2011-01-31

鶏の水炊き

肉も野菜もたっぷりとれるのに、支度が簡単で、味付けの種類は多いし、圧倒的にうまいし、酒にも合って、暖まって、最後のシメには、おじやだろうがうどんだろうが雑煮だろうが、何でも来い、鍋というのはほんとうに、ミニマル料理という観点からすると、とくに冬場は、これ以上のものは考えられないわけで、一人暮らしの人が、まず何を料理しようかと考えるとき、鍋はぜったい正解なのだ。

これから料理しようと考える人は、そうすると、初めにカセットコンロと土鍋を買おうとするのじゃないかと思うのだが、カセットコンロはよいが、土鍋を買うのは、ちょっと待ったほうがいい。
だいたい一人暮らしの人の場合、キッチンはかなり狭いはずなので、もしほかのもので兼ねることができ、なくてもすむものならば、ないほうがいいのだし、それに鍋をするのに土鍋というのは、意外に使いづらいというのが僕の考え。

一人暮らしだから、一人用の小さな土鍋でよさそうな感じがするが、小食な女性ならばいいのかもしれないが、男性ならば、一食分には小さすぎる。
これは鍋のやり方にもよるので、材料を皿に入れて、それをテーブルにならべ、一回に食べる分だけ少しずつ、鍋に入れていくようにするという、まあたしかに鍋をするなら、ほんとはそれが正しいというやり方をするのなら、鍋は小さくてもいいのだが、それだと狭いテーブルの上に、あれこれならべないといけないし、途中で何度もアクを取ったり、足りなくなった水を足したり、酒を飲んでだんだん酔っ払ってくることを考えると、かなり面倒くさい。

一食で足りるだけの分量がいちどに入る土鍋は、今度はかなり巨大になって、置くところなどあるわけがなく、それならフライパンで十分なのだ。
それにフライパンは、深さが浅く、底が平らで、材料をきれいにならべられるし、鍋をするにはかなり使いやすいと僕は思う。
まずはフライパンで、しばらくやってみて、それでもどうしても、土鍋が欲しいということになったら、その時点で初めて買うというのが、土鍋の購入については正解であると僕は思う。

しかしフライパンというのはほんとに便利で、焼いたり炒めたりということはもちろんだが、こうやって鍋もできるし、煮物をするにもうってつけ、蒸し物もOK、野菜をゆでたりするにもちょうどよく、鍋はこのフライパンと、もう一つ、ラーメンやうどんを作るときのための片手鍋だけあれば、とりあえず十分じゃないかと僕は思う。

ちなみにあと、なくてもいいと思える調理器具は、ザルとボウル。
これも戸棚の場所を食う代表選手なわけなのだが、ボウルはまず絶対いらない。
僕はボウルをもっていないが、ラーメンどんぶりで代用していて、それで困ったことは一度もない。
ザルはいちおうもってるのだが、これがないと絶対に困ると思われるのは、ゆでた素麺を水にさらすとき。
でも僕は、家で素麺を食べないので、ザルをつかうことはほとんどない。
もし今、これからザルとボウルを買おうとしている人がいたら、とりあえずやめて、なしでしばらくやってみたらいいと思う。

逆に、いらなさそうに見えて、絶対にあったほうが便利なものは、アク取り器。
アクはスプーンでも取れるが、それだとかなり面倒くさく、これは多用しています、僕は。

というわけで、前置きが長くなりましたが、昨日は鶏もも肉を買って、水炊き。

だし昆布をしいたフライパンに、肉と野菜をならべ、酒をドボドボと入れて、水を張る。
鶏肉は、昨日は湯通しをしたのだが、これはあとでアクをとる手間を省くためのはずが、分厚い鶏もも肉は、湯通ししたくらいではアクが抜けず、けっきょくふたたび、アクを取らないといけなくなったから、しなくてもよかったかもな。
豚バラのうす切り肉などの場合は、湯通しするとアクがきれいに抜けるから、最終的には手間が省ける。

あとはこれを火にかけ、アクが出てきたら取って、ちょっと煮れば出来上がりなのだが、僕はこれを、煮えたらすぐに火を止めて、冷めたらまた火をつけ温めながら、延々と2時間ほどかけてちょっとずつ食べる。
ぐつぐつ煮続けるというようにしてしまわなければ、時間がたっても、問題なくおいしく食べられる。

水炊きのタレは、醤油にレモン汁、青ネギ。
菊正宗は常温。
熱燗のほうがおいしいが、燗をつける手間を考えると、これでほとんど問題ないです。
昨日は3合。

蛇足だが、青ネギの保存について。
青ネギ一把を一人で食べるには、1週間や2週間は平気でかかるわけで、それをどうやって保存するかが問題になるのだ。
青ネギは切ってしまうと、1週間もたたずにダメになってしまうし、冷凍すると、使っているうちに霜がついて、くっついてしまう。
僕がいろいろやってみて、これがいちばんいいと思うのは、青ネギを一本ずつ切って、それはタッパーに入れ冷蔵庫に入れて、残りは切らずに、野菜室に入れておくこと。
青ネギは切らなければ、2週間くらいはもつ。
スーパーには、小口切りにした青ネギも売っていたりするが、これはもちろん、切らないものよりずいぶん高いし、たぶん保存のために薬品に浸けるのだと思うのだけれど、その臭いがするので、僕は使わない。

水炊きの残り汁は、朝うどんにして堪能しました。
汁はキッチンペーパーでこし、淡口醤油で味付けする。