2011-11-16

檀一雄思い出の、アメリカの味。
檀流クッキング「クラムチャウダー」


檀一雄はニューヨークへ行き、ふところが寂しくなると、バカの一つおぼえのように中央停車場にかけ込んで、地下街の店でクラムチャウダーをすすったという。

寒い冬の日。ビルの谷間を、からっ風が吹き抜ける。温かいクラムチャウダーにうかぶクラッカーをスプーンですくい取りながら、旅の孤独をしみじみと感じる。

そんな思い出があるから、寒くなると、檀は週に一度はクラムチャウダーを作ったのだそうだ。お子さんたちは、檀の作るさまざまな料理の中でも、このクラムチャウダーが一番のお気に入りだったとのこと。

それだけ思い入れのある料理だからだろう、檀は「檀流クッキング」だけでなく、「わが百味真髄」にも、クラムチャウダーの作り方を書いている。檀流と百味真髄とで、作り方は微妙に異なるが、玉ねぎと小麦粉をていねいに炒めるところからはじめるのは、変わらない。




コップ2~3杯の水を沸騰させ、アサリ1パックを煮る。アサリの口が開いたらすぐに火を止め、殻から身を取出して、殻は捨て、身は別の皿に取り分けておく。アサリの身は好みで、小さく刻んでもよい。




サイの目に切ったジャガイモ1個を、4~5分茹で、ザルに上げておく。




熱湯で湯通ししたベーコン2~3枚、みじん切りにした、玉ねぎ2分の1とニンニク1かけ、パセリ1茎を、バターでていねいに炒め、玉ねぎが透き通ったら、小麦粉大さじ2杯を加え、さらにしばらく炒めていく。




アサリの出汁を、沈んでいる砂を入れないよう気をつけながら入れていき、ダマを作らぬよう、ていねいに混ぜる。




ルーの出来あがり。




ルーを手鍋に移し、アサリの煮汁の半量程度の牛乳を、よくまぜ合わせながら加えていく。塩加減をし、トマトピューレで匂いと酸味を足す。アサリの身とジャガイモを入れ、好みでタイムの粉末少々や、細かく薄切りしたセロリを入れれば出来あがり。




クラッカーをちらして食べる。

アサリにジャガイモ、ベーコンに牛乳。手近で安い材料で、これだけのごちそうが出来あがる。

アメリカの庶民の味だ。




クラムチャウダーには、やっぱりサラダ。塩と、ワインビネガーかレモン汁、それにオリーブオイルをかける。