2010-10-23

喫茶チロル

この店は家からわりと近くにあって、以前朝散歩に行っていた頃、朝の5時半くらいに前を通ると、もう開店していたりするのだ。朝もやの中、煌々と電気が付いてる喫茶店っていいよな。たぶん中では、コーヒーの匂いがして。誰もしゃべらず静かだけど、お湯がちんちんと沸く音だけ聞こえてたりとか。

というわけで前から気になっていたこの店に、先日コーヒーだけ飲みに来たのだが、昨日はカレーを食べに行ってみた。ここは食べ物もけっこう充実しているみたいで、カレーもトッピングにより何種類もあるし、どんぶり物とか、あとランチもあるらしい。店内は、いかにも昔の、ハイカラな喫茶店。できてもう43年になるのだそうだ。壁や柱は黒が基調で、テーブルや椅子は木目。ちょっと西部劇にでもでてきそうな、昔風の洒落た感じにしつらえられている。

カレーは、トッピングなしだと600円。それに玉子やらチーズやら、コロッケ、カツ、などなどのトッピングがのせられるようになっている。ハムカツとか、コロッケとか、かなり惹かれるものもあったが、今回はもっとも定番と思われる、カツカレー。

カツカレー、730円。

このカレーは、ひとことで言うと、お母ちゃんの味だな。みじん切りにしてよく炒めた玉ねぎが、これでもかというくらい、大量に入っていて、これが味を決めている。玉ねぎは淡路産なのだそうだ。こだわっているんだな。けっこう強めの酸味があって、これは玉ねぎだけじゃなく、たぶん何か、果物が入っている。それに加えて、チーズの風味がコクを増している。

辛さは、この手のカレーとしては、けっこう辛めか。口の中がちょっと熱くなるくらい。トロっとはしているが、余分なコクや脂っこさなどはなく、食べ終わって腹にもたれることもない。お母ちゃんの味と書いたが、それはただ家で食べるカレーのような、どこにでもある味という意味ではなく、ハイカラ趣味のお母ちゃんが、きちんと手をかけ、愛情を込めた、やさしい味のカレー、という意味だ。

福神漬といっしょに、ウスターソースが出てくる。今日は初めてだったし、カレーの味が分からなくなると思って、ソースは使わなかったのだが、しかしこのカツカレー、カツがソースをかけられることを前提に、うす味になっていて、カレーだけだとちょっとイマイチだった。最後の一切れにソースをかけてみたら、ウスターソースのピリリとした味が、またこのカレーによく合う。次からはちゃんとソースを使うことにしよう。

おばちゃんが水を注ぎに来てくれたので、ちょっと話しかけたら、もう70くらいになるのかな、いい年なんだが、かわいいおばちゃんで、店の自慢を色々してくれて、なにしろこのテーブルが、43年前に開店したときから、今に至るまでそのまま使われているのだそうだ。たしかにこのテーブル、年季が入って、いい味が出てる。開店当初に作ったマッチ、いまだに配っているということで、僕にもひとつくれた。なんだか暖ったかい気持ちになって、店を出た。





喫茶チロル 喫茶店 / 二条城前駅二条駅大宮駅
昼総合点★★★★ 4.0