2011-08-15

あら大根でギャフンと言わせろ

昨日は家でラーメンが作れることがわかって、僕はあまりの感動に、食い終わってすぐにブログをアップしたほどだったわけだが、しかしこれってすごくないか。僕はラーメンというものは、ちゃんと作るには遙か敷居の高いもので、家で手軽に作ろうと思ったらインスタントや生ラーメンを使わなきゃいけないと思い込んでいたわけなのだが、そんなこと全くなかったのだよな。

あともう一つ僕が信じていたのが、 「ラーメンは化学調味料の味だ」というのがあるんだが、それもまったくそんなことはなかった。昨日作ったあのラーメン、きちんとラーメンの味がするのだ。だからラーメンに化学調味料を使うというのは、やはり経費節減のためだということなんだな。

しかしこれは人生変わるなあ。って大げさだが、絶対無理だと思ってたことが、驚くほど簡単だったってのは、やっぱり一つの事件だろう。8月14日はラーメン記念日、とでもしておきたい気分だ。

肉のだしってのは、日本料理の伝統にあまりないから、なかなか馴染みがないわけだが、馴染みがないのはただ歴史的な理由ばかりじゃなく、日本人の料理スタイルとも関係あると思うんだよな。

日本人は料理を作ろうとする場合、どんなに早くたって、準備を始めるのは当日の朝からだろう。大家族の主婦だって、お節とかのごちそう料理は別として、その日の料理を前日から支度するってことはまずしないんじゃないか。

ところが韓国とか台湾は、するんだよな。僕は韓国や台湾にホームステイしたことがあって、そしたらやはり、だしだけは前日に仕込んでおくのだ。韓国でも台湾でも、だしには肉を使うから、それをちゃんと出すためには何時間もかかる。だから当日に仕込んでたんじゃ、間に合わないってことなんだよな。

でも日本人の場合は前日から料理の仕込みをするなんてのはちょっと考えられないことだから、それで肉のだしが普及しないってこともあるんじゃないかと僕はにらんでいる。

しかし昨日のラーメン、だし取り時間10分。くず肉を使うからそれで済むわけだが、いやそれがけっこううまいんだよ。もちろんちゃんとしたラーメン屋にはかなわないが、すくなくとも「あー、うまい」と思うくらいの味にはなる。うちの近くに最悪にまずいラーメン屋があるんだが、そこよりはよっぽどうまい。

だしっていうのは、考えると楽しいんだよな。なんだかまた色々考えられそうな気がするな。



晩めしは、スーパーにかんぱちのアラが150円で出てたから、それを大根と一緒に炊いた。

アラっていうのはほんとに庶民の味方だな。もしかしたらアラのことを「どうせ捨てる場所だ」と馬鹿にしている人もいるかもしれないが、ちっちっち、ほんとにうまいんだよ。切り身の部分より骨に近いから脂がのっていて、炊いて食べる分にはアラの方が全然うまい。脂っこすぎるから、刺身にはならない、ってだけの話なんだよな。

それにああいう人が捨てる部分を拾って、それをびっくりするくらいおいしく食ってざまあみろと思うというのは、料理をする上でかなり大きな楽しみだろうと僕は思う。



アラの炊き方は何度も書いてるが、ポイントはまず第一にアラをきちんと湯通しし、そのあとていねいに水で洗って血の塊やぬめりを落とすという、下処理をちゃんとすること。アラは臭みが出やすいから、その対策が必要なのだ。炊いてる時に出てくるアクをまめに取ることも同様。

それから次に、日本酒をできるだけたっぷり入れること。酒は高いからこれはコストとの兼ね合いになるのだが、水は一切入れずに、全部日本酒でもいいくらいなのだ。僕は半分近くは入れるようにしている。カップ一杯の日本酒を入れたって、100円にもならないわけだから、アラの値段が安いことを考えれば、べつに構わないわけだよな。日本酒を入れるのも、アラの臭みを取るためと、あと日本酒のうまみ成分によって、アラのうまみが溶け出してしまわずに、ふっくらジューシーに炊き上げる効果がある。

あとは火を、できるだけ小さくして炊くこと。生の大根をいっしょに入れて、大根がやわらかくなるまで1時間くらい炊くわけなのだが、火を強くしてしまうと、アラがパサパサになってしまう。そうじゃなく沸騰するかしないかのギリギリのあたり、そうすると湯の温度が80度くらいになるそうなのだが、そのくらいの低い温度で火を通すことによって、魚のタンパク質が壊れてしまわず、プリプリふっくらとしたまま炊き上がるという企画なのだ。



調味料は酒の他には砂糖にみりんとしょうゆ。ショウガとか一切入れなくても、ちゃんと下処理して酒をたっぷり入れれば、臭みは全くないからだいじょうぶ。

火を止めたらかならず、すぐに食べてしまわないで、しばらくそのまま置いて冷ますようにする。そうするとその間に大根に味がしみるのだ。

素麺をいっしょに添えて食うと、魚のうまいだしを吸い込んでくれて、これがまたうまい。好みで七味とか青ネギとかをふる。