずめ、うぐいす、ひよこなんていうのもある。そしてここ、つばめ。広島では小鳥に名前に、あっさりした醤油豚骨のラーメンを食べさせる店、という暗黙の了解があるようだ。

ここつばめは、すぐ近くに超有名店のすずめがある。名前も似てるし場所も近いのだが、とくべつ親戚関係などではないらしい。このつばめも屋台から創業し、親子孫三代で頑張っているそうだ。

ちょっと早め、開店時間11時半の5分前くらいに行ったのだが、開店すると続々人が入ってきて、11時40分にはもうほぼ満席。すずめのほうが開店が午後3時ということで、うまく住み分けながら、地元の人たちに支持されているのだろう。

メニューは中華そば600円、ほかにおむすび、おでんもあった。ラーメンのスープで煮込んだおでんらしい。持ち帰りも可能で、おでんはもちろん、ラーメンを持ち帰る人もけっこういた。


ラーメンは、コクはあるがあっさりとした醤油味の豚骨スープ。鶏がら出しも入っているらしい。それに中細の丸い真っ直ぐな麺、しゃきしゃきしたもやし、味のあるチャーシュー、太めの青ネギ。すずめや陽気にくらべるとスープの完成度がやや低いと思ったが、十分おいしくいただいた。このちょっとバンカラな感じが、またいいという人もいるだろう。

しかし広島ラーメン、一つの型としてかなり完成度が高いと思う。終戦直後、何軒かの屋台や店がお互い参考にし合いながら到達したのだと思うが、そのときの状況をぜひ知りたいものだ。

広島はお好み焼屋ばっかりで、うまいラーメン屋があまりないという声も聞くが、それは全く嘘であって、名店で食べる広島ラーメンは本当にうまい。僕の見るところ尾道ラーメンとくらべると、大人と子供というくらい、こちらのほうが上だと思う。しかし尾道ラーメンは全国区のブランドを確立しているのにたいして、広島ラーメンはイマイチ知られていない。

だいたい広島ラーメンを代表すると言われる名店が、街の中心地からはるか離れた場所にある。すずめしかり、陽気しかり、またしまいという名店、僕はまだ行ったことがないのだが、これも広島市の北の外れにあるらしい。お好み焼きの名店である八昌も、もともと新天地のお好み村にいたのが、薬研堀という繁華街の外れに移り、さらに今では五日市という広島市の南の外れに行ってしまった。広島市の名店は、どうも孤高の道を歩むという傾向があるようだ。

おそらく広島市の人たちは、原爆でとんでもなく苦しい目に遭っているから、街の中心部でちゃらちゃらと観光客相手の商売をするということを、善しとしないところがあるのかもしれない。地域に密着し、地元の人に愛されてこそ本当の商売だ、みたいに思っているのかも。でもこの不景気の中、町おこしとして広島のラーメン店が手をつなぎ、新しいラーメン店を引き入れながら、広島ラーメンを全国区ブランドとして確立させていくという動きがあっても悪くないのではないかと思ったりする。その際、名店の店主も孤高を保つのではなく、自分も中心部で清濁併せ呑みながら。リーダーシップを発揮していくということもあってもいいのではないだろうか。

まあ余計なお世話と言われればそれまでなんだけど。

つばめ (ラーメン / 天満町)
★★★★ 4.0

広島ブログ

2008-07-29

広島ラーメン 海風堂


紙屋町の街の真ん中にあるのだが、わりと新しい店らしい。新広島ラーメンと呼ばれているとのこと。店内は居酒屋風で落ち着いた雰囲気。メニューは醤油豚骨ラーメン、塩豚骨ラーメン、広島風つけ麺、などなど。まずはいちばん右に書いてあった、醤油豚骨ラーメン680円を注文してみた。


スープはかなり濃厚で、どろっとしていると言っても言い過ぎではない感じ。豚骨出しに鶏がら出しも加えてあり、さらに煮干の味もする。それにかなり細めの麺。細いのだけれど歯ごたえがある。チャーシュウは厚めに切ってあり、ただの煮豚ではなく、あぶってあるのだろう、香ばしい味がする。それにもやし、青ネギ。伝統的な広島ラーメンに、色々工夫を加えてみた、という感じなのだと思う。

かなりおいしいのだが、でもどうしても広島ラーメンの元祖、すずめ陽気と比べてしまう。あの通りにやればいいのに、と思ってしまうのだ。このラーメンにしても煮干を入れたり、麺を細くしていたりする工夫の部分が、どうも余分な感じがしてしまう。全く同じものを目指すというのは、プライドが許さないものなのだろうか?それともすずめや陽気のラーメン、とんでもなく難しいものなのだろうか?

ラーメン考房 海風堂 (ラーメン / )
★★★☆☆ 3.0

広島ブログ

2008-07-28

DVD 『アイ・アム・レジェンド』 (超ネタバレ)


※以下は映画『アイ・アム・レジェンド』の結末をばっちり明かしています。これからDVDを見ようと思っていて、結末を知りたくないという人は、決して読まないで下さいね!

久しぶりのDVD。ていうか、7、8年前、家のビデオが壊れて以来、レンタルビデオは観ていなかったのだ。もちろんDVDははじめて。この1年、家にはテレビも置いてなくて、You Tube以外の映像には縁遠い生活をしていたのだが、久しぶりにリアルな映像が見たくなり、家から50メートルほどのところにTSUTAYAがあるのをこれ幸いとレンタルし、PCで観たのだった。

2009年というから、来年ですね、はしかのウィルスを遺伝子操作することにより、癌の特効薬が開発された。1万9人の癌患者に試したところ、全員が完治したという奇跡の新薬だったのだが、このウィルスがじつは人類を全滅に至らしめる恐ろしいものだったという設定で、映画の冒頭は主人公であるウィル・スミスが2012年、廃墟と化したニューヨークで、愛犬とともに気ままに鹿狩りをするところから始まる。

はじめはウィル・スミスがただ一人生き残ったのかと思うのだが、じつはそうではなく、ごく少数、ウィルのように免疫があり生き残った人間がいたのと、それ以外に世界で1,000万人ほどが、ゾンビのように変わりはてた姿で生き残っていたのだった。ゾンビは光が嫌いで、日中は暗い建物の中で大人しくしているのだが、夜になると活動を開始し、ものすごいスピードで走り、ビルの壁をも駆け上がり、生き残った人間を見つけては襲い、食べてしまうのだった。ウィルは科学者で、使命感から一人ニューヨークに残り、動物実験や、またゾンビを捕獲しては人体実験をくりかえし、ゾンビを元の人間に戻すためのワクチンを何とか開発しようと努力を重ねていたのだった。

話は中盤から、ウィルとゾンビの戦いとなっていく。どうやらゾンビには親玉がいて、けっこうな知恵がある。あるときウィルはゾンビの罠にはまり、命からがら逃げ出すも愛犬を失い、逆上したウィルは捨て身で復讐にむかう。殺しても殺しても、次から次からうじゃうじゃ出てくるゾンビに攻撃され、 とうとう車もひっくり返され、もうダメ、絶体絶命、というところで危機一髪、突然あらわれた女性に助けられ、九死に一生を得て家に帰る。女性はやはり免疫をもった生き残りで、どこだかにある生存者のコロニーに向かおうとしていたのだった。

3年ぶりに人間らしい心の交流をしたウィルだったが、その夜ゾンビの総攻撃をうける。ゾンビは家の壁をも突きやぶり、防弾ガラスも体当たりで壊してしまう凄いやつらなのだが、最後の攻撃をうける直前、ウィルはとうとうワクチンが完成したことを知る。そこで血清を女性に託し、命をかけて女性と血清を守り、その血清によって人類は未来を得て、ウィルは伝説となった、というストーリー。徹底的にネタバレですみません。

ところでじつはこの結末、公開の一ヶ月前に本来の結末から差し替えられたものだそうだ。本来の結末とは、それは原作どおりのものだったというが、最後にゾンビの攻撃をうけ、ゾンビに処刑されようとするその瞬間、ウィルはゾンビにとってみれば自分こそが、ゾンビが寝静まったあと街を徘徊し、寝ているゾンビをつかまえては人体実験をして殺し、いわば極悪非道をくりかえす怪物であったことに気づく、というものだったという。この結末は公開の一ヶ月前にボツになり、主人公はあくまでヒーローとして伝説になる、という結末に変更されたのだそうだ。

それはそうだろう。この映画はニューヨーク州、アメリカ合衆国、アメリカ陸軍の全面的な協力を得て撮影されたそうだ。廃墟になったニューヨークの光景は、ただのCGなのかと思ったら、なんとニューヨークの5番街を200日間、全面封鎖して撮影されたのだそうだ。すごい。また兵隊もたくさん出てくるのだが、これが全部本物で、しかも10ヶ月前にイラクから帰国したばかりの人たちだったりしたらしい。それだけ国に協力してもらってしまっては、そのアメリカがじつは世界の怪物だった、みたいなことを言わんとする結末が、許されるわけはない。そうだったら面白かったと思うけど。なのでゾンビに親玉がいて、全員が統制の取れた行動をすることや、知恵ばかりでなく感情までありそうだということ、またウィルがたくさんのゾンビを人体実験したことなどが、伏線として張られていたようなのだが、それらは最後まで拾われず、そのまま放置されて終わっている。

監督はオーストリア出身で、もともとはエアロスミスなど多数のミュージックビデオを手がけており、映画はこれが二作目なのだそうだ。世界の真実を告発する希望に燃えて頑張ったのかもしれないが、所詮ハリウッドで作られる映画、監督なのか、プロデューサーなのか、ちょっと甘かったか、何か勘違いしてしまったか、だったのだろう。おそらく口八丁のプロデューサーが、いや、原作どおりで行くから、でもいちおう、別の結末も用意しておこう、などと言って、若い監督はそれを信じたのだけれど、けっきょくは最後にはしごを外されてしまった、という感じだったのではないでしょうか。残念!

評価:★★☆☆☆

『ルポ 貧困大国アメリカ』 堤未果著

この本を読んでいると、だんだん恐ろしくなってくる。今アメリカがとんでもない方向に進みつつあって、そして日本も、それを追いかけているというのだ。

アメリカでは9.11以後、新自由主義という考え方のもと、国家が行ってきた様々なことが民営化されていった。小さな政府、民間でできることは民間で、という話で、良いことのように思うのだが、医療や教育など、人間の生存に欠かせない部分までもが民営化され、市場原理に巻きこまれていったために、一回の盲腸の手術で自己破産してしまうような人が続出し、それまで中流階級だった人たちが一挙に貧困層に落ちていってしまっている。猛烈な格差社会が生まれてきてしまっているというのだ。

さらに恐ろしいのは戦争までもが民営化され、後方支援部隊や、さらには兵士までもが、政府に委託された民間会社が人を派遣するようになっている。そこで送られるのは、格差社会で貧困層に落ちてしまい、生きていくことすら難しくなってしまった人たち、彼らが生活の糧を得るためにイラクへ送られているという。そういう人たちをリクルートするために、テロ防止を名目として、様々な個人情報が政府に一元的に集められ、貧困層を狙い撃ちして戦場への勧誘が行われている。まさに国家が人民を食い物にしているのである。

中国も役人が腐敗し、ひどいことになっているそうだが、民営化というそれとは逆の方向に行っているかのように思われるアメリカも、じつは同じ穴のむじななのだった。何とも恐ろしい世界になってしまったものだ。

ソ連が崩壊し、社会主義が敗北して以来、競争相手がいなくなり、タガが外れた資本主義は暴走を始めているのだろう。中国も、アメリカも、そしてその他の幾多の国々が、国の支配層と、それと結託した一部の大企業が、自らの利益を最大化することに血眼になっている。民主主義はお題目に過ぎず、ほとんどの人たちは生きていくことすら覚束ない状況に追いやられていく。

このままでは世界は本当に崩壊してしまう。著者は言う。現在の民主主義は経済重視の民主主義であり、大量生産大量投棄を行うことにより、日常生活の便利さをもたらした。でも能力主義で目に見える利益に価値をおくこのやり方を使うから、戦争がもっとも効率の良いビッグビジネスになってしまっている。

しかしそうではなく、 いのちをものさしにした民主主義というものがあるのであって、ゴールを環境や人権、人間らしい暮らしに光をあて、一人ひとりが健やかに幸せに生きられる社会を作り出すことを目指さなければいけない。そのためには今何が起きているのかを知らなければならないし、国境を越えて市民と市民が手をつないでいかなければならないのだ、と。

まさにその通りなのだと思う。




広島ラーメン 上海総本店

1953年創業とのこと、広島ラーメンの有名な老舗のようだが、すずめや陽気の系列とはかなり趣が違う。


中華そば600円。豚骨スープに醤油味、あまり太くはない麺、細もやし、チャーシュウ、メンマ、青ネギと、構成はほとんど同じなのだが、違うのは強烈な臭い。豚骨の臭みを前面に押し出し、濃い醤油味でそれを補っている。これを見ろ、まいったか、とでもいうような開き直りを感じる。

店内から店の前まで、豚骨の臭いが立ち込めていて、不味くはないのだが、基本的に地元のマニアに向けた店なのだと思う。 僕が行ったのは午後2時過ぎだったので、他のお客はそれほどいなかったが、食事時には行列もできるそう。観光客など素人に媚びない潔さが人気の秘密か。

上海総本店 (シャンハイソウホンテン)

広島ブログ

2008-07-27

お好み焼きに醤油

今日はほんとは紙屋町にあるラーメン屋で夕食食べようと思っていたのだけれど、6時に行ったらもう閉まっていた。営業時間は8時までなのだけど、スープか麺がなくなったのかしら。

仕方がないので、広島に来たばかりのとき、一回行ったきりの有名店、みっちゃん新天地店へ。そのときはスペシャルか何かを注文したので、そば肉玉はまだ食べていなかったのだ。


味はおなじみ、みっちゃんの味。みっちゃんはもうあまり興味が湧かないので、特にコメントもなし。

でもじつは、そこでちょっとした発見があって、お好み焼きが残り四分の一になった頃、味を変えたくなって、マヨネーズをかける人も多いのだけれど、僕はあまり好きじゃない、ふと思いついて醤油を頼んでみたのだった。僕はとんかつも醤油で食べる。お好み焼きも醤油でいけるんじゃないかと思ったら、案の定、ばっちり僕好みの味になった。

ところが面白いことに、みっちゃん新天地店には、お客用の醤油が無いのだった。店で使うための容器に入ったものしかなく、それをわざわざ水で洗って、紙でふいて、出してくれた。広島ではお好み焼きに醤油をかけようと思う人がいないということなのだ。

お好みソースにすでに醤油が入っていることは、僕も知っている。でも僕のようにさらに醤油を追加したいと思う人が、いてもおかしくはないように思うのだが、いないというのは何故なのだろう。

ちょっと色々考えてみたいなと思った。

広島ブログ

2008-07-26

今日の一日

家に帰ると風呂に入り、エアコンの効いた部屋でウイスキーの水割りを飲むのが、至福のひとときだ。近くのコンビニで買うブラックニッカをボトルごと冷蔵庫で冷やしておき、やはり冷えた天然水で割る。氷は使わない。それをだいたい4、5杯、ときには7、8杯飲む。

飲みはじめてから床につくまで、4時間かかる。今日は11時過ぎに飲み始めたので、寝るのは3時過ぎになる計算だ。メールやブログ、Webのニュースをチェックし、この日記を更新し、更新した日記を舐めるように何度も読む。それで4時間が過ぎる。

昨夜はちょっとしたことで眠れなくなってしまい、明け方4時に寝た。7時起床の3時間睡眠で、一日中車を運転した。ちょっと心配したが、何とかなるものだ。以前は車を運転して、眠くなることなど無かった。最近は年なのか、高速を運転していると、油断するとすぐ眠くなる。

車を運転したというのは、韓国人の女子大生を二人、尾道と倉敷に観光に連れて行ったのだ。初めは尾道だけのつもりだったが、韓国人を連れて行って分かったのは、尾道に行って楽しいのは、日本人の、しかも40歳以上だけなのではないかということだ。

千光寺公園の山の上から見る瀬戸内海の景色だけは、誰が見てもうっとりするが、それ以外はラーメンもぱっとしないし、昭和の街並みも、昭和を知らない人間にはそれほど興味が湧かない。倉敷の美観地区で民芸品やかわいい小物の店を見せてやっと、何とか体裁が整った。

今日もつたふじのラーメンを食べたのだが、広島のすずめ陽気と比べると、やはり大人と子供くらいの開きがある。魚介のスープは、悪くはないがコクに欠けるし、また麺がゆで過ぎの上に、スープとの絡みが悪い。尾道ラーメンとは、町おこしの成功例、という程度のものなのではないかという気がする。

案内した韓国の女の子たち、とても良い子だった。大学で日本語を勉強しているそうだが、礼儀正しくそつがない。ホームステイで来ているのだが、そうやって日本に来るような子たちは、いいとこの家庭の子なのだと思う。大学を卒業したら、現代や三星など大企業、財閥に就職したりするのだろう。

偏見だが、韓国はけっこうな格差社会なのではないかと思う。かたや大企業、財閥に勤めるか、そうでなければ市場の店子や商店など個人事業を営む。何故だか分からないが、中くらいの大きさの企業があまり無いのではないかという気がする。

またこれも偏見だが、韓国では男があまり働かない。働いていると称して、だいたい酒を飲んでいたりする。額に汗して、足を棒にして働いているのは女性で、たぶん韓国の女性は男を立てながら、家庭から仕事から全ての切り盛りをする。おしとやかで従順に見えるが、じつはとても気が強い。

韓国の男を見ると、何となく女たらしかヒモかマザコンか、いずれにしても女性の目を常に意識しているという感じがしないだろうか?あのでかい格闘家も、マザコンの匂いがする。よく働く出来た女を手に入れられれば、それで人生が安泰だからなのではないかと思う。

韓国の芸能界というのは、そういう女たらしの男の中でも群を抜いている者が集まっているのであり、プロの中のプロとも言える存在なのだ。日本のおばさんたちが全員骨抜きにされてしまうはずだ。日本の芸能界にも、韓国出身の人間は多いとのことである。

夜は広島の花火を見た。延々1時間にわたって、千発以上が打ち上げられる。すごい迫力だった。花火も一種の芸能だろう。大空を舞台に、一つのストーリーが描かれていく。一年がかりで準備するのだろう、それは一時間でかたがつく。花火職人の苦労たるや、並大抵ではないと想像する。

広島ブログ

ちなみに


今日のコボちゃん。こんな何でもないことをネタにして、それなりにモノにできるのがすごい。

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2008-07-25

週刊文春 巻頭グラビア


今発売している週刊文春、表紙をめくったら、いきなりどきゅん。
佐々木希というそうですが、弱いんです、こういうの。
秋田出身だそうです。秋田美人の典型ですね。
ちなみにPCの壁紙も、レッド・ツェッペリンから急遽こちらに変更してしまいました。
おじさんですみません。

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広島ラーメン すずめ


陽気と並び、広島ラーメンの源流と言われる「すずめ」。終戦直後に今の広島ラーメンの原型を考案したとされる人の、直接の弟子がやっているという店。メニューは中華そば600円とビールのみ。


ひとことで言うと、しみじみおいしいラーメン。陽気もそうだったが、こんなにおいしいラーメン、僕はこれまで食べたことがない。コクのある豚骨スープに、陽気に比べるとちょっと濃い目の醤油味。昔ながらの中細で真っ直ぐな麺、味のあるチャーシュー、もやし、青ネギ。スープと麺と具と、すべてがおいしくまろやかで、また全体として突出したところの無い、上品なバランスを保っている。

この店のすごさは、50年前のやり方をそのまま変えずに保っていることなのだと思う。陽気の横川店へ行ったとき感じたが、元々完成度の高いものは、自分なりの工夫を加えると、その分劣ったものになる。誰でも自分なりの主張をしてみたいものだ。それをぐっと堪え、50年前のやり方を毎日毎日、変わらず繰り返していく。しかしそれは一見同じことのようでいて、毎日が発見の連続なのだろう。そういうことの凄さを感じる店である。

すずめ

広島ブログ

2008-07-24

ブログのフォント

このブログのフォント、明朝で表示されるように変更しました。デザインが古い本のイメージなので、前からそうしたいと思っていたのですが、やり方がやっと分かったので。

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横川 中華そば専門店 陽気


江波にある陽気の姉妹店。これも先日西広島の鉄板焼き屋で、横川にもあるというのを聞き付け、早速行ってみた。

メニューは中華そば600円、おにぎり2個とたくわん、150円、それにビール。江波の店は中華そばだけだったから、一杯では足りずに思わず二杯目を頼んでしまった僕としては、おにぎりがメニューに加えられたのは嬉しい。


出てきた中華そばは、江波の陽気と基本は同じ。大変おいしかった。ただスープにニンニクが加えられているらしいのと、具にメンマが加わっている。こちらで新しく店を始めるに当たって、ただ江波の店と同じではなく、自分なりのアレンジをしたのだろう。でもニンニクもメンマも、なくてもいいかなという気がした。だから全体として、こちらも大変おいしいが、江波の店には敵わない、という感じだと思う。

陽気 (ようき)

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呉 田舎洋食 いせ屋



以前訪れた店なのだが、機会があったのでまた来てみた。カレーを食べてみたかったのだ。呉市は「海軍の街」を売り物にしていて、「海軍カレー」と名が付いたカレーも何箇所かで食べさせるのだが、明治45年にビアホールとしてスタートしたこの店は、初代のご主人が戦艦浅間のコック長だったとのこと、本物の海軍カレーを食べるのなら正にここ、という店なのだ。



とはいえ空腹だったので、普通のカレーではなく、カツカレー1,100円を注文。ここはカツ丼もそうなのだが、牛肉のカツが使われている。小さめに切ってご飯の上に載せられているが、とても柔らか。カツ丼の場合ドミグラスソースがかかっているのだが、カツカレーはカレーがかかっている。ひと言でいうと、上品な昔のカレー。今のカレーは色々工夫が凝らされ、様々なおいしさがあるが、このカレーは、ああ、昔のカレーって、こうだったんだろうな、と思わせる味。全体にまろやかで、スパイスの味もあまり強くなく、刺激が足りないと言えば足りないが、下手な刺激がないことが、上品の条件だろう。

オムライスなどの洋食メニューの他に、うどんや親子丼などそば屋メニューも取り揃え、地域で頑張っているのだと思う。ぜひぜひ長く続けてほしいなと思う。

田舎洋食いせ屋

広島ブログ

尾道ラーメン 朱華園



先日尾道に行ったときにはこちらが休みのため、二番人気と思われる店に行ったのだが、こちらは一番人気の店。口コミを見てもかなりの評判。食事時にはずらっと人が並ぶのだそうだが、午後3時だったのでそんなに混んではいなかった。



ラーメンは510円。 勇んで食べ始めたのだが、どうだろう、結論を言うとあまりおいしくなかった。

まずスープが、醤油の味がかなりきつく、出しの風味があまり感じられない。この店は尾道ラーメンの元祖と言われているそうだが、不思議なことに尾道ラーメンの特徴である魚介出しを使っていないのだそうだ。まあ魚介出しを使っても使わなくてもどちらでも良いのだが、出しの風味がしないラーメンは、僕はあまり好きではない。

次に麺が、これが平打ち麺と言うそうだが、細くて平たくて、コシがない。一言でいうとカップヌードルの麺と全く同じ。それってもしかして、昔のラーメンはこういうのが主流だったのか?カップヌードルが本物をよく再現していると誉められるべきなのか?いずれにせよ食べながら、だんだんカップヌードルを食べているような気がしてくるのだ。

大量の背脂が使ってあって、厚い脂の膜が張っているのだが、別に脂っこくはなかったが、その存在意義がよく分からない。出しの風味がしないのを、これで誤魔化しているのかなという感じ。

ともかく、この店が人気の理由が全く理解できない、というのが正直なところでした。ごめんなさい。

朱華園 (しゅかえん)

広島ブログ

2008-07-21

広島ラーメン 陽気

広島ラーメンの源流に当たると言われる店へ行ってきた。広島ラーメンは終戦直後、沖稔(おきみのる)という人が始めた屋台が起源と言われているそうで、この人が次に食堂を開業し、そこで働いていた人、およびその関係者が、広島市内でいくつかの店を開いている。その一つがこの陽気。


広島の名店の特徴だと思うのだが、この陽気も街の外れにある。広島市の南の外れの江波という、広島電鉄の路面電車の終点で降り、さらにそこから10分くらい歩いたところ。何故こんな外れでやるのだろう。お客が来過ぎて手に負えないからなのだろうか。僕が行った時は午後4時半の開店直後だったため人は並んでいなかったが、食事時にもなるとこんな場所にもずらりと人が並ぶらしい。

メニューは「中華そば600円」のみ。


前日に行った「あ味」と、構成は同じ。醤油とんこつのスープに細めの真っ直ぐな麺、焼き豚、しゃきしゃきもやし、青ネギ。ところがこれが、あ味がまずかったと言うのではないのだが、死ぬほどうまかった。僕が過去食べたラーメンの中で、一番うまかったのではないかとすら思う。

実はあ味で食べた時、豚骨スープに醤油味って、あまり合わないのじゃないかと思ったのだ。尾道で魚介系のスープが醤油に良く合うのを知り、それに比べると豚骨スープと醤油はイマイチなのかも、と思ったのだ。豚骨スープの独特のコクと、醤油味が、ちょっとケンカしているようにも思えたのだ。しかしそれは広島ラーメンの原理に関わる問題になってしまうので、もう何杯か広島ラーメンを食べてから考えようと思い、ここには書かなかったのだが。

しかし陽気のラーメンは全く違った。何が違うのだろう。豚骨の他に鶏がらや野菜なども入れているらしい。いずれにせよ、醤油味と豚骨スープがうまいこと調和して、ケンカの気配は微塵も感じられない。このスープに、固めに茹でた細めの真っ直ぐの麺が、何とも良く合っている。そして全体のこってり感をしゃきしゃきもやしが程よく中和して、まあ見事。量がちょっと少なめで、メニューにご飯物などがなかったこともあり、塩分取りすぎを気にしながらももう一杯おかわりし、計二杯、食べてしまった。

陽気 (ようき)

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中3少女、父親を刺殺

父刺殺「午前3時前に目覚めて思いついた」…長女供述

中3の少女が父親を殺した。「夜中にお父さんが家族を殺す夢を見て、夜中の3時に目覚めて殺害を思いつき、台所へ行って包丁を持ち出した」のだそうだ。

僕も朝起きて名案を思いつくことが、よくある。寝ると頭の中が整理されたりすることがあるのだろう。この少女の場合、その名案が、お父さんを殺す、というものだったのではないか。おそらくあまり迷いもせず、まっすぐ父親の寝室へ向かい、胸に包丁を突き刺したのだろう。やり終わって晴れ晴れとした達成感すらあったかもしれない。

不幸な事件だが、人間が人を殺す生き物だということを、改めて深く思い出させる出来事である。

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2008-07-20

広島ラーメン 「あ味」



尾道でラーメン食べてちょっと癖になり、広島でもラーメンに挑戦。広島県には尾道を中心とした「尾道ラーメン」の他に、広島を中心として戦後の屋台を発祥とする「広島ラーメン」というのがあるらしい。

Webによると広島ラーメンとは醤油味のとんこつスープを特徴としていて、東日本と西日本のラーメンのいいとこ取りをしたものだとのこと。口コミサイトで調べて、けっこう上位にランクインしているこの「あ味」へ行ってみた。



一番人気だというもやしラーメン、710円。しゃきしゃきのもやしが山盛りに載っている。スープはこってりとしたとんこつ醤油、それに細めの真っ直ぐな麺。スープはこってりとしているのだが、臭みもないし、全体としてはあっさりしている。成程このこってりとあっさりの絶妙なバランスが、広島ラーメンの身上なのかも知れない。スープも全部飲み干し、大変おいしく頂いた。

あ味
082-239-4880
広島県広島市西区楠木町3-8-4

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『そうだったのか!現代史』 池上彰著

現代史は確かに学校で習っていない。中学でも高校でも、教科書には書いてあったが、授業の都合で最後まで行かなかった記憶がある。また社会人になってからは、新聞やテレビなどで断片的な情報を都度目にする事はあっても、一つ一つを体系的に知る機会は少なかった。

そういう意味でこの本は、第二次大戦以後の様々な事件、湾岸戦争、冷戦、ドイツ分断、中国、朝鮮、ベトナム、カンボジア等々、直近で起こった出来事から話しを引きながら、その大元の原因や経緯について解きほぐしていく。書名の通り「そうだったのか」と思う事も多く、大変役に立った。

現代史は評価の定まっていない問題も多く、書くのが難しい所もあるだろう。著者は気負わず淡々と、元NHKの記者という事もあるだろう、一般人の常識的な見方に沿った書き方をしていると思う。

それにしても戦後数十年という短い期間で、如何に沢山の人間が殺戮され、虐殺されてきたのか、改めて愕然とする。国家という名の元に行われる人殺し、なくす事は適わないのかと改めて考えさせられた。



2008-07-19

関西風お好み焼き

大阪に行く機会があり、ついでなのでネットで調べて、梅田で一番の行列店へ繰り出した。口コミサイトを主に見るのだが、行列店のコメントには必ず、「あんなに並ぶほどの味ではない」「観光客ばかりで、大阪人は行かない」などという物がある。まあ恐らく確かにそうで、そこに住んでいる人は家の近所や職場の近くに自分のお気に入りの店を持っているのだ。でも街の真ん中にある店はそういう人たちの為ではなく、観光客の為にあると考えれば、行列はできないより、できたほうが良い。という訳で、行ったのは大阪駅至近の「きじ本店」。



昼の12時開店で、12時10分に行ったらすでに30分待ちだったが、何とか扉の内側には入れたのだった。食べ終わって出てきた時には、扉の外にもずらりと並んでいた。

店員に、初めてなのでお薦めは、と聞くと、モダン焼きと豚玉という事だったので、それを頼んだ。そう、ここはモダン焼きが売りの一つらしい。



モダン焼き。これは要は焼きそばが入っており、広島風に似ていると言われる物なのだが、全く違う。作り方を見ていると、まず焼きそばを普通に炒めて、それをボウルに入った生地の液に戻し、混ぜてから改めて鉄板で焼く、というスタイルだった。材料は共通かもしれないが、考え方が全く違う。

 

豚玉。これは豚肉に卵が入っているのだろう。モダン焼きも豚玉も、ひとことで言うと、ふわふわ。プリンとかケーキの様な食感。京都なんかのちょっと上品な食べ物を髣髴とさせる。生地に出汁や山芋等を入れるらしい。ああ、こういう物なんだな、と思った。大変おいしかった。

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2008-07-18

五日市 八昌

薬研堀の八昌のご主人が、そちらは弟子に任せ、今は五日市で新しく店を開いているという。どんな店なのか見てみたい、ご主人に会ってみたい、ご主人の焼いたお好み焼きを食べてみたい、そう思って五日市まで出掛けてきた。

元々お好み村という広島市の繁華街の中心部で店をやっていた人が、薬研堀というちょっと外れに移り、更には五日市という広島市の南の外れに移って行く。商売が上手く行かなかったというのではない。薬研堀は大繁盛しているのである。お好み村も多分そうだったろう。本人が好きこのんで、外れに外れにと移って行っているのである。

最近広島ラーメンの事を調べ始めていて、これからちょっといくつか食べてみようと思っているのだが、広島ラーメンの源流になった店も、今は広島市の北の外れで営業しているという。また僕の知っている広島出身の女性も、ある活動をするのに、街の中心でやるチャンスがあったにもかかわらず、わざわざ端っこを選んだ事があった。広島人の美意識のような物が何かあるのだろうか。

まあそれは良いとして八昌。



五日市という広島市の外れの街の、更に外れた場所にある。周りは郊外の住宅街。去年の暮れにオープンしたばかりとの事、店はピカピカ。とても健康的。お客さんも、近所の普通の人たちが来るのだろう。薬研堀は周りは風俗街だし、独特の怪しい雰囲気があるのと比べると、ああ、ご主人はこういう所で店がやりたかったんだなと思う。

残念ながらご主人はおらず、女将さんらしき女性が焼いてくれた。蒸らし時間はきっちり15分。



出てきたお好み焼きは、まさに八昌。そばはパリッとして、キャベツはほくほく、卵はとろとろ。薬研堀と寸分違わぬ味だった。

しかし八昌、ほんとに量が多い。今日はかなり空腹状態で出掛けたのだが、それでも最後は苦しくなり、死ぬ程お腹一杯になった。780円という薬研堀と同じ値段、この辺りではかなり高額な設定だろう。しかしちょっと小さくして安くする、という概念は無いのだ。あくまでお客に直球勝負を挑んでくるという人なのだろうと思う。

八昌 五日市店
082-921-4840
広島県佐伯区五日市中央1-3-33

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2008-07-17

尾道

近くで仕事の用があったので、ついでに尾道へ行ってきた。まずは何と言っても、尾道ラーメン。行列店の一つ、つたふじへ。



平日の午後1時20分でこの状態。炎天下で20分待ち。

店内は10席程のカウンター席のみ。見たところ地域によくある、徹底的に流行らないラーメン屋。メニューは中華そばが並と大、それに中華うどんなる物、並と大。中華うどんがどんな物なのか、大変興味はあったが、まずは定番、中華そば。大600円。



尾道ラーメンは、定義としては、
* 醤油味をベースに、瀬戸内海の小魚によるだしを加えた鶏がらスープ
* 歯ごたえのある平打ち麺
* 具にネギ、チャーシュー、メンマ、豚の背脂を使用
というものらしい。魚介出汁に豚の背脂というのは、今や日本のラーメンの主流とも言えるだろうが、元々は色んな地域でそれぞれが取り組んだものが、蓋を開けてみたら同じ様なやり方をしていた、という事なのかも知れない。

実際鶏がらスープに醤油って、あまり合わないんじゃないかと思う。特にスープがちょっと冷めると、何と言うか、独特の不味さがある。中国ではスープは塩味が中心なのだろう。日本人は醤油が好きだから、醤油に合う中華スープという事で魚介出汁を混ぜるようになり、それではあっさりし過ぎだから、という事で背脂を入れるようになった、という所なのではないだろうか。この店のスープも大変美味しく、暑いにもかかわらず全部飲み干してしまった。

上に「歯ごたえのある平打ち麺」と書いてあるが、この店の麺は歯ごたえのない丸い麺だった。よく蕎麦屋のラーメンとかで使われるような、懐かしいと言うか、今やよっぽど流行らないラーメン屋でしか見ないようなやつだ。この店がこの麺を選んでいるのは恐らく、特別に積極的な理由があるというよりも、店の開業当時、初めに選んだのがこの麺で、それをそのまま使い続けているというだけだろう。頑固というより、研究不熱心なのだと思う。しかしそれでは何故この店がそれほど行列を作り出すのか。

多分この店が、尾道ラーメンの原点がある、と感じさせるからなのではないだろうか。この店、創業は終戦後すぐで、尾道のラーメン屋の中では、老舗の一つであるらしい。近くに別の老舗の店があり、定休日だったので入れなかったが、建物はきれいに立て替えられていた。建物をきれいにするというのは良さそうに思うが、これが気を付けなければいけない所で、例えば古寺を鉄筋コンクリートに建て替えてしまったら何の価値もなくなってしまう、というような事が有り勝ちなのだと思う。この店は終戦直後のままではないとは思うが、何となく薄汚い感じのままだったり、麺も天然記念物かと思うような物だったりすることが、逆に本物感、これが原点だというオーラ、を醸し出す所があるのではないかという気がする。

しかしまぁ、実際美味しいラーメンだったので、今度中華うどんというのを是非食べてみたいと思う。

さて尾道の街なのだが、ひとことで言うと「昭和」なのだ。松江もそうだったが、尾道も空襲を受けなかったそうだ。古くから北前船が寄港するなど港町・商都として栄え、また造船業も盛んで、戦前は広島と匹敵すると言われるほどの経済力を持っていたそうだ。そういう栄えた街の風景を、今にそのまま残している。



尾道は平野が少なくて、海岸から線路を挟んですぐ山になってしまうのだが、その麓から中腹にかけて、家がびっしり建っている。山の斜面だから、階段とか細くくねくね曲がった道などが縦横無尽に走っている。







これって、古き佳き日本の街の、一つの代表的な風景なのではないかと思う。僕は小学生の頃、東京は港区の高輪に住んでいた事があるのだが、高輪も起伏に富んだ地形で、全く同じ様な階段や細い道がたくさんあった。平地が狭く起伏に富んだ場所に家をたくさん建てようとすると、自動的にこうなってしまうという事なのだろう。

そういう街だったから、文化人がたくさん生まれ、また住み着いた。志賀直哉も一時尾道に住み、有名な「暗夜行路」には尾道の事も登場するそうだ。また黒澤明と並ぶ日本の映画監督の巨匠、小津安二郎の代表作、「東京物語」も、主人公のお爺さんが尾道の出身という設定で、映画の撮影もここで行われたのだそうだ。

ちなみに志賀直哉が、一年程だったらしいが、下宿していた長屋というのが今も保存され公開されている。



尾道出身の有名人も多い。僕が聞いた事がある名前だけでもこれだけある・・・東ちづる(女優・旧因島市)、石堂淑朗(脚本家)、大林宣彦(映画監督)、高橋源一郎(小説家)、高橋玄洋(小説家・脚本家)、西山喜久恵(アナウンサー・フジテレビアナウンス室主任)、速水けんたろう(だんご3兄弟)、平山郁夫(日本画家・旧瀬戸田町)、藤原弘達(政治学者・政治評論家)、ポルノグラフィティ(ロックバンド・旧因島市)、山本モナ(フリーアナウンサー)。平山郁夫から山本モナまで、という幅の広さだが、それだけのパワーのある街なのだという事だろう。

尾道は瀬戸内海で島が密集する、ちょうどそういう場所にあるみたいで、そういう地の利を生かして経済も発展したようであるし、古代は海賊も暴れ回っていたらしい。ロープウエイで千光寺公園の展望台という所に上がったのだが、そこから見渡した瀬戸内海の島々。



海を挟んだ向島という場所の展望台から見た風景。



この世の物とは思えぬ位、本当にきれいだった。こういう景色を日常的に眺められる人の人生という物は、僕のように東京で育ち、ごみごみした街しか知らない人間の人生とは、随分違うものがあるのだろうなと思った。

2008-07-15

横川 ロペズ



ご主人はグアテマラ人だそうだが、八昌で修行して、こちらで独立したらしい。昼間は火曜と金曜のみの営業なのだが、1時過ぎに行ったらずらりと行列、ただ八昌と違ってこちらは冷房の効いた店内で待つことができるので、助かった。

待つこと30分、やっと席に座って注文、八昌のことを思うとこれから更に30分位待つのだろうなと思い、いつもは昼は頼まない生ビールなども所望してみたりしたのだが、何とびっくり、10分程で出てきたのだった。



女将さんらしき人も、お待たせして申し訳ありませんでした、と本当に申し訳なさそうに挨拶してくる。そうなのだ、ここのご主人は八昌の一番大事なエッセンスを貫き通すことが出来なかったのだ。

八昌は色々優れた点があると思うが、中でも多分一番重要なのは、キャベツを蒸らすために普通の倍くらいの時間をかけるという事なのだと思う。時間をかけて火を通すことにより、キャベツが柔らかく甘くなる。このキャベツの味が、八昌のお好み焼の真骨頂なのだと思う。

しかしその時間をかけるという事が、簡単そうに見えて実は意外に難しいのではないかと思う。一つには時間をかけて鉄板の上に置いておいて、しかも焦がさないというのが、そうそう簡単な事ではないだろう。ただ単純に火を弱くすると、今度は火が通らないという事もあるかも知れない。そのためには鉄板を厚くするとか、多分色々な工夫が必要なのだと思う。

しかしそれだけではない。通常の考え方に従えば、お客を待たせる事は、即ち悪である。その常識に対抗してお客を待たせ、しかもお客も納得して喜んで待ち、更にはその待ち時間を有効活用してビールやつまみや色んなものを頼んでもらうまでに持っていく為には、それなりの腹の据わり方が必要だという事だろう。この店の場合、女将さんすら待たせて悪いと思っていたから、多分ご主人は一番手前の女将さんの時点で敗退してしまったのだろう。残念なことだが八昌のお好み焼、簡単そうに見えていかに難しいかを表す事例と言えるのだと思う。

まぁしかし、八昌という事を考えなければ、この店のお好み焼は、けっこうおいしいお好み焼。パラペーニョのトッピングもあったりして、楽しめそう。ご主人も性格良さそうな人だから、ぜひ行ってあげて欲しいと思う。

ロペズ (お好み焼き / 横川)

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日記

家で飲むと、いつも大体、9時に飲み始めると、午前1時に就寝、10時に飲み始めると、2時に就寝、となる。飲み始めて3時間後に、そろそろ寝なくちゃ、と思い始め、実際に寝るのはその1時間後。このペースはほぼ固定していて、毎日大体一定だ。

酒を飲みながらすることは、その時々でちょっと変わったりもするのだが、ここ数ヶ月はこの日記の更新。前はテレビを見ていたのだが、1年ほど前からテレビを家に置かなくなった。日記を更新することが何かの役に立っているとも思わないが、少なくとも自分の考えをまとめることにはなるし、また多少は文章を書く練習にもなるから、ただぼっとテレビを見て、時々一人で笑ってしまっては、誰もいないのに気づいて急に寂しくなる、みたいなことに比べれば、ましなのではないかと思っている。

名古屋にいた時代は、一週間のうち半分くらいは、近所の酒場に飲みに行っていた。することは同じ、この日記に書いているようなことを、バーテンの青年や常連さんに向かって話していた。対話するのではない、僕が一方的にしゃべるのだ。ぼくのつまらない独り言をやさしく聞いてくれる人たちがいて、ほんとにありがたかった。今でもその中の何人かの人は、この日記を時々眺めてくれているのではないかと思う。

どういうことかと言えば、いずれにせよ、僕には他人にあまり気を遣わずに、思うことをとにかくしゃべる場が必要なのだ。これは僕の習性というか、生きる条件のようなものなのだと思う。いやもちろん、この日記にしても、誰かが読んでくれていることを想定してはいる。でも相手の話を聞くのではなく、話すのはあくまで僕一人。コメント欄も外してしまった。コメントを書いてもらっても、それに応えるのは面倒臭いのだ。

いやもちろん、僕がいつでもそういう性格であるという訳ではない。僕もそれなりに大人である時も多いつもりだから、きちんと人に気を遣い、一歩引いて相手を立てる事だって、たぶんちゃんとしているのではないかと思う。いや、もしかしたらそう思っているのは自分だけで、人から見たら全く自分勝手なのかも知れないが、それなりに頑張ってはいるのだ。でも一日のうち数時間、そういうことから全く解放されて、好き勝手に話す時間が必要なのだ。

今日もこの日記に付き合ってくれた人、どうもありがとう。

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2008-07-14

扇風機

 

広島は東京に比べると、だいぶ涼しい。名古屋に比べても涼しい。まぁ名古屋は暑くて有名な訳だが、東京では周りの建物がみんなエアコンを使うから、その排熱で大変なことになっている。

今住んでいるのはマンションの4階で、周りは東京に比べたらすかすか、50メートルほど先には川も流れ、いい風が良く通る。窓は東南向きで西日は入らない。

東京や名古屋にいたときには、夏場は家にいるときは、24時間エアコンの生活だったが、この夏はできるだけエアコンを使わずに過ごしてみようと、今日扇風機を買ってきた。

電灯に続き、またしても無印良品。3,900円。

窓から聞こえる遠くの車の音。家の中では扇風機が風を切る音。首振りがこっちを向くと、ちょっと遅れて風がやってくる。昔ってこうだったよなぁと、改めて思い出した。

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おこのみやき じゃんぷ



地域にあるお好み焼屋は、都市部の店が、基本的に新規の観光客を相手にするのとは全く違い、地元の人たちに好かれ、常連として繰り返し来てもらえる、ということでなければ商売にならないだろう。だからただお好み焼の味がどう、ということだけではない、サービスのあり方が問われることになる。店主の人格そのものも重要な要素となるだろうから、実際個性的な店が多い。

この店のおばちゃんは72歳だそうだが、飄々とした感じで自分の過去やら、お客さんのことやら、話し続ける気のいい人。店は始めて10年だそうだが、その前はご主人の経営する土建屋で一緒に働き、小柄な感じなのだが、ダンプも運転していたそうだ。

お好み焼だが、これがすごい。



そば肉玉。これでもか、というぐらいに盛られた大量のキャベツ、そして最後に、青ネギのトッピング。それで驚きの550円。
赤字でしょう、と聞いたら、キャベツとネギは、畑で自分で作っているとのこと。退職したご主人が主に担当しているらしい。中に輪切りのレンコンも入っていて、超お腹いっぱいになった。

レギュラーサイズの発泡酒も置いてあり、これが200円。しかもその値段でお通しまで付いてくる。750円でビールにお好み焼、これは世界一安い店だと思う。

猫を拾った話やら、犬をもらった話やら、常連のお客さんが子供の写真を成長するごとに持ってくると言って、それがべたべた貼ってあったり、リストラされたという一見のお客さんにただでお好み焼きを食べさせ、家族の分まで持ち帰らせ、三万円まで持たせたが、連絡がないと嘆いてみたり、まぁまぁ、話は尽きない。

店というより、自分の家かと錯覚する、そんな場所が広島にはたくさんある。懐の深い街なのだと思う。

お好み焼き じゃんぷ
082-273-3020
広島県広島市西区高須1-4-7

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みっちゃん いせや 紙屋町本店



広島のお好み焼屋、みっちゃんにはいくつか系列があるらしく、もともと広島風お好み焼を考案したと言われる人が3店やっている他に、その人の弟さんが5店やっていて、「いせや」というのはその5店を指すみたい。紙屋町本店だそうだから、その中心なのだろう。



そば肉玉、735円。

今日食べて思ったのだが、みっちゃんのおいしさは、色々なものを入れるおいしさ、なのだ。メニューもスペシャルとかデラックスとか、お好み焼は基本はそば肉玉と言って、肉と、玉子と、それにそばが入ったものなのだが、さらにイカとかエビとか、またネギを載せたり餅を入れたり、とまぁ、様々なトッピングをしたものが前面に出るようになっている。

店のある場所も、みっちゃんの場合大体繁華街か、駅や空港など、観光客も多く集まる、日常と言うよりはどちらかと言うと非日常な場所。そういう場所で食べるお好み焼きは、やはり地味なそば肉玉より、色々入った豪勢なものの方が良いだろう、そういう考え方なのだと思う。

いせやの店では、マヨネーズが初めから出てくるようになっている。マヨネーズは、地域のお好み屋などではまず出てこない。お好み好きの中には、マヨネーズをかけると言うと、眉をひそめる人も多いと思う。しかし他県の観光客は、これは関西風お好み焼の影響だと思うのだが、お好み焼にはマヨネーズをかけると思っている人が多いのだろう。マヨネーズないんですか、といつも聞かれるうちに、そういう人へのサービスとして、初めからマヨネーズをつけることにしたのではないかと思う。みっちゃん・いせやは主なお客のターゲットが、そういうお好み焼きを食べ慣れない、他県の人、というところにあるのではないかと思う。

作り方も、調味料をかなりふんだんに使っていた。塩、こしょう、味の素、ガーリックパウダーだと思う。これも考え方としては、色んなものが入ってた方が、おいしいよね?というところなのだと思う。確かにおいしくなくはないのだが、いつも食べるものとしては、やはり基本的な材料を使って、素材そのものの味を丁寧に引き出したものの方がいい。色んなものが入っているおいしさは、何度も食べるとだんだん飽きてくるからだ。

たぶん八昌とか胡桃屋は、広島お好み焼界の中心であるみっちゃんの、そういう考え方に対するアンチテーゼとして、化学調味料を全く使わなかったり、素材を吟味し時間をかける、というやり方を選んでいったのではないかという気もする。色々あるんだね、面白いね。


みっちゃん いせや 紙屋町本店 (お好み焼き / 紙屋町東)
★★★☆☆ 3.0

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松江・出雲

まずは12日土曜日。

こちらは出雲そばが名物の一つで、松江市ではお城のすぐ脇にある八雲庵がダントツに有名。もともと武家屋敷だった所で、建物や庭など、大変趣がある。



芸能人のサインなども山ほど飾ってある。

五段の割子そばを注文。



割子というのだろう、小さな器に小分けになって出てくる。

松江藩の七代目藩主、松平治郷が不昧公と呼ばれる趣味人だったそうで、その影響なのだろう、松江にはいかにも趣味の良いものが色々ある。こうやってそばが小分けにされて出てくるのも、そういうことなのではないかと思う。

変わっているのは食べ方、薬味を載せて、上からつゆをかけて食べる。そのつゆがちょっと甘め。出雲そばはそばの実を皮ごと引くため、色もちょっと黒っぽくて味が濃いのだが、それが甘めのつゆと良く合う。江戸の粋とは、またちょっと風情が違うのだと思う。

さて昨日。朝から快晴。松江市内、安いホテルを取ったのだが、窓から宍道湖が一望でき、すごいいい眺めだった。



車で出雲へ。出雲大社が近づくと、うっそうとした小高い山が見えてくる。



西日本の神社仏閣は、今まで見たものは全部そうなのだが、小高い山のふもとにある。出雲大社も例に漏れず、八雲山という山のふもとにある。木々や鳥や虫や、そういうものを育む山の生命力が、古代の人々にとって、信仰の対象となったのだろう。



参道は松並木。ここは昔は、天皇しか通れなかったそうだ。



拝殿。本殿を改修するというので、今はご本尊がこちらに移されているそうだ。



本殿を後ろから。本殿は年に何回か公開されるが、今日は入れなかった。

出雲大社は何回か改築されているみたいで、今のは江戸時代に作られた建物なのだが、古代には高さ48メートルもあり、東大寺の大仏殿より大きい、日本一大きな建物だったとか。



山をバックに。日本の神社仏閣、山を背にしているのが、ほんとに趣があると思う。



出雲大社は大国主命を奉ってあるのだが、大国主は大黒様。どこやらから奉納された大黒様の彫像が、大量に飾ってあった。



ご祈祷の風景。この他何種類かの祈祷をしていた。現役も現役、バリバリなのだ。

今回の出雲大社、宮島に行った時のことを考えて、行って癒されたいと思ったのだが、そういう目的はちょっと違ったみたい。何しろ普通の神社の神様が、10月の神無月には全員、出雲大社に来てしまい、こちらは神在月になるというくらいの、神社オブ神社、神社の頂点を極める場所だから、いかにもご利益を求めて来ているという感じの人達がたくさんいて、それって要はお金を払えば幸せになりますよ、ということなので、全く生々しいと言うか、人間の欲望むき出し、という感じの場所なのだ。さすがにちょっと、気疲れしてしまった。



参道にあるそば屋で、また出雲そば。今度は三色割子と言って、上にちょっとしたものが色々載ったやつ。これも美味しかった。色んな味がちょっとずつ味わえるのって、なかなかいいと思う。

という訳で、昨日のメインだった出雲大社訪問は、早々に終わったので、あとは余った時間で、色々見て回ることにした。



島根県立古代出雲歴史博物館。



最近になって、出雲大社の昔の柱が出土して、新しいことがずいぶん分かったらしい。



近くにある日御碕の灯台。200円払って上まで登ったのだが、僕はちょっと高所恐怖症なのだ。怖くて、すぐに引き返してきた。



経島は、ウミネコの繁殖地となっている。



ひなびた食堂で食べた、日本海丼。目鯛とブリがのヅケが、マジ?と思うくらい大量に載り、山芋すりおろし、ウズラ卵、海苔千切り、小ネギ。ヅケのタレの味と漬かり具合がちょうど良く、あまり期待していなかったのだが、びっくりするくらい美味しかった。



一畑薬師寺。

ということで、いくつかのポイントを見物しつつ、最後に松江に戻って、松江城のお堀を廻る遊覧船に乗り、割子そばと並ぶ名物である、ぼてぼて茶というのを飲んでみることにした。

遊覧船は一人1,200円。50分かけて、お堀のけっこう広い範囲を一周する。



案内役のおじさんは、銀行を退職して、今はここでガイドをするのと、宍道湖で猟師をしているとのこと。うらやましい人生だ。



木々が茂り、鳥が羽を休め、亀が甲羅干しをする、そういう中を船はゆっくり進んでいく。ディズニーランドのジャングルクルーズより、こちらは全部本物だから、よっぽど面白い。



松江には志賀直哉と芥川龍之介が、一時下宿していたことがあったとのこと。それがここ。今は普通に人が住んでいるそうだ。



船から松江城を眺める。

という訳で、最後はぼてぼて茶。



泡立てた番茶に、ちょっとした具を色々入れて飲む。風流なお茶漬けみたい。箸などを使わずに飲むのが流儀らしいが、到底うまくできず、付いていた楊枝で具を掻き出して食べた。



小泉八雲。