2008-04-07

回し鮨 若貴 蒲田西口店

仕事というものはもちろん、与えられるものである。その与えられた仕事を、しかし誠心誠意務めようとする時に、一つの世界がつくりだされていく。自分と社会、および一緒に仕事をする仲間達、その間に一つの秩序だった流れが生み出されていく。

繁盛している店には常に、そういう流れのようなもの、活気のある雰囲気、というようなものが感じられる。働いている人間は、ごくごく普通のおじちゃんおばちゃん、兄ちゃん姉ちゃんだ。仕事が終わったらグレーのジャンパーを羽織り、競馬新聞を片手に焼き鳥屋に向かうような、またスーパーのレジ袋を片手に家路に向かうような、そんなありふれた人間の集合体。それが客を思いやり、仲間を思いやり、注文を記憶し、利益に思いを馳せ、ということの中で、日々新しい発見をしていく。

そういう場の中に身を置いた時、人間は居心地の良さを感じるのだろう。それが店が繁盛するということであるように思う。

寿司は日本を代表する食文化だ。もともと屋台が起源であるそうだが、寿司職人というもの、ただ調理師であるというだけではない。客の注文を聞き、料理をテーブルに運ぶウェイターでもあるし、また客の話し相手をするバーテンダーでもある。人間が物を食べ、楽しい時間を過ごすということに関する全てを、寿司屋においては寿司職人が司るのである。これは世界であまり類を見ないことなのではないかと想像する。

客と寿司職人の間には、メニューというものは基本的に存在しない。客は寿司職人から直接、お薦めのネタを聞き、また職人も客の顔を見ながら、好みを計る。そして両者の共同活動、コミュニケーションの結果として、寿司が握られていく。寿司を食べるということは、極上のエンターテイメントでもあるのである。


回し寿司 若貴 蒲田西口店

回し鮨 若貴は回転寿司屋だから、もちろんレベルは極上とまではいかない。しかし1500円で生ビール一杯、そこそこ不味くない寿司を腹一杯、それに味噌汁は、いかにも安い。午後2時から6時と9時から閉店までは、同じ値段で大トロも食べられる。行列ができるはずである。

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