2011-08-17

五山送り火に京都の風情を知る

京都に住んで1年半ほどになるんだが、やはりすごいと思うのは、その「歴史と伝統を守ろうとする姿勢」なのだよな。

まあもちろん、京都には寺社仏閣が山ほどあり、それらがきちんと保存されているということは、誰もが知ってる言うまでもないことなんだが、それは全国どこへ行ったって、歴史的名所は保存されているのであって、京都はただその数が多いということだから、それほどどうということでもない。でも歴史を守ろうとする姿勢というのは、「新しいものを拒否する姿勢」と裏腹であり、日常生活の中でちょこちょこと、ああ、この人たちは新しいものが嫌いなんだなと感じさせられるところがあったりするのが面白い。

まず目につくのが、ってそれは僕がスケベおやじだからかもしれないが、街を歩いている女の子の格好が、とても地味なのだ。これは東京や大阪などと比べるとものすごくはっきり違う。

東京などへ行くと、僕などは若い女の子の格好がエロいのに、目を奪われてしまうわけだ。夏など新宿を歩いていると、「どこのビーチか」と思うような女の子が山ほどいる。

また東京は、必ずしも若い女の子の最先端のファッションに限らず、もっと落ち着いた大人の女性でも、「エロ」をファッションに取り入れていると思うのだよな。例えば膝上くらいの細めのシルエットの紺色のスカート、これはよくOLが会社に履いて行ったりするやつだが、そのスカートの裾の部分が、レースになっていたりする。レースってのは、基本的に下着をイメージさせるものだから、普通の保守的なスカートにレースを合わせるというのは、微妙にエロさをかもし出しているということだ。

大阪にも、時々行くと、エロい女の子は山ほど見る。京都から、すぐ隣りの大阪府高槻市へ行くと、すでにエロ度はぐんとアップする。

ところが京都では、エロい格好をした女の子はほとんど見ないのだ。一人も見ないと言ってもいい。エロいのはまず水商売の女の子。あとは時たま、気が狂ったかというような女の子がエロい格好をしているくらいで、他にはエロい子はまず見ない。

べつに京都が田舎だから、エロい子がいないということではないと思うのだよな。京都よりはよっぽど小さな街である高槻にだって、エロい子は山ほどいるのだから。だいたい田舎ほど、ファッションが無秩序に最先端になったりするものだ。京都では女の子が、「安易に最先端のファッションを身に付けない」ということを、厳しく肝に銘じているとしか思えない。

祇園祭の宵山の時も、やはり京都は保守的だと思った。

宵山というのは謂わば、大規模な歩行者天国で、市内の広大な地域が車両通行止めになり、そこに屋台や夜店が立ち並ぶことになる。東京にいて、歩行者天国というとすぐに思い浮かぶのは、「路上パフォーマンス」なのだよな、僕の場合。古くは原宿の歩行者天国で竹の子族が踊りまくったり、最近では秋葉原の歩行者天国が、様々な路上パフォーマンスが賑やかに自分の芸を披露することで有名だ。AKB48だって、元々は秋葉原の歩行者天国で路上パフォーマンスをして売り出したわけだよな。

ところが祇園祭宵山の歩行者天国では、路上パフォーマンスをついぞ見かけない。ほんとうに、一つもないのだ。いや、一つくらい、しょぼい二人組の男性が、変わった音楽を地味に披露していた。それ以外は路上パフォーマンスは全くなし。これがどうしてなのか、不思議なのだよな、僕は。

いちおうは一組は、音楽を披露している若者がいたわけだから、路上パフォーマンス自体が禁止されているということではないのじゃないかと思うのだが、とにかく誰もやらない。これも、なんらかの外的なのか、自主的なのか、よくはわからないが、規制が働いているということなのだと思うのだよな。

五山の送り火というのも京都の保守性を表す上で非常に興味深くて、いや、その五山送り火自体が興味深いというよりも、京都の夏の夜空を彩るイベントが、五山送り火しかないということが面白い。

京都市には、花火大会がないのだ。これはネットで調べたから間違いない。京都の近郊都市には、いくらでも花火大会はあるのだが、京都市内で行われるものは一つもない。これはすごいよな。要は「京都には五山送り火があるのだから、花火大会などいらない」ということなのだろう。花火大会をやろうと言い出す人は、これまで誰もいなかったのか。それともいたけれども潰されてきたのか。そのあたりの事情はまったく知らないが、とにかく京都市では、花火大会は一切やらずに今日まで来ているということなのだ。


というわけで昨日は五山の送り火だった。五山の送り火をめぐっては、陸前高田市から送られた護摩木を放射能に汚染されているからという理由で燃やさないことになり、全国的にひんしゅくを浴びた京都市だったが、送り火自体は例年通り、粛々と行われた。

五山送り火というのは、京都市を囲む5つの山で送り火を燃やすということで、近くで見ようと思ったら、その五山のどれかを選ばないといけない。それも考えなくはなかったけれど、家の近くにある11階建ての公団のマンションが屋上を開放していて、そこからちょっと遠くはなるけれど、五山すべての送り火が見えるようになっているので、去年に続いて今年も、そこから送り火を拝観することにした。

大文字。

妙法。

船。

左大文字。

鳥居。

はるか向こうの山々に、花火のような派手なことは一切無く、静かに燃えて、そのまま消えて行く送り火。さすがにこれは、京都の風情というもんですな。


昨日の昼めしはソーミンチャンプルー。冷蔵庫に余ってる長ネギを入れてみた。

ソーミンチャンプルーはニラを入れるのが基本なのだが、長ネギもなかなかうまい。キャベツだけというのはイマイチ、それでもやしは最悪。やはり香味野菜を入れるのがいいな。


晩めしは鶏のうどんすき。これは手軽でほんとにうまいす。

シイタケを見切り品で買ってきたので、大量に入れたった。