2008-07-30

広島ラーメン つばめ


広島のラーメン店には、「小鳥系」と呼ばれる系列があるそうだ。店の名前に小鳥の名前を使ったもので、すずめ、うぐいす、ひよこなんていうのもある。そしてここ、つばめ。広島では小鳥に名前に、あっさりした醤油豚骨のラーメンを食べさせる店、という暗黙の了解があるようだ。

ここつばめは、すぐ近くに超有名店のすずめがある。名前も似てるし場所も近いのだが、とくべつ親戚関係などではないらしい。このつばめも屋台から創業し、親子孫三代で頑張っているそうだ。

ちょっと早め、開店時間11時半の5分前くらいに行ったのだが、開店すると続々人が入ってきて、11時40分にはもうほぼ満席。すずめのほうが開店が午後3時ということで、うまく住み分けながら、地元の人たちに支持されているのだろう。

メニューは中華そば600円、ほかにおむすび、おでんもあった。ラーメンのスープで煮込んだおでんらしい。持ち帰りも可能で、おでんはもちろん、ラーメンを持ち帰る人もけっこういた。


ラーメンは、コクはあるがあっさりとした醤油味の豚骨スープ。鶏がら出しも入っているらしい。それに中細の丸い真っ直ぐな麺、しゃきしゃきしたもやし、味のあるチャーシュー、太めの青ネギ。すずめや陽気にくらべるとスープの完成度がやや低いと思ったが、十分おいしくいただいた。このちょっとバンカラな感じが、またいいという人もいるだろう。

しかし広島ラーメン、一つの型としてかなり完成度が高いと思う。終戦直後、何軒かの屋台や店がお互い参考にし合いながら到達したのだと思うが、そのときの状況をぜひ知りたいものだ。

広島はお好み焼屋ばっかりで、うまいラーメン屋があまりないという声も聞くが、それは全く嘘であって、名店で食べる広島ラーメンは本当にうまい。僕の見るところ尾道ラーメンとくらべると、大人と子供というくらい、こちらのほうが上だと思う。しかし尾道ラーメンは全国区のブランドを確立しているのにたいして、広島ラーメンはイマイチ知られていない。

だいたい広島ラーメンを代表すると言われる名店が、街の中心地からはるか離れた場所にある。すずめしかり、陽気しかり、またしまいという名店、僕はまだ行ったことがないのだが、これも広島市の北の外れにあるらしい。お好み焼きの名店である八昌も、もともと新天地のお好み村にいたのが、薬研堀という繁華街の外れに移り、さらに今では五日市という広島市の南の外れに行ってしまった。広島市の名店は、どうも孤高の道を歩むという傾向があるようだ。

おそらく広島市の人たちは、原爆でとんでもなく苦しい目に遭っているから、街の中心部でちゃらちゃらと観光客相手の商売をするということを、善しとしないところがあるのかもしれない。地域に密着し、地元の人に愛されてこそ本当の商売だ、みたいに思っているのかも。でもこの不景気の中、町おこしとして広島のラーメン店が手をつなぎ、新しいラーメン店を引き入れながら、広島ラーメンを全国区ブランドとして確立させていくという動きがあっても悪くないのではないかと思ったりする。その際、名店の店主も孤高を保つのではなく、自分も中心部で清濁併せ呑みながら。リーダーシップを発揮していくということもあってもいいのではないだろうか。

まあ余計なお世話と言われればそれまでなんだけど。

つばめ (ラーメン / 天満町)
★★★★ 4.0

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