2012-01-18

トロトロぶりと、シャキシャキ水菜のコントラストがたまらない。
「ぶりと水菜のはりはり鍋」


鯛とかブリとか、魚屋は「天然モノと養殖モノはまったく違う」と言うわけだけれども、それは違うに決まっている。

でも値段も違うわけだから、こちらとしては、「たまには天然モノも食べてみたいな」とは思いつつ、養殖モノを買うことになるわけですよね。

養殖モノだって、それなりに楽しむことはできるし、だいいち今は、ブリが旬の真っ盛りだから、うまいといったらありゃしない。

高くてうまいのは、当たり前だけれど、安くてうまいものを、どう食べられるかを考えることが、日常の食事のおもしろさというものでしょう。



しかもこっちは、養殖のブリにしたって、ただでは買わない。

まずスーパーが、「広告の品」として、特売になる時をねらう。

さらにその中でも、「あら」を買うと、激安でありながらうまい、ということになるわけなんですよね。



魚のあらは、「気持ち悪い」などと嫌う人も少なくないけれど、こんなにうまいものはない。

どういう理屈か分からないけれど、切り身の部分より、よっぽど脂が乗っている。

骨があるから、食べにくいのが、難点といえば難点だけれど、酒を飲みながら、骨をチュウチュウ吸い、へばり付いている肉片をきれいに食べ尽くすというのは、なかなか乙なものです。



スーパーでも魚屋でも、あらをどう扱っているかを見ることで、魚屋の魚に対する愛情が、分かるようなところがある。

ほんとに魚を愛している魚屋は、「あらが一番おいしいのだから、ぜひ食べてほしい」と思っているんですよね。

だからかならず、ただあらの部分だけじゃなく、身のところも少し入れて、その商品が、単体でおいしく食べられるように気を遣っている。

しかも値段は、切り身よりだいぶ下げてくるのだから、やはりその気持ちを、受け取らないわけにはいかないでしょう。



昨日もスーパーで、ブリのあらを買い、それで鍋をすることにしました。

ブリの鍋といえば、何といっても、水菜を入れるのがおいしいんですよね。

これは「はりはり鍋」と言われたりする。

はりはり鍋は、もともとは鯨肉で作られていたのだけれど、鯨が捕れなくなり、ブリやら豚肉やらで代用されるようになったと聞きます。

トロトロの脂の乗った肉と、シャキシャキとした水菜の歯ざわりの対照が、何ともたまらない、という企画です。



ブリには多少の臭みがあるから、これを鍋に入れようとする場合には、ちょっとした下準備が必要となります。

まず食べやすい大きさに切って、塩をふる。

これで30分以上、何なら一晩おいてもいい。

塩をふり1日から2日おいたブリは、「塩ブリ」といわれる、また別の、おいしい食べ物になったりするわけです。



次にこれを、湯通しする。

給湯器の温度が90度くらいあるのなら、それを直接使うの十分です。

熱湯のなかでシャブシャブしたら、その湯は捨て、さらに水でよく洗っておく。

血のかたまりとか、ぬめりとか、そういうものが臭みの原因となるので、よく落とす。

ここまでやれば、完璧です。



ぶりといっしょに入れる材料は、まず言うまでもなく水菜。

あとは油揚げとシメジを加えてみましたが、この取り合せは非常によかったです。



鍋の味付けをどうするかというのが、考えどころとなるわけですよね。

ブリはこってりとした味付けもよく合うから、味噌仕立てもいいし、お吸い物的な薄口の味付けにするのもよい。

でも昨日は、水炊きにして、ポン酢で食べることにしました。



鍋に昆布をしき、水を張り、酒をドバドバと入れて、材料を食べる分だけ入れていく。

この「食べる分」ですが、ブリの場合、カキなどとは違って、少しくらい湯の中に入れておいても、それほど味が変わることがない。

それに水菜も意外に熱に強くて、ほうれん草などと違い、火を落としに落とし、沸騰させないようにしておけば、シャキシャキ感はそれほど失われることもない。

だから、ある程度多めに入れてしまっても、けっこうだいじょうぶです。



ポン酢には、大根おろしをたっぷり入れ、一味唐辛子をふる。

このポン酢ですが、店で売ってるのを買ってきても、もちろんいいわけですが、自分で作るのも悪くありません。

醤油に、柑橘系の酢を、何でもいいから入れればいいのだから、簡単です。

昨日は、ポッカレモン100を入れました。

レモンももちろん、生のレモンとか、また柚子とかスダチとかを入れれば、さらにおいしいのは、言うまでもありません。

醤油に酢だけだと、ちょっと味がとがってしまう所があるので、みりんを少し入れると、まろやかになります。



残り汁も、もちろん利用する。

塩と醤油で味付けし、うどんを煮てみましたが、大変いいですね。