2011-05-21

ブラッサリー・アブサン

今回の旅では、原子力情報資料室へ行ったことのほかに、色々なひとと会い、自分がやろうとしていることを話すということをしている。おもに旧交を温めなおしているのだけれど、まったく初めて出会うひとと、けっこうな話をするということになったりすることもあっておもしろい。

きのうは名古屋にいた頃、自宅のリビングのように活用していた久屋大通にあるビストロ、「ブラッサリー・アブサン」へ行ってきた。ここを僕は、ことのほか気に入って、たくさんのひとたちとの出会いがあり、それは名古屋から引っ越して3年たったいまでも続いている。

ここから50メートルほどの場所に住んでいて、毎日朝と晩、前を通っていた僕だったのだけれど、じっさいに店に行ってみるようになるまでには2ヶ月以上がかかった。僕はそれほど物怖じしないほうだけれど、ここは外から見ても、中がどうなっているのかわからず、ひとりで入る勇気がなかったのだ。いちど友人といっしょに行って、中にはカウンター席もあることがわかり、それからはひとりで行くようになった。

繁華街の中心地からちょっと離れてもいるし、そうやって敷居がちょっと高い店だから、逆にそこへひとりで来るお客さんは、個性がつよく、おもしろいひとが多い。マスターやバーテンも、ひとりのお客さん同士がうまいこと知り合いになれるよう、色々気を配ってくれる。僕もアクがつよい性格だから、場合によっては、ひとりでしゃべり続けてしまって場の雰囲気を壊してしまうことがあるのだけれど、この店にひとりで来るようなひとは、そういう心配をする必要があまりなく、僕よりもっとしゃべるひとも数多い。

だいたい「ワンプレートディッシュ」というのを頼んで、それをちびちび食べながら、スコッチの水割りをのむのだけれど、きのうもそうしてひとりでのんでいたら、30歳くらいの女性が隣にすわって、けっこうたくさん話をした。

結婚したいとおもっているのだけれど、どうやって相手を見つけたらいいのかよくわからず、親がもってくる見合いの話も残念なものばかり、結婚相談所に入会してみたが、それも自分には合わないと、すぐにやめてしまったとのこと。気付くと「おひとりさまの生き方」みたいな本を読んでしまっているのだそうだ。

国家公務員だと言っていたが、勉強が好きで、できそうなタイプに見えたから、とりあえず「結婚の傾向と対策」みたいな本を買って、それを勉強してみたらどうだとアドバイスしてみた。僕の知人でも、やはりものすごく勉強ができる女性が、そういうやり方でいい伴侶をみつけたのを見たことがある。結婚は、恋愛とはやはりちょっとべつで、どちらかというと就職に近い面があるのじゃないかと思うから、勉強が好きなひとならば、そういうやり方をするのも悪くないのじゃないかと思うのだがな。まあしかし、結婚に失敗した僕の言うことだから、あまりアテにならないことは言うまでもないのだが。

そのあとは高岳にある「ジャングルジャップ」という、「アブサン」のマスターが35年前からやっているバーに移動して、けっきょく3時頃までのんでいた。このジャングルジャップも、アブサンに輪をかけて、ちょっと辺鄙な場所にあり、さらに木製の厚いとびらに覆われて、敷居が高いことはなはだしい。でも中は、さすが長崎出身のマスターだけのことはある、和洋折衷の、なんとも趣味のよい空間。マスターも合流してくれて、さらに結婚話に花が咲いた。