2012-02-14

赤だし味噌の和風だし。
「モツ鍋」


「踊る大捜査線」の新作が、今年の9月に公開され、それにあわせてフルキャストが出演するテレビ番組も放送されるのだそうだ。

またフジテレビは、テレビで賑々しく宣伝し、観客動員へつなげようという魂胆だろう。

宣伝に乗せられるのは、あまり本意ではないし、実際たいして内容に期待しているわけでもないのだが、僕はこの「踊る大捜査線 THE FINAL」、見てしまうのは間違いない。



これまで踊る大捜査線の映画はすべて見て、テレビ番組もほぼ見ている。

とくに一番はじめのテレビシリーズは、全11話をビデオで3回見て、3回とも終盤に号泣した。

映画も、1作目と2作目は、それなりに良かった。

3作目は、たいして面白くはなかったが、見てよかったとは思った。

これから踊る大捜査線が、フーテンの寅さんのように限りなく連作されることがあったとしても、僕はすべて見るのじゃないかと思う。



踊る大捜査線の、何がそんなに良かったのかといえば、一つには、踊る大捜査線がスタートしたころの自分の年齢が、登場人物たちと重なることだったのだと思う。

当時僕は35歳。組織の一員として働きはじめて10数年がたち、組織の矛盾や冷たさに気付きはじめる年頃だ。

踊る大捜査線は、その最大の特徴として、刑事ドラマとしては珍しく、警察機構を会社組織に例えている。

それまでの刑事ドラマで、熱血刑事が拳銃をバンバン撃ちかますのとはまったく異なり、刑事たちはサラリーマンのように、上司に命令されて嫌々動き、普段は拳銃も持たせてもらえない。

そんな境遇にありながら、織田裕二扮する青島刑事は、昔の刑事ドラマに憧れて警官となり、熱血捜査をしようとする。

青島刑事が組織とぶつかりながら繰り広げる、その悪戦苦闘ぶりに、まさに同じような境遇にある自分を重ね、感動したというわけなのだ。



組織を官僚的で、硬直したものと捉える視点は、べつに今に始まったことではない。

青島刑事が叫んだ有名なセリフ、

「事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだ」

は、その内容だけとらえれば、それまでのすべての刑事ドラマのメインテーマだったといっていいだろう。

古典的刑事ドラマの代表「太陽にほえろ!」では、平田昭彦扮する警察署長は、石原裕次郎扮するボスを何かと冷たい目で見て、傍観者的に口を出す、典型的な官僚として描かれていた。

しかし青島刑事の上のセリフが新しかったのは、青島刑事はこれを、柳葉敏郎扮する警察庁のキャリア、室井管理官にたいして叫んでいたことだ。

現場の叩き上げである青島刑事と、官僚組織の一員である室井管理官のあいだに「友情」が結ばれることが、踊る大捜査線のキモだったと言っていいだろう。



踊る大捜査線は、「組織は変えられる」という夢をもっていた。

踊る大捜査線の最後で、警察庁の階段を降りていく青島刑事が、階段を登っていく室井管理官に、

「オレは現場でがんばるから、室井さんは組織を変えてくれ」

と呼びかけるシーンがある。

太陽にほえろ!では、組織は変えるものではなく、あくまで現場の邪魔をする、敵対した存在だった。

ボスの庇護のもとにある捜査第一係だけで、世界は完結していた。

しかし太陽にほえろ!のころとは時代は変わり、会社はより組織化され、社員は以前にも増して厳しく評価され、管理されていくようになる。

ボスのような男気のある「現場の指揮官」が、会社の中間管理職でいられる時代は、もうとうに終わってしまっている。

そこで提出された、「新たな上司像」が、踊る大捜査線の室井管理官だったということなのだろう。

青島刑事は、室井管理官との友情を信じることにより、組織の末端で仕事をする自分の未来を、信じることができたのだ。



しかし時代は、それからさらに悪化しているといえるだろう。

悪くなる一方の経済情勢のなか、疲弊した企業は保守性をつよめ、大規模なリストラが行われるようになった。

原発事故をきっかけとして、日本の中枢が、自分たちの責任をのがれ、自分の立場を守ることしか考えていないことが、白日のもとにさらされている。

そんな時代に、会社に、そして日本に、夢を持つことはできるのか。

組織は変えられるのか。

踊る大捜査線に熱狂した経験をもつ僕などは、踊る大捜査線が、今の時代に、その問いにどう答えるのかに興味がある。

一昨年に公開された第3作は、その辺のことは曖昧になってしまい、小栗旬演じる新人刑事の活躍に焦点が移ってしまっているようで、何やらどうも、よくわからないものとなっていた。

次回作も、たいして期待できないとは思うけれど、やはり一応、見届けなくてはいけないという気がしている。



昨日はモツ鍋を食べた。

近くの肉屋で、「こてっちゃん」と名前の付いた白モツが、100グラム198円という、わりと安い値段で売られている。

モツ鍋は、味付けをどうするかが、考えどころだろう。

日本風の醤油味、味噌味もあるし、韓国風の辛い味付けにする手もある。

いろいろ考えた結果、昨日は赤だし味噌で味をつけてみた。



昆布と削りぶしで取っただしに、酒とみりんを少々、それに塩気がちょうど良くなるまで、赤だし味噌を溶かし込む。

ここにさらに、ニンニクとショウガ1かけ分くらいを、うす切りにして入れる。

以上で味付けは終了。



材料は、こてっちゃんに白菜、シイタケと油あげ、長ねぎと、それにニラ。

モツ鍋には、キャベツを入れるのが定番だけれども、鍋で煮込むには、キャベツより白菜のほうがうまいと、僕は思う。



まずモツだけ10分くらい煮て、それから白菜、シイタケ、油揚げ。白菜やシイタケがやわらかくなったら、長ねぎとニラを入れてひと煮する。



一味唐辛子をたっぷりふって食べる。

赤だし味噌には、七味より一味のほうが合う。

これは、赤だし味噌の本場名古屋の人も、やはりそうだと言っていた。

赤だし味噌の味がしみた白モツは、やわらかくて大変うまい。



うどんが合うのは、もちろん言うまでもない。

これは後からシメにしてもいいが、何ならいっしょに入れて、味噌煮込みうどんにしてもうまいと思う。