2012-01-03

「京都風お雑煮」
「堀川ゴボウの炊いたん」


今年のお正月料理、あと作ってみたのは、京都風のお雑煮。

京都のお雑煮が、白味噌だというのは聞いていましたが、実際に食べたことはなかったんですね。

八百屋の若旦那に聞いたら、入れるのは、まず頭芋。これは写真中央の、巨大な里芋です。それから小芋。これは小さな里芋。それに祝大根。頭芋の上に乗っけてあります。

祝大根は、小さな大根のことで、正月にしか売っていません。たぶん正月のお雑煮に入れるためだけの大根なんじゃないでしょうか。

「お金」を意味するとのことで、縁起がいいのだそうです。

これを、八百屋の若旦那によれば、「透けるくらい」に薄く切ります。

昆布とかつお節のだしに白味噌を溶かし、祝大根をいれ温めて火を通したら、下ゆでした頭芋と小芋をいれたお椀に、その汁を大根ごと注ぐ。それで出来あがりです。



まずお餅を入れないのかと、不思議になるでしょう。きいたら、まず頭芋を食べ、その後に、お餅を入れるのだとか。お餅は焼くのと茹でるのが、人によって半々くらいだろうと、八百屋の若旦那は言っていましたが、白味噌の汁で煮てしまうことはないそうです。

それから「金時人参」という、オレンジじゃなく、紅色のニンジンも、京都のお雑煮に欠かせないものかと思っていたら、

「彩りで入れる人もいるけれど、別に入れなくてもいい」

とのこと。あくまで頭芋、小芋、そして祝大根が、京都のお雑煮には欠かせないものだということでした。



肝心のお味ですが、これがうまかった。

京都風のお雑煮はもちろん、白味噌の汁自体、初めての経験だったんですが、まずこれがうまい。

ひと言でたとえるなら、「クリームスープ」の味。

スープ皿に入れて出したら、まちがえる人もいるのじゃないかと思うほど。

このまろやかでクリーミーな汁に、ねっとりと柔らかくて甘い、頭芋と小芋が、またなんとも、いい。

いかにも上品な、上流階級の味、という感じでした。



京都はじつは、パン屋が日本で一番多いのだそうです。

京都といえば、和食のイメージなのに、それがパンとは、どういうことなのか、よくわからないところがあったのですが、このクリームスープの味がするお雑煮を食べて、はじめて納得がいきました。

京都はもともと、洋食みたいな、甘く、まろやかな味が、伝統的に好まれていたということなんですね。



しかし日本食というのは、すごいですよね。

クリームスープを作るために、玉ネギやら小麦粉やらを炒めたり、ブイヨンをとったり、自分でやろうとすると、ものすごい手間がかかります。

でも日本食なら、ひょいひょいとだしを取り、味噌を溶かして出来あがってしまうわけですからね。



京都の正月料理、あとは「堀川ゴボウの炊いたん」も作りました。


堀川ゴボウは、極太のゴボウのことで、これも八百屋さんにはお正月だけ、出てきます。

いったん育った普通のゴボウを、翌年また植えなおして、2年越しで育てるのだとか。

太閤秀吉の聚楽第が、秀吉亡き後、京都住民のゴミ捨て場となっていたそうです。そこに捨てられたゴボウが、年を越えて極太に育っているのを見て、それから京都では、ゴボウを2年越しで育てるようになったとのこと。

三条会商店街の八百屋で売っているものは、比較的細めのものなので、このまま炊いてしまったほうがいいと、八百屋が教えてくれましたが、堀川ゴボウには、大人の腕ほどもある、さらに極太のものもあります。その場合には、中が空洞になっているので、そこに鶏のすり身などを入れたりもするようです。

堀川ゴボウは、皮をむかず、たわしで洗います。

太い輪切りにする。


まず下ゆでしてから、だしに砂糖、みりん、酒、醤油で味付けし、わりとこってり炊き上げます。

味はゴボウとまったくおなじなのですが、やわらかいので、味がよくしみ、大変うまいです。