2011-12-01

牡蠣といえば、まずはこれだろう。
「酢牡蠣」


いよいよ牡蠣が、旬をむかえることとなる。

広島に2年近く、住んでいたから、牡蠣にはやはり、思い入れがある。



牡蠣の鍋物といえば、土手鍋。土手鍋といえば、広島となるわけだけど、考えてみたら、広島で土手鍋を食べたおぼえがない。

広島の人ははたして、土手鍋を食べるものなのか。ツイッターとフェイスブックできいてみた。


「広島の人って、やっぱカキを食べるのに、土手鍋にします?」


11名の人が、回答を寄せてくれたが、その中で、「土手鍋にする」と答えてくれたのは、1名のみ。

それも、鍋肌に味噌でちゃんと土手をつくるのではなく、味噌をだしに溶かし込むのだそうだ。

回答してくれた人の多くが、広島で土手鍋をする人は、少数派なのではないかと言っている。



回答で、一番多かったのが、

「寄せ鍋や水炊きなどの、ふつうの鍋に入れる」

これは6名。

あとは、

「焼きガキ」4名。

焼きガキとは、殻のついたままの牡蠣を、直火で焼くことだ。

「カキフライ」3名。

「酢ガキ」2名。

「ソテー」2名。

「昆布蒸し」1名。



回答のなかで、

「まさに広島男児だ・・・」

と思ったのが、次の回答。

「調子悪くなるまで酢ガキ食べて、寝床から起きたら焼きガキ食べます」(30代男性・彫刻家)

「調子が悪くなる」とは、「あたる」という意味だろう。



牡蠣には「生食用」と、「加熱用」がある。

生食用と、加熱用だと、生食用のほうが、新鮮なのだろうと思うところだが、実はこの違いには、鮮度は関係ない。賞味期限がおなじなら、どちらもおなじ時に出荷されている。



生食用と加熱用は、「採取場所」と「殺菌方法」が異なる。

生食用の牡蠣は、清潔な海域で育った牡蠣を、さらに数日間、オゾン処理した減菌海水で育て、牡蠣についたバクテリアを殺菌したうえで出荷する。

清潔な海水は、逆にいえば栄養分に乏しいことになるから、そこで育った牡蠣はあまり大きく成長しない。さらに殺菌処理は、牡蠣にとっては「絶食」と等しいから、その間どうしても、牡蠣はやせてしまうことになる。

それにたいし、加熱用は、清潔でないとはいえ、栄養分の豊富な海域で育ったものを、そのまま出荷するから、よく肥えていることになる。

だから生食用と加熱用では、加熱用のほうが、味がいいということになるのである。



牡蠣を生食するばあいには、生食用を食べれば、そうそうあたることはない。

実際、牡蠣にあたるという話は、一般にそれほど聞かないわけだが、広島では、毎年かなりの数の人が、牡蠣にあたって病院に担ぎこまれるのだと、知りあいの医者が言っていた。

しかも牡蠣にあたった人の多くが、

「牡蠣にあたるのは仕方ない」

と思っているという。



上で引用した男性も、あたるのを覚悟で、あくまで「うまい」牡蠣を、生で食べるということなのだろう。

人間が、自分が生まれ育った土地を愛することの、ひとつの姿を、みるような思いがする。



というわけで、牡蠣を食うなら、まず酢牡蠣。

といっても、こちらが食べるのは生食用だから、あたる覚悟は必要ない。




生食用の牡蠣は、さっと水洗いするだけでいいのだが、かたくり粉をまぶしてもみ洗いすると、さらに汚れがきれいに落ちる。




ポン酢をふりかけ、30分ばかり冷蔵庫に入れておくと、味がよくしみる。




あらためてポン酢をかけ、大根おろしと青ネギをそえ、一味唐辛子をふって食べる。

まさに季節の味である。




あとは「豚ニラ鍋」。

だしパックなどで濃い目にとっただしに、たっぷりの酒、それにみりんと醤油で味をつけ、豚肉、ニラ、シイタケ、水切りした豆腐を煮、卵でとじる。

七味唐辛子をふって食べる。




残り汁で、うどんを煮てシメる。