2011-05-10

鯛のアラ炊き

浜岡原発の停止命令、昨日のブログにのっけたとおり、青山繁晴によれば
「横須賀基地への被害をおそれたアメリカからの圧力」
ということで、なぜこの時期になって唐突に、浜岡原発だけを止めることにしたのか、僕はたいへん納得したのだったが、今朝の毎日新聞はちがった見立てを書いている。

浜岡原発:首相と、原発推進維持図る経産省の同床異夢 - 毎日jp
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110510k0000m010109000c.html

浜岡原発の停止を
「将来的なエネルギー政策の転換につなげる一歩としたい菅首相」
と、
「「最も危険な浜岡」だけを止めることで原発推進の国策維持を図る経済産業省」
が、つばぜり合いを演じていて、官邸ではこの1ヶ月以上、浜岡原発中止について、検討を進めてきたが、経産省や電力会社の巻き返しをふせぐために、根回しも最小限にとどめ、間髪をいれず発表したのだとのこと。

このあたりの、根回しと手続きの不足については、ネット上でも批判が多く、読売新聞もかなり意地悪く書いている。

官邸、極秘協議1か月…法的根拠なく行政指導 : YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00140.htm?from=top

これにくらべると、毎日の記事は、政府にたいして好意的で、政府の弁明を代弁してあげているともいえるくらいのものになっている。毎日新聞には、もう一本、おなじような主旨で、別にコラムも掲載されている。

風知草:暴走しているのは誰か=山田孝男
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/

どうなのかな、ほんとのところは。僕は毎日の言うとおりだったらいいなとはおもうけど。

だいたい菅首相は、もともと「市民運動家」だったわけだし、原発による利権の恩恵も、それほど受けていないのだろうから、
「ここで日本のエネルギー政策を一気に転換したい」
ということは、政治家の夢として、考えるはずだとおもうのだよな。国民の多くは、それを支持するだろうし、もしそれを果たせれば、まさに「歴史に名が残る」ことになる。

月末にはサミットもあるし、そこで菅首相も何らかのアピールをするはずだから、菅首相がほんとはどう考えているのかということは、そんなにしないうちに、わかることになるのでしょうね。

ちょっと前から、僕は宅配の新聞をとるのをやめて、ネットで何紙かを見比べるということにしているのだけれど、とくに原発の問題は、各紙の対応がはっきりと別れるところがおもしろい。

今回の浜岡原発停止問題についての、「経済界の声」を、誰を取り上げるか、などというところにも、そのちがいはあらわれる。

毎日は、いまや改革派の代表たるソフトバンク孫正義社長に、「適切な判断だ」と言わせている。

孫社長:「適切な判断」…菅首相の浜岡原発停止要請を評価 - 毎日jp
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110510k0000m020083000c.html

その正反対が読売で、経団連会長に「パフォーマンスだ」と批判させている。

「パフォーマンスだ」経団連会長、首相要請批判 : YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110509-OYT1T00983.htm?from=main4

朝日はわりと渋いところで、川崎重工社長に「適切」と言わせる。

asahi.com:首相の浜岡原発停止要請「当然」 川崎重工会長が見解
http://www.asahi.com/business/update/0509/OSK201105090104.html

雑誌の対応も、これほどかというくらい、はっきり別れていて、岩波書店「世界」
http://www.iwanami.co.jp/sekai/
では、「原子力からの脱出」というタイトルで特集をし、孫正義氏や、小出裕章氏、河野太郎氏など「反原発派」の論客をずらりと並べているのにたいし、「文芸春秋」
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/
では、特集は「国難・東日本大震災と闘う」となっているが、関東大震災ほか昔の災害との比較や政権批判、被爆の恐怖、などがおもで、原発問題についてはほとんど触れられていないようだ。

僕はこれまで、自分はどちらかといえば「保守」じゃないかとおもっていたのだけれど、こうやって対比させてみると、保守の代表たる文藝春秋の姿勢には、どうもあまりピンとこなくて、革新・岩波の反原発路線のほうが、共感できるものがある。

しかしこれは、僕に限らないことじゃないかとおもうのだがな。今回福島原発の、あれだけの惨状を見せられて、それでも原発を、これまでどおり推進したいとおもうひとは、利害関係の当事者であるという以外に、僕には想像がつかない。といっても僕の場合、あくまで「気分」の反原発で、筋金とかは、まったく入っていないのだが。

昨日の昼は、2日前の常夜鍋の、肉と汁の残りをつかってぶっかけめし。

肉のだしを味わうときは、いつもは塩コショウで味をつけるのだけれど、今回みりんと淡口醤油にしてみたら、ちょっと失敗、入れすぎた。肉のだしに醤油味は、加減が意外にむずかしいのだ。

晩酌は、グルメシティ、鯛のアラが見切り半額、200円で売ってたので、それをゴボウといっしょに炊いた。

アラといっても、身の中央の、切り身の部分を除いた、前後の部分ということで、ふつうのアラより余計に肉がついている。旬というのは、何でも安くなるから、いいことだ。

あとはスグキに冷奴で、「笹の川 ほろ酔」冷やを2合。

鯛のアラ炊きは、食べ終わったら、骨や皮と、煮汁を器にいれ、熱湯をそそいで「骨湯(こつゆ)」にする。

これは池波正太郎「そうざい料理帖」に載っていたもので、池波の曾おばあさんが、
「ほら、ソップだよ、滋養になるからおのみ」
といってつくってくれたものなのだそうだ。