2011-10-27
鯛の出汁を味わいながら、チビチビとやる日本酒。「鯛のあら鍋」
鯛は「魚の王様」というくらいで、お造りよし、煮てよし、焼いてよし、どうやって食べてもうまいのに、最近は養殖ものがあるから、値段も安い。さらにアラになると、けっこうな量が、200~300円で買えるから、庶民には、まったくうれしい限りだ。
鯛のアラは、やはり何といっても出汁がうまいから、これを存分に味わいたい。チリ鍋もいいのだが、チリ鍋にしてしまうと、煮汁に味がついていないから、鯛の出汁を味わう機会が、最後の雑炊まで、おあずけになってしまう。
しかし醤油と塩で味をつけ、「潮汁」のようにすれば、はじめから鯛の出汁を味わいながら、食べ進むことができる。汁をすすりながら、日本酒をチビチビやるというのは、またなんともいいものだ。
魚のアラを使うとき、とにかく大事なのは、下処理だ。基本は、「まず塩をふって、それから湯通し」。湯通しだけだと、鯛の場合、どうしても臭みが出やすい。
アラの表裏に塩をふったら、最低でもそのまま10分くらいおく。べつに長くおいてはいけないこともないから、アラを買ってきたら、すぐ塩をふり、料理をはじめるまで、そのまま何時間でも、冷蔵庫にいれておいたらよい。
次に湯通し。湯を沸騰させ、火をとめてから、アラをいれ、ちょっと「しゃぶしゃぶ」とやって、湯を捨てる。給湯器の温度が80度くらいあるならば、それをそのまま使うので問題ない。
湯通ししたら水で冷やし。ていねいに洗う。アラについている「ぬめり」だとか、「血のかたまり」だとかを、できる限りきれいに落とす。ウロコは魚屋で、ひと通り落としてくれているものだけれど、まだ残っている場合がある。それもひとつ残らず、取り除いておく。
以上の下処理を、きちんとやりさえすれば、死ぬかとおもうようなおいしい鯛の出汁を、味わえることになるわけだ。
ていねいにやるならば、まず鯛を煮て、鯛が煮えたら野菜をいれてとするのだが、こうして鍋に材料をすべていれ、あとは卓上でいっしょに煮てしまっても、それほど悪いことはない。
野菜は何でも、好きなものを使えばいいが、やはり豆腐と長ネギは、欠かしたくないところだ。
鍋に水を張り、酒をドバドバといれる。そこに出汁昆布をいれ、火にかける。出汁昆布は沸きたつ前に、取りだしておく。
出てくるアクをすくいとったら、味付けをする。塩と淡口醤油(なければふつうの醤油)のみ。鍋はあとから煮詰まっていくから、味が足りないくらいの加減にしておくと、あとでちょうどよくなる。
10分ほども煮たら、火を落とす。あとはときどき火をつけ、温めながら食べていると、出汁もさらにでてくることになる。
鯛のアラをつつき、汁をすすりながらのむ日本酒。これは、ほんとに、たまらん。
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鍋を食べおわったら、残り汁をどうやって味わうかが問題となる。雑炊にするのも、悪いことはないのだけれど、色のついた汁で雑炊をたくと、あまりきれいに見えないのが欠点だ。
そういうときには、うどんにする。このうどんが、「死ぬしかない」ほどうまいのは、言うまでもないことだ。
昨日は、三条会商店街の公園の前に、上賀茂の農家のおばちゃんが、久しぶりに店を出していたので、水菜の漬物を買った。
このおばちゃんが、またいいひとで、売ってるものを、何か買わずにはいられなくなる。
11月になると、おばちゃんはまた、「すぐき」を漬けはじめる。それを、街で売っているものの、3分の1ほどの値段で買えることになる。
これがまた、たのしみだ。
昨日の昼は、鶏のおじや。
これは作るのは簡単なのだが、たいへんうまい。
研いだ米を、米の5倍量の水に、昆布といっしょにひたしておく。
うす切りにした玉ねぎと、ぶつ切りの鶏もも肉をいれ、火にかける。煮立つ前に、昆布は取りだす。
かるくアクをとり、弱火でコトコト煮る。塩だけで味をつける。
10分から15分くらいたち、汁気と米の割合が、好みの加減になったところで、火をとめる。
昨日は、冷蔵庫にあまっていた三つ葉をいれたが、青ねぎを振ってもいいし、とくに何もいれなくてもいい。
ただかならず、コショウは振る。
鯛のアラ鍋をつくっている最中に、カセットコンロのボンベがなくなった。ちゃんと買い置きしておけばいいのに、何でもすぐ忘れる性格なのだ。
まだボンベには、「ギリギリ足りるかも」とおもえる量が残っていたから、横着して買いにいかず、鍋をスタートしてしまったのだが、「あとちょっと煮れば」という時点で、ガスが切れてしまった。
仕方がないから、それからスーパーまで、てくてく歩いてボンベを買いに向かったが、うまそうな鍋を目の前にしながら、おあずけをくらって歩く道中、夜の寒さが身にしみた。