京都の中央卸売市場にも、うまい食堂があると以前聞いて、市場の食堂は昼までしかやっていないから、今日は朝めしを家で食べるのはやめて、午前中に朝昼として食べに行ったのだ。10時半頃だったから、市場はもう大方終わっていたが、早い時間に来たら活気があるのだろうな。
目当ては関連11号棟にある「石田食堂」、食堂といってもいわゆる定食とかはなく、基本はラーメン、それに焼飯とカレー。もう亡くなった先代の女将さんが、この場所で60年前に始めたとのことだが、その前は屋台で営業していたそうだ。60年と言ったら、京都でも長いほうに入るんじゃないか。
焼飯にするかカレーにするか、かなり迷ったが今日は焼飯。「焼半ラーメン」800円。焼飯もいかにも昔ながらという感じで、僕はとにかく、こういう昔ながらのものに弱いのだよな、青ネギとチャーシューだけのシンプルなものだが、味はきちんと付き、大変うまい。よく見ると紫色の小さいものや、オレンジ色の繊維状のものが入っていたから、何か隠し味があるのだな。
そしてラーメン。これはうまい。ほとんどすまし汁のような、透明なスープ。魚介だしの風味がぷんと香る。聞いたら、豚骨やら、カシワやら、鰹節やら、昆布やら、が入っているのだそうだ。材料としては、広島のラーメンと変わらないようだが、広島はもっとこってりと炊くから、ここのラーメンとはだいぶ違う。ラーメンというよりはうどんのだしに近いような感じで、魚介の風味が前面に出ているのだが、それを肉のだしが、後ろでしっかり支えているといった風情。高倉二条のラーメンと、考え方がちょっと似てるな。もしかしたら京都のラーメンの源流は、こういうものなのかもな。県外の人が、いわゆる「京都のラーメン」としてイメージするものとも、これは近い。
麺は普通の太さの、これもうどんに近い、ぷにっとした麺、それに薄味でぷりっとした、薄切りのチャーシューと、たっぷりの九条ねぎ。まさに市場のラーメンという感じの、シンプルな構成で、僕は完全にノックアウトされました。
石田食堂 (定食・食堂 / 丹波口)
★★★★★ 5.0