カレーうどんが食べたい、と思ったことは、今まで一度もないのだが、この店のカレーうどんがうまいというので、来てみることにしたのだ。住宅地の中の、小さなうどん屋。昼時だったせいか、ひっきりなしに客が入ってきて、店内は常に満員。それでも今日は、WBCをやっているので、客の入りは少ないのだそうだ。
カレーうどん600円と、ごはん、メニューには200円と書いてあったが、取られたのは130円。
この店、売りはボリュームなんだな。たっぷりの汁に、麺も多めなんじゃないかと思う。かしわが随分とたくさん入っていて、さらに小さなカツがふた切れ、乗っている。600円でこれなら大満足だ。カツ丼とかのどんぶり物も凄そうだな。
麺は細めで、讃岐うどんのようなコシはないが、こういうやわらかいタイプのうどんも、嫌いじゃないな。ただこのカレーうどんの汁や肉のボリュームには、ちょっと負けてるかなとは思った。
つゆは、そばつゆにカレーを混ぜ、片栗でとろみを付けた、という感じのもの。カレーは、流行りのインドカレーの味。スパイスの風味が前面に出たやつだ。
僕は今日、このカレーうどんを食べて思ったのだが、もしかしたら僕は、広島の辛み文化に付いていけてないんじゃないだろうか。つけ麺にしても、汁なし坦坦麺にしても、広島の人って辛いものが好きだよな。名物になる位だから。スパイスの風味が前面に出たインドカレーにしても、僕は流行りだと受け取っていたのだが、もしかしたらそれは、全国的に流行っているということではなく、広島という固有な場所でのみ流行っていると、そういう可能性もあるよな。
今思ったのだが、汁なし坦坦麺のあの辛み、唐辛子の辛みと、それから中国山椒の、舌がしびれるような辛みと、二つが混ぜ合わされているわけだが、広島の人は、「あの山椒の辛みがおいしいんだよね」、みたいなことを言ったりする。僕はあの山椒の辛みは、変わってるな、とか、本格的だな、とは思うが、特別おいしいとは思わないのだ。
カレーの辛みも、これと同じことなのかも知れないよな。カレーにも、唐辛子の辛みと、それからスパイスの辛み、これって唐辛子もスパイスだから、ホントはおかしいのだけど、何という名前かわからないから、そう呼ぶのだが、その二種類が混ぜ合わされている。このスパイスの辛み、そうそう、中国山椒の辛みと似てるよな、なんとなく。広島の人は、これが好き、ということなんだ。わかったな。なんかすっきりした。
ということで、このカレーうどんの味、僕自身の感想としては、普通、なのだが、広島の人にとっては、ツボを突かれる味、なんじゃないかと思う。
一力庵 (イチリキアン) (定食・食堂 / 古江)
★★★★☆ 4.0